雛罌粟(ひなげし)は、罌粟の仲間ですが、麻酔物質をもちません。1972年田中内閣が成立、日中国交が復活した年にアグネス・チャンの「ひなげしの花」が巷に流れました。
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楚の項羽は垓下(がいか)で漢の劉邦(りゅうほう、高祖)の軍に囲まれた時、「四面楚歌」のなかでみずからの敗北を知り、寵姫虞美人を前に、「虞や虞や、なんじをいかんせん」と嘆きます。虞美人は項羽に和して歌い、自害します。この虞美人の墓に真紅の花「ひなげし」が咲いたという伝説にもとづいて、これを「虞美人草」と呼んだと言います。
虞美人は、気位の高い女性だったようです。そういえば、夏目漱石の小説「虞美人草」の女性も気が強いようでした。ともに、「ひなげし」のはかなげなたおやかさはありません。
人名から付けられた植物に「ベンケイ草」があります。山地に生え、高さ約50センチ、いきぐさともいいます。葉は対生し、楕円形で厚く、白みを帯びる。夏から秋、淡紅色の小花が多数集まって咲きます。ベンケイソウ科の双子葉植物は約1500種がオーストラリアを除く全世界に分布しています。多肉性の草本が多く、キリンソウ・タコノアシなども含まれています。
和名を「ミセバヤ」という、ベンケイソウの仲間で秋に淡紅色の花をつける植物があります。君に見せばや(見せたいものだ)」と、控えめな願望をあらわした名前ですが、「見て呉れ」は江戸時代には「見体」という当て字があるように、見かけ、外見の意です。「これを見て呉れ」といわんばかりに、他人に派手な身なりや言動を見せつける言葉です。この押しつけがましさに対して控え目な願望を表した言葉が「見せばや」です。
源平の一の谷の戦いで、若武者平の敦盛を剛の者熊谷直実が泣く泣く討つ話は『平家物語』の名場面です。その二人の武者が母衣(ほろ、鎧の背につけて、飾りにしたり、流れや除けにした布)を背負う姿に見立てた植物がアツモリソウとクマガイソウです。
ともにラン科の多年草ですが、アツモリソウは深山に自生し、夏、紫紅色の花を開き、クマガイソウは山地の林に春、紅紫の小さい斑点のある白い花を開きます。
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