日本にすっかりお馴染みになっている洋菓子の中には、言語を知っていればすぐにお菓子の形状が浮かぶものがあります。「シュークリーム」はフランス語 chou a la creame でクリーム入りのキャベツのことです。「バウムクーヘン」はドイツ語 Baumkuchen で樹の菓子をいみします。「ミルフィーユ」はフランス語 mille-feuille で千枚の葉という意味です。
ドイツ発祥の焼き菓子プレッツェルは独特な結び目の形に作られます。小麦粉とイーストを原料とし、焼く前に数秒間水酸化ナトリウム水溶液(3~5%)につけます。焼ける間に空気中の二酸化炭素と反応して炭酸ナトリウムと水に変化し、表面が特徴的な茶色になります。稀に炭酸水素ナトリウム水溶液にくぐらせることもあるといいます。ドイツ語圏ではアルカリ溶液を意味する Lauge を付け加えて、Laugenbrezel ラウゲン・ブレーツェルとも呼ばれます。焼き上げる前には岩塩の粒をまぶします。
語源はラテン語ブラーキテッルム brachitellum に由来し、その語根は bracchium 「腕」であるといいます。腕組をしたような形を示しています。古高ドイツ語 brezitella を経て、現代の諸方言につながっているといいます。プレッツェルの起源ははっきりわかっていません。一般的な説では、プレッツェルはブレーツェル Brezel、あるいはブレーツェ Brezeと呼ばれている南ドイツ(バーデン地方)の焼き菓子が広まったものとしています。それ以外にもドイツとの国境に近いフランス・アルザスの料理であるとする説もあります。最初に作られたのは中世ヨーロッパ時代とする説もあれば、ローマ帝国時代だとする説、他にも古代ケルト人の菓子であったとする説もあるそうです。
プレッツェルの独特の形についてもいろいろな説があります。窃盗の罪を犯したパン職人が、一つのパンから太陽を一つの角度から3度見ることができれば牢獄に入らなくても良いと領主に言われ、生地をプレッツェルの形にねじり上げて焼き上げたという伝承があるそうです。プレッツェルの形は祈りをささげている修道士をかたどったものだとする伝承もああります。また別の伝承によるとこの3つの穴はキリスト教の三位一体を象徴しているとしています。プレッツェルはパン屋のシンボルとして、よく店の看板やマークに使用されることがあるそうです。かつてドイツでは3つの輪をつなげた看板がパン屋の看板として使われていましたが、プレッツェルの形が看板として使われたのか、プレッツェルが看板の形に作られたのかはっきりしません。しかし、いずれの伝承も後付けされたものであるようで、答えはわかりません。
シフォン‐ケーキ(chiffon cake)は小麦粉に卵・砂糖・サラダ油を混ぜて練り、型に入れて焼いた洋菓子です。スポンジケーキの一種で、アメリカで生まれたといいます。シフォン(薄い平織りの絹織物、フランス語の語源はぼろ布)のような軽くふんわりとした食感であるところからの名といいます。
エクレアの代表的なチョコレートのアイシングをかけた品は、仏語でエクレール・オ・ショコラ(éclair au chocolat)と呼ばれます。「エクレール」とは仏語で「雷・稲妻」の意味で、この名前の由来にはいくつか説があり、焼いた表面にできる割れ目が稲妻に似ているために名付けられたという説、アイシングのフォンダンがぎらりと光るからという説、中のクリームが飛び出たり表面のフォンダンが溶けないうちに稲妻のように素早く食べるべしということで名付けられた説などがあります。
※アイシング(英: icing、砂糖衣がけ)とは、焼き菓子を覆う甘いクリーム状のペーストです。アメリカでは主にフロスティング(frosting)と呼ばれるそうです。
エクレアは、細長いシュークリームの上に薄くチョコレートをかけた洋菓子です。代表的なチョコレートのアイシングをかけた品は、フランス語でエクレール・オ・ショコラ(éclair au chocolat)と呼ばれます。「エクレール」とは仏語で「雷・稲妻」の意味で、この名前の由来にはいくつか説があり、焼いた表面にできる割れ目が稲妻に似ているために名付けられたという説、アイシングのフォンダンがぎらりと光るからという説、中のクリームが飛び出たり表面のフォンダンが溶けないうちに稲妻のように素早く食べるべしということで名付けられた説などがあります。
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シュトーレンは洋酒に漬け込んだドライフルーツやナッツが生地に練りこまれており、表面にはたっぷりの砂糖がまぶされています。
ドイツ語の綴りがStollenなので、正確には「シュトレン」と言うそうです。日本では「シュトーレン」が一般的で、シュトーレンと書かれているのを見かけますが、ドイツ語の発音規則としては正しくないのだそうです。シュトレンはドイツ語で「坑道」の意味です。またその真っ白な形は、白い産着に包まれた幼子イエスをイメージしているとも言われています。
柔らくて甘い洋菓子のマシュマロ(marshmallow)は、その音からして、いかにも丸くてふわふわしたいめーじにあっているようですが、本来は単なる植物名なのです。Marsh は「沼地」、mallow は「葵」で、和名をウスベニタチアオイという植物の根なのです。その粘液を原料として作ったところからの名だと言います。いまでは水飴やゼラチンなどで作られているそうです。
sechin@nethome.ne.jp です。
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