Ouranos(ウーラノス)とGaîa(ガイア)の間のTītān(ティーターン)の1柱であるĪapetos(イーアペトス)は、Nereis(ネーレイス、海の精)のAsiā(アシアー)或はKlymenē(クリュメネー)、一説では姉妹にあたるThemis(テミス)を妻として間にAtlās(アトラース、「支える者」・「耐える者」・「歯向かう者」を意味する)、Promētheus(プロメーテウス)、Epimētheus(エピメーテウス)およびMenoitios(メノイティウス)を設けます。
このうちAtlās(アトラース)は穹窿(きゅうりゅう)の支柱の番人、あるいは自らその肩に天を支える巨人で、しばしば美術や文学にも現われます。古くはArkadia(アルカディア、ペロポネソス半島にある古代からの地域名で、後世に牧人の楽園として伝承され、理想郷の代名詞となった)の、一般には世界の西の涯に連なる高い山が虚空を支える巨人と見立てられたのでしょう。Ovidius(オウィディウス、BC43~AD17年)はPerseus(ペルセウス)が例のGorgōn(ゴルゴーン、海の神Phorkys〈フォルキュス〉とその妻Kētō〈ケートー〉の娘Sthennō〈ステンノ〉、Euryalē〈エウリュアレ〉、Medousa〈メドゥーサ〉の三姉妹の総称)の首を指し付けて巨人を岩とし、それ以来アフリカ西北帯連なる山脈名Atlas Mountainsとなり、大西洋を Atlantic Ocean と言うようになったと述べています。
※ ペルセウスが持っていたメデゥーサの首により、アトラースを石と化す事となった経緯については諸説ありますが、天を支えるという重荷に耐えかねたアトラースが、ペルセウスに頼んでメデゥーサの首を見せてもらい、石と化して、重荷から解放されたという話や、ゼウスの息子が将来、自分の黄金の林檎を奪いに来るだろうと聞かされていたアトラースが、自分を訪ねてきたペルセウスを追い返そうと、あるいは殺そうとした(ペルセウスはゼウスとダナエーとの間に生まれた子であった)為、逆上したペルセウスによって石と化した話等があります。また、地図帳をアトラスと呼ぶのは、16世紀にMercator〈メルカトル、1512~1594年、ネーデルラントの地理学者〉が地図帳の表紙としてこのアトラースを描いたことに由来するといいます。
Promētheus(プロメーテウス)は人類の創造者あるいは恩人でその名は「前に予め慮る者」の義であるといいます。彼に比するとEpimētheus(エビメーテウス「後に慮る者」の義)は影が薄く、あるいは兄 Promētheus(プロメーテウス)のDoppelgänger(ドペルゲンガー、影法師)なのかもしれません。
Menoitios〈メノイティオス〉は一番訳の判らない存在でして、Tītānomakhiā(ティータノマキア)のときゼウスの雷に討たれてタルタロスにぶち込まれたと言います。
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