2月3日、4日とkaname女史が我が家を訪ねてくれた時、プロメテウスの話が出て、女史がギリシア神話について知りたいというので、変身物語のナルキッソスの話をしましたが、いろいろなギリシア神話が知りたいといっていました。そこでギリシア神話について調べてみました。
ギリシア神話の大半はホメーロスとヘーシオドスに拠るものということです。
紀元前20世紀頃、ギリシア民族と呼ばれる人たちが、今のギリシア半島へ南下してきたたといいます。ギリシア民族の持ち込んだ神話とギリシア半島の先住民の神話が争い、征服し、 融合して、ギリシア神話の原型ができたと言われています。その後ミュケナイ文明と呼ばれる文明がエーゲ海周辺に発展しましたが、紀元前12世紀頃、「海の民」と呼ばれる人々の侵入により文明が崩壊、"暗黒時代"が訪れます。
紀元前9世紀、ギリシア各地に都市国家ポリスが成立、アテナイやスパルタが栄えます。この頃、吟遊詩人Homerus(ホメーロス)による、アキレウスの怒りから始まるトロイア戦争を描いた英雄叙事詩「イリアス」、英雄オデュッセウスのトロイア戦争からの帰路を綴った「オデュッセイア」が成立します。また、紀元前8世紀には、Hēsíodos(ヘーシオドス)が「仕事と日」「神統記(神系賦)」が書かれます。この二人の叙事詩により、それまで口承で伝えられてきたギリシア神話がまとめられました。またこの二人の作品はギリシア神話の基本となり、後の作家たちの手本になったといいます。
もとよりホメーロスは系統的に纏まった体系は示していませんが、オリュンポスの神々の姿を活き活きとまた美しく、時には親しむべくあるいは恐るべきものとして随所に示してくれます。これに対してヘーシオドスは、ことにそのTheogonia(テオゴニアー、神統記)を分裂按配し、多少の混乱を示しながらもこれを体系化しようとの努力を始めて実らせています。しかし、私たちが持つ知識は多くの場合むしろずっと後代の産物であるといいます。
紀元前4~5世紀になると、アテナイの劇詩人達によりたくさんの悲劇、喜劇、合唱詩が作られ、ギリシア文学古典期の黄金時代を迎えるのです。その後、ヘレニズム期を経てローマ帝政時代に入ると、「変身物語」に代表される恋愛譚を中心とした作品が多くなり、この頃の作品が、後にオペラや絵画で題材として取り上げられるようになりました。日本で大衆的にギリシア神話と呼ばれているものも、この頃の作品が大半なのだといわれています。
※Homerus(ホメーロス): 紀元前8世紀末の吟遊詩人であったとされる人物を指し、ホメロスとも呼ばれます。西洋文学最初期の2つの作品、『イーリアス』と『オデュッセイア』の作者と考えられています。「ホメーロス」という語は「人質」、もしくは「付き従うことを義務付けられた者」を意味するそうです。古代人はホメーロスをただ「詩人」というシンプルな異名で呼んでいたといいます。今日でもなお、ホメーロスが実在したのかそれとも作り上げられた人物だったのか、また本当に2つの叙事詩の作者であったのかを断ずるのは難しいようです。それでも、イオニアの多くの都市(キオス、スミルナ、コロポーンなど)がこの吟遊詩人の出身地の座を争っているそうです。伝承ではしばしばホメーロスは盲目であったとされ、人格的な個性が与えられています。しかし、彼が実在の人物であったとしても生きていた時代はいつごろなのかも定まっていません。もっとも信じられている伝説では紀元前8世紀とされています。出生についても女神カリオペの子であるという説や私生児であったという説などがありますが、あまりはっきりしません。さらに、かれは、キュクラデス諸島のイオス島で没したと伝承されています。
※Hēsíodos(ヘーシオドス):古代ギリシアの叙事詩人です。紀元前700年頃に活動したと推定されています。『神統記』や『仕事と日』(仕事と日々)の作者として知られています。『仕事と日』によれば、弟ペルセースとの遺産相続をめぐる裁判に巻き込まれたといいます。地元の領主はペルセースからの賄賂を受けて、ヘーシオドスが自分に忠実でないと難じて、ヘーシオドスの遺産である筈の土地を没収してペルセースに与えてしまったといいます。このため、憤懣やるかたなかった彼は旅に出て詩人として生活するようになったのだと言われいます。いずれの伝承が伝えるところが真実であるにしろ、へーシオドスが吟遊詩人としての訓練を積んでいたことは確かであります。なぜなら当時の詩吟には高度に発達した専門的な様式が存在し、へーシオドスの作品もその様式に則ったものであるためであるからです。
sechin@nethome.ne.jp です。
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