Klymene(クリュメネー)はエチオピアの王Merops(メロプス)の妃ともいわれますが、太陽神Apollōn(アポローン)と契ってPhaethon(パエトーン)のほかHeliades(ヘーリアデス)と呼ばれるおよそ5人の娘を儲けました。後世の諸家例えばOvidius(オウィディウス)は、Apollōn(アポローン)がパエトーンの父であるとして、その転身譚で記述しています。
太陽神アポローンの息子であるパエトーンは、友人のEpaphos(エパポス)達からアポローンの息子であることを強く疑われたため、自分が太陽神の息子であることを証明しようと東の果ての宮殿に赴き、父に願って太陽の戦車を操縦しました。しかし、御すのが難しい太陽の戦車はたちまち暴走してしまい、地上のあちこちに大火災を発生させてしまいます。このときリビュア(後のMaghreb〈マグリブ〉)は干上がってサハラ砂漠砂漠となり、エチオピア人の肌は焼かれて黒くなってしまったといいます。世界の川はことごとく干上がり、Ōkeanos(オーケアノス)もむき出しとなり、Neptunus(ネプトゥーヌス ローマ神話における海の神)の眷属であるイルカやアザラシは屍を晒しました。地を火の海とされた豊穣の女神Ceres(ケレース)は最高神Jūpite(ユーピテル、ギリシア神話のZeusにあたる)に助けを求めました。ユーピテルは暴走する太陽を止めるためにやむなく雷霆を投じてパエトーンを撃ち殺してしまいます。
パエトーンの死体はEridanos(エーリダノス)川〔ギリシア神話中の伝説的な川。ローマではポー川をこの川になぞらえています。)に落ちました。パエトーンの姉妹のヘーリアデスたちは悲嘆のあまりポプラの木に変身したといいます。母のクリュメネーも悲嘆に絶えず、その樹木をかきむしったところ、垂れた樹液は琥珀(こはく)となったといいます(一説にクリュメネーの流した涙が琥珀になったともいわれています)。
トレミーの48星座の内の1つであるエリダヌス座はこの物語に取材しているといわれています。
※ Peter Paul Rubens(ピーテル・パウル・ルーベンス、1577~1640年)はバロック期のフランドルの画家、外交官。祭壇画、肖像画、風景画、神話画や寓意画も含む歴史画など、様々なジャンルの絵画作品を残しました。『パエトンの墜落』は1604~1605年頃の作品でナショナル・ギャラリー・オブ・アート(ワシントンD.C.)が所蔵しています。
アポロ―ンに纏わる変身物語はダプネーが月桂樹になった話(2010年1月3日、2011年4月11日のブログ)、キュパリッソスが糸杉になった話(2010年1月4日のブログ)、ヒュアキントスがヒヤシンスになった話(2010年1月5日のブログ)など、このブログで取り上げてきました。
http://sechin.blog.shinobi.jp/%E6%97%A5%E8%A8%98/%E3%83%80%E3%83%97%E3%83%8D%E3%83%BC
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