Orion(オーリーオーン)は、海の神Poseidōn(ポセイドーン)とMīnōs(ミーノース)王の娘Euryalē(エウリュアレー、ギリシア神話に登場する女神で、「広く彷徨う」の意味を持つとされる)との間に生まれたといわれています。また、オーリーオーンの母についてはAmazōn(アマゾーン、ギリシア神話に登場する女性だけの部族)の女王であるとする説もあり、大地母神Gaia(ガイア)を母とするTītān(ティーターン)であったとする説もあります。背の高い偉丈夫で、稀に見る美貌の持ち主でもあったとされています。父親であるポセイドーンから海を歩く力を与えられ、海でも川でも陸と同じように歩く事ができました。
逞しく凛々しい美青年であったオーリーオーンではありましたが、早熟で好色でもありました。非常な豪腕の持ち主で、太い棍棒を使って野山の獣を狩る、ギリシア一番の猟師でもあったのです。
狩猟の女神であるArtemis(アルテミス)とギリシア随一の狩人であるオーリーオーンは次第に仲良くなっていき、神々の間でも二人は、やがて結婚するだろうと噂されるようになっていきます。しかし、アルテミスの双子の兄であるApollōn(アポローン)は、乱暴なオーリーオーンが嫌いだった事と純潔を司る処女神である彼女に恋愛が許されない事から、二人の関係を快く思いませんでした。だが、アルテミスはアポローンの思惑を気にしませんでした。
そこでアポローンは奸計を以てアルテミスを騙す挙に出るのです。アポローンはアルテミスの弓の腕をわざと馬鹿にし、海に入って頭部だけ水面に出していたオーリーオーンを指さしして「あれを射ることができるか」と挑発しました。オーリーオーンは、アポローンの罠で遠くにいたため、アルテミスはそれがオーリーオーンとは気づきませんでした。
アルテミスは矢を放ち、オーリーオーンは矢に射られて死んでしまいます。アルテミス女神がオーリーオーンの死を知ったのは、翌日にオーリーオーンの遺骸が浜辺に打ち上げられてからでした。アルテミスは後に神となった医師Asklēpios(アスクレーピオス、2008年12月31日のブログ参照)を訪ね、オーリーオーンの復活を依頼しましたが、冥府の王Hādēs(ハーデース)がそれに異を唱え、許しませんでした。
アルテミスは父であり神々の長であるZeus(ゼウス)に訴えるが、ゼウスも死者の復活を認めることはできず、代わりに、オーリーオーンを天にあげて星座とすることでアルテミスを慰めたのです。なお、さそり座は、アポローンが謀ってオーリーオーンを襲わせ、彼が海に入る原因となったサソリであるとされました。そのためオリオン座は今も、さそり座が昇ってくるとそれから逃げて西に沈んでいくといいます。
※ Daniel Seiter (ダニエル ザイター 1647~1705年):ウィーンの〜生まれの画家バロック訓練を受け、イタリアで働いていました。
※ Diāna(ディアナ): ローマ神話に登場する、狩猟、貞節と月の女神。Juppite〈ユーピテル、ローマ神話の主神〉とLatona〈ラートーナ〉の娘で、アポローンの妹とする説があります。新月の銀の弓を手にする処女の姿が特徴です。ギリシア神話のアルテミスとみられます。
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