人の子として地上に生まれたHēraklēs(ヘーラクレース)でしたが、その父は、最高神Zeus(ゼウス)です。Árgo(アルゴス)の王女であった彼の母は、夫に化けたゼウスに誘惑され、騙されて彼を身ごもったために、彼の肉体は半分は神となったのです。ゼウスが彼を人として誕生させたのは、来るべきGigantes(ギガンテス)との戦いに備えてのことでした。オリュンポス神族を滅ぼすためにガイアが遣わしたこの怪物は、「神には殺せぬ」身体をもっていたのです。実際、ヘーラクレースは成長後、これを撃退し、父の期待に応えています。
が、「Hērē(ヘーラー)の栄光」を意味する彼の名が、自分を称えているにも関わらず、ゼウスの正妻ヘーラーは、夫の不貞の証である彼を憎んだのでした。
ヘーラクレースはThēbai(テーバイ)とOrchomenos(オルコメノス)王Erginos(エルギーノス)との戦争でエルギーノスを討ち取り、オルコメノスの軍勢を潰走させました。さらにテーバイはオルコメノス王Klymenos(クリュメノス)を殺した賠償として、20年間の貢物を課されていましたが、ヘーラクレースはオルコメノスにテーバイに対してその2倍の貢物を支払うことを認めさせたのです。これらの功績がKreon(クレオーン)に認められ、Megarā(メガラー)はヘーラクレースの妻として与えられたのです。
ヘーラーは、ヘーラクレースが最初の妻メガラーと幸福な家庭を築いたそのときを見計らって、彼を狂わせ、彼自身に妻子を惨殺させてしまいます。正気に戻った彼は、自らの行為におののき、絶望したといいます。
メガラーについては異説が多く、メガラーとヘーラクレースの子供の数は2人、8人とも言われています。彼女の子供たちは気が狂ったヘーラクレースによって殺されますが、その死はヘーラクレースの12の難行以前とも、難行後であると言われ、特に前者の場合は12の難行および、ヘーラクレースがOichalia(オイカリアー)王Eurytos(エウリュトス)を滅ぼすきっかけとなっています。一方、後者の説ではメガラーも子供たちと一緒に殺されたことになっています。
そんな彼に「12の功業」を遂げることで罪を贖うよう助言したのは、太陽神Apollōn(アポローン)でした。ヘーラクレースはそれに従い、9頭の水蛇Hydrā(ヒュドラ)、黄金の角を持つ大鹿、怪鳥Stymphālos(ステュンパーロス)、冥府の番犬Kerberos(ケルベロス)など、数々の怪物と戦い、功業を積んでゆきます。そして12年をかけて、彼はすべての功業を達成、晴れて自由の身となったのです。
紀元前472年から456年にかけてOlympia(オリンピア)に建設されたZeus(ゼウス)神殿の装飾は、ペルシア戦争直後のギリシア彫刻を活気付ける新しい才気を反映していますが、これらmetope(メトープ、建築用語の浮彫石板)はCrete(クレタ)島の牡牛捕獲などのヘラクレスの12の功業を描いています。
その後、2番目の妻Dianeira(デーイアネイラ)を娶り、束の間の平和を得たヘーラクレースでしたが、それも長くは続きませんでした。妻は彼の敵に騙されて、毒を塗った下着を彼に着せてしまうのでした。ヘーラクレースは自らを火葬に臥し、壮絶な死を遂げます。そのとき、彼の半神の部分が、ゼウスによって召し上げられ天上に引き上げられます。
天上で彼は、ついにへーラーと和解し、彼女の娘Hēbē(へべ)を3番目の妻として迎え、以後、正式に神となったといわれています。
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