ギリシア神話の英雄伝に話を戻します。暫くはギリシア神話に登場する最大にして最強のヘーラクレースの英雄譚が続くものとご承知下さい。
Hēraklēs(ヘーラクレース)はギリシア神話の半神半人の英雄であり、ギリシア神話に登場する多くの英雄たちの中でも最大最強の存在です。腕力だけで山脈や大陸を破壊したり、銀河が散りばめられた天空を持ち上げたりするなど、神々にも引けを取らぬ宇宙規模の怪力を誇りました。のちにÓlimpos(オリュンポス)の神々の一員になったとされます。Perseus(ペルセウス)の子孫であり、Mykēnai(ミュケーナイ)王家の血を引くといいます。幼名をアルケイデース(Alkeidēs)といい、祖父の名のままAlkaios(アルカイオス)とも呼ばれてもいます。
後述する12の功業を行う際、Tiryns(ティーリュンス、ペロポネソス半島あるミケーネ文明の遺跡)に居住するようになった彼をDelpho(デルポイ)の巫女が 「Hērā(ヘーラーの栄光)」を意味するヘーラクレースと呼んでからそのように名乗るようになりました。Cynosarges(キュノサルゲス)等、古代ギリシア各地で神として祀られ、古代ローマに於いても盛んに信仰されました。その象徴は弓矢、棍棒、獅子の毛皮であります。
※ Cynosarges(キュノサルゲス):アテーナイの城壁の外に隣接し、Ilios(イリッソス)川の南の丘にあった公共のgymnasion(ギュムナシオン、体育場)です。名称は cynos(キュノス) と argos(アルゴス) に由来し、「白い犬」または「すばしこい犬」を意味します。伝説によれば、Athēnai(アテナイ)のDidymos(ディディモス) がたくさんの生贄を捧げていたとき、白い(またはすばしこい)犬が現れて捧げ物を盗んで逃げた。ディディモスが驚いていると神託があり、その犬が捧げ物を落とした場所にヘーラクレースの神殿を建てよ、と告げたといいます。
Hēródotos(ヘロドトス、BC484~425年、古代ギリシアの歴史家で、今日まとまった形で伝承された最初の歴史書『歴史』により「歴史の父」とも呼ばれます)によれば、紀元前490年ごろにはそこに神殿があり、それがヘーラクレースの有名な聖地となり、その母Alkmēnē(アルクメーネー)、妻Hebe(ヘーベー)、ヘーラクレースを助けたIolāos(イオラーオス)も祀られていたといいます。そこにギュムナシオンが建設されたのでしょう。
※ Jean-Jacques-François Le Barbier(ジャン=ジャック・フランソワ・ル・バルビエ):フランスの歴史作家であり、イラストレーター、画家でもありました。彼の最も有名な作品は、人間と市民の権利を表現した人権宣言であり、彼は芸術家の父と言われました。
キュノサルゲスは主に私生児 nothoi(ノトイ) のためのギュムナシオンとされたといいます。また、キュノサルゲスはCynicos(キュニコス)派(Socrates〈ソクラテス、BC469年頃 - 紀元前399年〉 の弟子であるAntisthenes〈アンティステネス、BC444~365年〉を祖とするHellenism〈ヘレニズム〉期の古代ギリシアの哲学の一派)のアンティステネスが講義をした場所と言われており、キュニコス派という名称の由来の1つとされています。
ローマ神話でのラテン語名は Hercules (ヘルクーレス)で、星座名のヘルクレス座はここから来ています。英語名はギリシア神話ではHeracles(ヘラクリーズ)、ローマ神話ではラテン語名と同形ですが 「ハーキュリーズ」 というように発音されます。
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