毎晩、布団に入ってから眠気が催してくるまでの20~30分程本を読むことにしています。先週の日曜日頃から、ギリシア悲劇の3大詩人の一人エウリピデス(世界古典文学全集・筑摩書房刊)を読み始めました。
Eurīpidēs(エウリピデス、BC480年頃~406年頃)はソフィストと自然哲学の影響を受け,伝統的悲劇を合理主義精神によって改革して、神話の世界を日常の世界にまで引降ろし,悲劇を人間情緒の世界と化したといわれています。
布団に入って本を読み始めると、すぐに眠くなって、なかなか先に進めませんが、やっと『アルケスティス』(呉茂一訳)を読み終わりました。
Alkēstis(アルケスティス)はギリシア神話に登場するテッサリア地方ペライの王であるAdmētos(アドメトス)の妻であり、アドメートスが、アポローンの好意によって身代わりを出せば命が助かることとなり、最終的に妃のアルケスティスが身代わりとなって死ぬのですが、ヘーラクレースが彼女を救い出すという神話を題材としています。
あらすじ:
アポロンとタナトスによる懸け合いで、下界に追放されたアポロンを助けたアドメトスが、報徳として身代わりを立てることで早世を免れる機会を得て、その身代わりとなったアルケスティスの命をついにタナトスが受け取りにきた、というこれまでの経緯が説明されます。
老人たちによる嘆きの後、死を目前にしたアルケスティスが床からアドメトスに最後の別れを告げます。アドメトスの励ましも空しく、アルテスティスは事後のことを頼んで息を引き取ります。そこへトラキアのディオメデスのもとへ向かう途中のヘラクレスが訪れてきます。アドメトスは友人歓待の伝統に従い、アルケスティスの死を隠してヘラクレスを厚くもてなします。一方でアドメトスはアルケスティスの悔み事を言いに来たぺレスと口論になります。アドメトスは老いて行く先少ない身でありながら実の息子のために命を惜しんだ両親を責めるのです。対してぺレスは今日まで育てた恩と豊かな財産を残してやった上に、さらに命までよこせとは暴慢だと責め立てます。
その頃、ヘラクレスは召使いからアドメスティスが隠していたこと、アルケスティスが亡くなったことを知るのです。アドメトスの友情に感激したヘラクレスはアルケスティスを取り戻すため急ぎ冥府へ向かいます。
アルケスティスの葬儀が終わり、その帰り道、アドメトスは老人たちに妻を失った深い悲しみを語ります。そこへヘラクレスが現れ、アドメトスに被衣をした女を預けるから引き取るように言います。アドメトスはヘラクレスの好意に礼を言いつつ、アルケスティスへの思いから引き取りを拒みます。そこでヘラクレスはアドメトスに女の手を取らせ、被衣を取って顔を見せ、彼女こそ自分が冥府から連れ戻してきたアルケスティスであることを示します。最後に、アルケスティスがこれから三日間は声を発してはならないことを告げると、ヘラクレスはトラキアへと旅立って行きます。ヘラクレスを見送った後、アドメトスと老人たちが喜びを歌って物語の落着となります。
sechin@nethome.ne.jp です。
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