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蕪村、未知の212句 長く所在不明の句集見つかる ―― 江戸中期の俳人で俳画を確立した与謝蕪村(よさぶそん、1716~83)の、これまで知られていなかった俳句212句を収めた句集が見つかった。天理大付属天理図書館(奈良県天理市)が14日発表した。句集の存在は戦前から知られていたが、長らく所在不明だった。
蕪村は松尾芭蕉、小林一茶と並び称される江戸期の俳人だが、これほど多くの俳句が一挙に見つかるのは極めて異例だ。
見つかったのは、蕪村存命中に門人がまとめた「夜半亭(やはんてい)蕪村句集」(夜半亭は蕪村の俳号のひとつ)の写本2冊。
図書館が4年前に書店から購入。「蕪村全集」(全9巻、講談社)と照合するなどし、四季別に所収されている1903句のうち、「我焼(やき)し野に驚(おどろく)や屮(くさ)の花」「傘(からかさ)も化(ばけ)て目のある月夜哉(かな)」など212句が未知のものと確認した。
句集は以前から研究者の間では知られ、1934年発行の専門誌「俳句研究」が「新蕪村句集の再発見」と題し、35句を紹介していたが、句集はその後所在不明になっていた。
蕪村はこれまで約2900句が確認されている。関西大の藤田真一教授(近世俳諧)は「蕪村は研究し尽くされたと思われていた存在。その知られていない句がまとめて出てきたのは衝撃的で、『やっぱり、あったか』と感動した。蕪村に関する新たな発見ができるかもしれない」と話す。
句集は19日~11月8日、初公開となる句会稿の原本とともに天理図書館(0743・63・9200)で公開される。入場無料。
〈与謝蕪村〉 摂津国毛馬(けま)村(大阪市都島区毛馬町)の生まれ。若い頃に江戸へ出て俳諧や書、漢詩などを学び、丹後、讃岐などを経て晩年は京都に住んだ。俳風は写実的、浪漫的。与謝は母の生地にちなむとの説も。著名な句に「菜の花や月は東に日は西に」「春の海終日(ひねもす)のたりのたり哉(かな)」。明治の俳人、正岡子規が高く評価した。
■新たに見つかった句
○蜻吟(かげろう)や眼鏡をかけて飛歩行(とびあるき)
(とんぼが眼鏡をかけたような大きな目玉でふらふら飛んでいる、「吟」は「蛉」の誤字の可能性)
○我焼(やき)し野に驚(おどろく)や屮(くさ)の花
(ちょっと前に自分が放った火が燃え広がり、一面の草の花が焼けている)
○傘(からかさ)も化(ばけ)て目のある月夜哉(かな)
(唐傘にあいた穴から、夜空に浮かんだ月の明かりが差し込んでくる)
*ふりがなとカッコ内の解釈は藤田真一・関西大教授による (朝日新聞DIGITAL 2015年10月14日20時09分)
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