瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 Bellerophōn(ベレロポーン)はProitos(プロイトス)の手紙を持ってLycia(リュキア)を訪れ、そこでIobatēs(イオバテース)王の歓待にあいました。イオバテス王は若く凛々しいベレロポーンを9日間歓待し、10日目にプロイトス王の手紙を開きました。手紙にはベレロポーンを称える言葉が書いてありましたが、同時に「どうかこの手紙の持参者ベレロポーンをあなたの手で殺していただきたい」とも書いてあったのです。リュキアの王はこの手紙を見て困ってしまいます。彼もまたベレロポーンを友人として歓待したので、ベレロポーンを殺すことは道徳に背くことだと思ったからです。そこで彼は妙案を思いついたのです。


ベレロポーンを怪獣Chimaira(キマイラ)退治に行かせることにしたのです。キマイラ(Chimera〈キメラ〉ともいいます)とは頭はライオン、胴は山羊、尾は蛇でできている合成獣で、口から火を吹いてはリュキアの人々を恐怖に陥れていました。しかも今までキマイラ退治に向かって生きて帰ってきた者は誰もいなかったので、自分で手を下さずにベレロポーンを抹殺できると思ったのです。


 ベレロポーンはキマイラ退治を引き受けたが、さすがに怪物を倒す妙案を思いつくことはできませんでした。途方に暮れたベレロポーンでしたが、彼は預言者Polyīdos(ポリュイドス)のもとを訪れて助言を求るのでした。預言者ポリュイドスは、「天馬Pēgasos(ペーガソス)を手に入れることが出来たなら、キマイラを倒すことも出来るだろう。まずはAthēnā(アテーナー)の神殿にこもって神託を伺ってみなさい。」と、助言してくれました。


 ベレロポーンは早速アテーナー神殿を訪れて、そこで一晩中祈りました。彼は祈っている途中で寝てしまうのですが、夢の中で女神アテナが現れて、「目を覚ましなさい、ベレロポーン、この黄金の轡(くつわ)を使えばPegasos(ペーガソス)を手に入れることが出来ますよ」と告げたのでした。ベレロポーンが目を覚ましてみると、夢のとおり目の前に黄金の轡が置かれているではありませんか。ベレロポーンは狂喜してアテナに感謝の祈りを捧げるのでした。


 その後ベレロポーンはペーガソスを探すために各地を回り、とうとうPeirene(ペイレネー)の泉で水を飲んでいるペーガソスを見つけることが出来ました。彼が黄金の轡を持って近づくと、天馬ペーガソスは逃げも隠れせずに逆に体を摺り寄せてくるではありませんか。こうしてペーガソスを手に入れたベレロポーンは、いよいよキマイラ退治に向かうことになるのです。キマイラは地上から炎を吹きかけてきましたが、ベレロポーンはペーガソスに乗って上空に浮かんでいるので当たりません。ベレロポーンは上空から矢を射てとうとうこの怪物を倒すことが出来たのでした。


 


 無事にキマイラを退治して帰ってきたベレロポーンを見てリュキア王イオバテースは内心狼狽しましたが、再び彼を危地に送って命を奪おうと考えるのでした。イオバテスはSolymoi(ソリュモイ)人やAmazōn(アマゾン)の女戦士族の討伐を命じましたが、ベレロポンはそれらを難なくやってのけました。最後にはイオバテス自らがベレロポンを殺すために雇った兵士たちも皆殺しにしてしまいました。


 とうとうイオバテス王も、ベレロポーンは神様に特別に愛された英雄なのだと理解して、彼に自分の娘を与えて王位を継がせることにしたのです。

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