瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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(つた)/(つな)を詠んだ歌3
13-3291: み吉野の真木立つ山に青く生ふる山菅の根の.......(長歌)
原文:三芳野之 真木立山尓 青生 山菅之根乃 慇懃 吾念君者 天皇之 遣之万々 (或本云、王 命恐) 夷離 國治尓登 (或本云、天踈 夷治尓等) 群鳥之 朝立行者 後有 我可将戀奈 客有者 君可将思 言牟為便 将為須便不知 (或書、有足日木 山之木末尓句也) 延津田乃 歸之 (或本、無歸之句也) 別之數 惜物可聞
           万葉集 巻13-3291
         作者:不明
よみ:み吉野の 真木立つ山に 青く生()ふる 山菅(やますげ)の根の ねもころに 我が思ふ君は 天皇の 任()けのまにまに (或本に云はく、 王(すめろぎ)の 命(みこと)(かしこ)) 鄙離る 国治めにと (或本に云はく、「天離る 鄙治めに」と) 群鳥(むらとり)の 朝立ち去なば 後(おく)れたる 我れか恋ひむな 旅ならば 君か偲(しの)はむ 言はむすべ 為むすべ知らに (或る書に、「あしひきの 山の木末に」の句あり) ()ふ蔦(つた)の 行きの (或る本に、「歸の」句なし) 別れのあまた 惜しきものかも
 
意訳:美しい吉野の立派な木が立つ山に青く花咲く藪蘭の根のように、秘めやかに懇ろに私が慕う貴方は天皇の任命に従って(或る本に云はく、王のご命令を謹んで)、藤原の京から遠く夷に離れた国を行政しなさいと(或る本に云はく、藤原の京から離れた夷を行政しなさいと)、群れた鳥が朝に巣から飛び立つように貴方が旅立ったなら、後に残る私は貴方が恋しいでしょう。旅の途中ならば貴方を偲びましょう。貴方の無事を神に祈る作法も知らないのですが(或る書に「葦や桧の生える山の梢に」の句あり)。野を這う蔦の枝々の行き(或る本に「行きの」句なし)別れのように生き別れが多い。痛ましいことです。
◎万葉集での「山菅」は、現在の藪蘭を示しますので、カヤツリ草の「菅」とは違います。従って、「山菅之根乃慇懃(やますげのねのねもころ)」と「菅根之根毛一伏三向凝呂尓(すがのねのねもころごろ)」とは、似ても似つかぬ言葉です。ただし、普段の解説では同じとするようです。それで意味が大きく違います。
 歌は、地方の行政官として赴任する男を送る女の歌です。次に会えるのは早くて任期途中の中間業務報告の「中上がり」での三年先のことですから、当時としては「生き別れ」の雰囲気です。集歌3291の歌で、女性は男性の比喩にまだ吉野の山菅(藪蘭)の根を持ってきていますから、吉野に度々縁があったのでしょう。ここらから、飛鳥浄御原宮か、藤原宮時代の歌と思われます。

 なお、反歌の「五十羽旱将待」が、長歌の「群鳥之朝立行者」を受けての洒落でしたら、この歌の作歌者は人麻呂の隠れ妻です。その洒落には、朝に鳥が社のある森から五十羽ほど勢いよく飛び立つように、元気よく貴方は旅立っていったと云う景色があります。
反歌
原文:打蝉之 命乎長 有社等 留吾者 五十羽旱将待
           万葉集 巻13-3292
         作者:不明
よみ:うつせみの命を長くありこそと留()まれる吾は斎(いは)ひて待たむ
意訳:貴方のこの世の命が長く在ってほしいと、藤原の京に留まれる私は神に祈って貴方を待っています。
左注:右二首

ウェブニュースより
 藤井2冠、卒業方法はなかったのか/ひふみんEYE ―― <ひふみんEYE>将棋の藤井聡太2冠(棋聖・王位=18)が今春、卒業を予定していた名古屋大教育学部付属高校(名古屋市)を1月末で自主退学したことが分かった。日本将棋連盟が16日、発表した。
 
          ◇   ◇   ◇
 第一報を耳にしてびっくりしました。同時に残念です。はたから見ていますと対局は多いものの、高校を出るだけの単位は取得できていると思っていました。せっかく高校に進んだのですから、いっぱい勝っていてもギリギリでいいから、石にかじりついてでも卒業する方法はなかったのでしょうか。研究派の棋士で、将棋の研究に時間を費やす分、シワ寄せが来たのだろうと思います。
 現在の藤井さんの状況を判断しますと、将棋は好調で進境も著しい。順位戦でも次期B級1組への昇級を決め、名人へまた一歩近づきました。
 
 少し早めに学生生活は「自主卒業」となりましたが、腹をくくって将棋1本で精進してほしい。大きな期待を持ちますし、大成できるように応援します。(加藤一二三・九段)   [日刊スポーツ 2021217717]

 室伏広治長官、田中理恵さんら計8人での構成が判明 ―― 辞任を表明した東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の後任に浮上した日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)を推す声が強まり、有力候補に躍り出ていることが16日、複数の大会関係者への取材で分かった。同日、後任を選ぶ候補者検討委員会の非公開での初会合を都内ホテルで開催。山下氏を含む男女4人ずつの理事が検討委員として参加した。今日17日の第2回会合で候補を一本化する方針で、週内にも開かれる臨時理事会を経て東京大会の新たなリーダーが決まる。

◆候補者検討委員会 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の後任候補を選考する。御手洗冨士夫名誉会長が委員長を務める以外は非公表となっているが、理事の中から日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長、スポーツ庁の室伏広治長官、東京都の多羅尾光睦副知事、柔道の谷本歩実さん、体操の田中理恵さんらが委員となり、計8人で構成されていることが判明。定款では、理事会が「会長の選定および解職」の権限を持つと規定しており、委員会が推薦した候補者を理事会の決議で選定する。   [日刊スポーツ2021217759]


 

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藤井二冠
本人は高校進学も躊躇していたとか。
お母様の説得で進学したという話。
大学だって、その気になれば、推薦で名門大学にでも行けたでしょうに。
将棋まったく知りませんが、天才は常識を軽々と越えるんだろうなぁと思いました。

若くして人生に大きな決断をし、邁進していく姿が清々しいですね。

利権維持や責任逃れに右往左往している大人たちのニュースばかりなので、ますますそう思います。
爺の姪 2021/02/17(Wed) 編集
プロフィール
ハンドルネーム:
目高 拙痴无
年齢:
92
誕生日:
1932/02/04
自己紹介:
くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
 sechin@nethome.ne.jp です。


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