蔦(つた)/綱(つな)を詠んだ歌1
キョウチクトウ科テイカカズラ属のつる性常緑低木である定家葛(ていかかずら)のことです。6月頃に5弁の白い花を咲かせ、次第に淡黄色になります。
平安時代の末期、式子内親王(しょくしないしんのう)を愛した藤原定家(ふじわらのていか:歌人として有名)が、死後に葛に生まれ変わって彼女の墓にからみついたというお話から、この名がついたとされています。
万葉集に「蔦(つた)/綱(つな)」を詠んだ歌は6首あります。
巻2-0135:つのさはふ石見の海の言さへく唐の崎なる.......(長歌)
題詞:柿本朝臣人麻呂従石見國別妻上来時歌二首[并短歌]
題訓:柿柿本朝臣人麻呂、岩見の国より妻に別れて上り来たりし時の歌二首(後の歌)幷に短歌
原文:角鄣経 石見之海乃 言佐敞久 辛乃埼有 伊久里尓曾 深海松生流 荒磯尓曾 玉藻者生流 玉藻成 靡寐之兒乎 深海松乃 深目手思騰 左宿夜者 幾毛不有 延都多乃 別之来者 肝向 心乎痛 念乍 顧為騰 大舟之 渡乃山之 黄葉乃 散之乱尓 妹袖 清尓毛不見 嬬隠有 屋上乃(一云、室上山) 山乃 白雲間 渡相月乃 雖惜 隠比来者 天傳 入日刺奴礼 大夫跡 念有吾毛 敷妙乃 衣袖者 通而沽奴
万葉集 巻2-135
作者:柿本人麻呂
よみ:つのさはふ 石見の海の 言さへく 唐の崎なる 海石にぞ 深海松生ふる 荒礒にぞ 玉藻は生ふる 玉藻なす 靡き寝し子を 深海松の 深めて思へど さ寝し夜は 幾だもあらず 延ふ蔦の 別れし来れば 肝向ふ 心を痛み 思ひつつ かへり見すれど 大船の 渡の山の 黄葉の 散りの乱ひに 妹が袖 さやにも見えず 妻ごもる 屋上の [一云 室上山] 山の 雲間より 渡らふ月の 惜しけども 隠らひ来れば 天伝ふ 入日さしぬれ 大夫と 思へる我れも 敷栲の 衣の袖は 通りて濡れぬ
意訳:石見の海の辛崎に沈む海中の岩石には海深くに松が生えている。その荒磯に玉藻が生い茂ってなびくように、共寝した彼女。海深くに生える深海松(みるまつ)のように深く思って寝た夜はいくらもなく、蔦(つた)が二手に分かれていくように別れてきてしまった。その心の痛みに堪えられず振り返ってみるが、渡の山の黄葉が散り乱れ、彼女が振っている袖もはっきりとは見えない。 屋上の山(或いは室上山という)の雲間を渡っていく月が名残惜しい。その月が隠れてくるにつれ、入日が迫ってきて、一人前の男と思っていた私の袖も悲しみで濡れてしまった。
巻6-1046: 岩綱のまた変若ちかへりあをによし奈良の都をまたも見むかも
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ウェブニュースより
「古傷が再活動」、沈み込むプレート内にひずみ蓄積 ―― 13日夜に福島県沖で発生した最大震度6強の地震は、東日本大震災の余震域で発生した。日本海溝で沈み込む岩板(プレート)に蓄積したひずみが揺れを引き起こした。揺れの周期が短く、建物の倒壊も相次いだ。10年前の大地震の余震が続いている原因について、専門家は「過去の地震の古傷が再活動した」と指摘する。
「太平洋プレートの内部で発生した地震だった」。気象庁の鎌谷紀子地震情報企画官は、14日未明に開いた記者会見で地震の震源についてこう説明した。東日本大震災の余震とみられ、鎌谷氏は、今後1週間は同規模の地震に注意するように呼びかけた。
地震は、地球を覆うプレートの動きによって起きる。主な発生場所には、①プレート同士の境界部分②プレート内――の2つがある。東日本大震災を引き起こした巨大地震はプレート境界で起きた地震で、沈み込む海洋プレートによって引きずり込まれる大陸プレートが跳ね上がることで揺れにつながった。
今回の地震のメカニズムは東日本大震災とは異なる。プレート内で破壊が起きたことが原因だったとみられる。熊本地震や阪神大震災のように内陸のプレート内で起きる場合と、海洋プレート内で起きる場合があり、今回は海洋プレートの内部で起きた。
「過去の地震の古傷が再活動した」と話すのは、地震のメカニズムに詳しい東京工業大学の中島淳一教授だ。プレート境界地震などの影響で傷ついた海洋プレートが沈み込むことでひずみが変化して破壊につながったという。
東北沖では日本海溝でプレートが沈み込んでいるため、地震活動が活発だ。そのため、海洋プレートにひずみがたまりやすい。中島教授は「東北地方の地下は、今でもゆっくり変形している」と指摘している。東日本大震災から10年たっても続くプレート活動が、過去の地震の傷に影響を与え、今回の地震が引き起こされた可能性がある。今後の余震につながる恐れもある。
一般的にプレート内で起こる地震は、揺れの周期が比較的短く1秒程度だ。そのため、木造家屋や低層の建物、小屋などに与える影響が大きい。倒壊の危険性が高まっている建物も多くなっているとみられ、気象庁は注意を呼びかけている。 【日本經濟新聞 2021年2月15日 11:13】
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