瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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綿(わた)を詠める歌
 古代日本で「綿」というと今の木綿(もめん)とは違って、くず繭(まゆ)などを煮て引き伸ばして作った綿、いわゆる真綿(まわた)とされています。なお、真綿を紡いで絹糸(紬や生糸)が作られます。
 万葉集には綿の暖かさが詠まれています。主な歌に詠まれているのは真綿(まわた)だと考えられていますが、しらぬひ筑紫の綿……は、当時九州に渡ってきたばかりの綿(茶綿:ちゃめん)ではないかとも考えられます。(否定的な意見もあります。)

巻3‐0336:しらぬひ筑紫の綿は身に付けていまだは着ねど暖けく見ゆ

※沙弥満誓(さみのまんせい、生没年不詳)
 万葉歌人。俗名笠朝臣麻呂。和銅年間美濃守として政績を賞せられ、また木曾道を開き、養老年間按察使(あぜち)として尾張・三河・信濃3国を管し、右大弁を経て、元明上皇病臥に際して出家、723(養老7)造筑紫観世音寺別当として西下、大宰帥大伴旅人らと交わり、人間味豊かな短歌7首を《万葉集》にとどめました。寺婢に子を生ませていたことが死後露顕したとのことです。
巻5‐0892: 風交り雨降る夜の雨交り雪降る夜はすべもなく寒くしあれば.......(長歌)
標題:貧窮問答歌一首[并短歌]
標訓:貧窮問答の歌一首、また短歌
原文:原文: 風雜 雨布流欲乃 雨雜 雪布流欲波 為部母奈久 寒之安礼婆 堅塩乎 取都豆之呂比 糟湯酒 宇知須々呂比弖 之夫可比 鼻之尓 志可登阿良農 比宜可伎撫而 安礼乎於伎弖 人者安良自等 富己呂倍騰 寒之安礼婆 麻被 引可賀布利 布可多衣 安里能許等其等 伎曽倍騰毛 寒夜須良乎 和礼欲利母 貧人乃 父母波 飢寒良牟 妻子等波 乞々泣良牟 此時者 伊可尓之都々可 汝代者和多流
 天地者 比呂之等伊倍杼 安我多米波 狭也奈里奴流 日月波 安可之等伊倍騰 安我多米波 照哉多麻波奴 人皆可 吾耳也之可流 和久良婆尓 比等々波安流乎 比等奈美尓 安礼母作乎 綿毛奈伎 布可多衣乃 美留乃其等 和々氣佐我礼流 可々布能尾 肩尓打懸 布勢伊保能 麻宜伊保乃内尓 直土尓 藁解敷而 父母波 枕乃可多尓 妻子等母波 足乃方尓 圍居而 憂吟 可麻度柔播 火氣布伎多弖受 許之伎尓波 久毛能須可伎弖 飯炊 事毛和須礼提 奴延鳥乃 能杼与比居尓 伊等乃伎提 短物乎 端伎流等 云之如 楚取 五十戸良我許恵波 寝屋度麻■(人偏にテ) 来立呼比奴 可久婆可里 須部奈伎物能可 世間乃道
           万葉集 巻5-0892
         作者:山上憶良
よみ:風雑(まじ)り雨降る夜の雨雑(まじ)り雪降る夜は、すべもなく、寒くしあれば堅塩(かたしほ)をとりつづしろひ、糟湯酒(かすゆざけ)うちすすろひて、しはぶかひ、鼻びしびしに、しかとあらぬ、ひげ掻()き撫でて、我れをおきて人はあらじと誇ろへど、寒くしあれば麻衾(あさぶすま)引き被り、布肩衣(ぬのかたぎぬ)ありのことごと着襲(きそ)へども、寒き夜すらを、我れよりも貧しき人の父母は、飢ゑ凍ゆらむ、妻子どもは乞ふ乞ふ泣くらむ、この時はいかにしつつか、汝が世は渡る
 天地は広しといへど、我がためは狭くやなりぬる、日月は明しといへど、我がためは照りやたまはぬ、人皆か我のみやしかる、わくらばに人とはあるを、人並に我れも作るを、綿もなき、布肩衣(ぬのかたぎぬ)の海松(みる)のごと、わわけさがれる、かかふのみ肩にうち掛け伏廬(ふせいほ)の曲廬(まげいほ)の内に、直土(ひたつち)に藁(わら)解き敷きて、父母は枕の方に、妻子どもは足の方に、囲み居て憂へさまよひかまどには火気吹き立てず、甑(こしき)には蜘蛛の巣かきて、飯炊くことも忘れてぬえ鳥の、のどよひ居るに、いとのきて、短き物を端切ると、いへるがごとく、しもと取る、里長(さとおさ)が声は寝屋処(ねやど)まで、来立ち呼ばひぬ、かくばかり、すべなきものか、世間の道

意訳:風交じりの雨が降る夜の、雨交じりの雪が降る夜は、どうしようもなく寒いので、塩をかじりながら糟湯酒(かすゆざけ)をすすって、咳をしながら、鼻をぐずぐずさせて、少しばかりのヒゲをなでて、私以上の能の有る人はいないだろうと、うぬぼれてはいても、寒くて仕方ないので、麻衾(あさぶすま)をひっかぶり、あるだけの衣を着重ねしても寒い夜を私よりも貧しい人の父母は、お腹を空かせて凍えているだろうに、妻や子供たちは泣いているだろうに。
 こういう時は、あなたはどんな風に暮らしているのですか。
 天地は広いというけれど、自分には狭いものだ、陽や月は明るいというけれど、自分を照らしてはくれないものだ、みんなそうなんだろうか、自分だけがこのようなのだろうか、人並みには私も汗水流しているのに、綿も入っていないし、海藻のようにぼろぼろになった衣を肩に引っかけて壊れかかって曲った家の中に、地べたにわらをひいて父と母は枕の方に、妻や子どもは足の方に、取り囲むようにして嘆き悲しむ。かまどには火が入ることはなく、蒸し器にはクモの巣が張って、もうご飯を炊くことも忘れてしまったぬえ鳥の様にうめき声をあげていると、これ以上短くはならない物のはしっこを切るとでも言うように、鞭を持った里長(さとおさ)が、寝床にまでやってきてわめき散らす、こんなにもどうしようもないものなのか、世の中というものは。。。。。。
巻5‐0900:富人の家の子どもの着る身なみ腐し捨つらむ絹綿らはも

14-3354:伎倍人のまだら衾に綿さはだ入りなましもの妹が小床に

浜松の浜北区(旧浜北市)に伎倍という地名があり、浜北区内で詠まれた万葉集の歌は四首あります。当時、東国と呼ばれていた地域では、四首も詠まれるのは珍しいらしい。伎倍という地名は伎倍小学校などに名前に残っており、この辺は現在は貴布祢(きふね)と呼ばれているけど、伎倍から貴布祢(布という字が入っている)に変わったっぽい。また、昔は麁玉(あらたま)群という地名があったようで、あらたまの伎倍という言葉が入った句が二首あり、あらたまというのは、坂上田村麻呂ゆかりの白山神社(岩水寺)や椎ケ脇神社(浜松市天竜区)、有玉神社(浜松市東区)の天竜川の赤大蛇伝説に由来すると思われます。

ウェブニュースより
 藤井聡太2冠が87手快勝、叡王戦で初の挑決進出 丸山九段に雪辱 ―― 豊島将之叡王(竜王=31)への挑戦権を争う、将棋の第6期叡王戦本戦トーナメント準決勝、藤井聡太棋聖・王位(18)対丸山忠久九段(50)戦が22日、都内で行われた。

 午前10時に始まり、午後4時7分、87手で先手藤井が快勝。26日に同所で行われる斎藤慎太郎八段(28)との挑戦者決定戦に進出した。叡王戦での藤井の挑決進出は初めて。
 対局は、丸山の得意戦法である一手損角換わりに対し、積極的に踏み込んだ。鮮やかな指し回しでリードを広げ、丸山を投了に追い込んだ。両者は昨年7月の竜王戦決勝トーナメントで初めて対戦し、丸山が勝っている。大事な一番で雪辱した。
https://www.youtube.com/watch?v=hWGQvoG8ueE
 叡王戦は17年の第3期、18年の第4期は本戦入りしているが、初戦で姿を消している。19年の第5期は七段予選初戦で村山慈明に敗れた。
 藤井は今期、八段予選で長沼洋、師匠の杉本昌隆、広瀬章人を撃破。2期ぶりに16人による本戦(内訳は四・五段予選は各1人、・六・七段は各2人、八・九段各3人の計12人と、シードで前期ベスト4の渡辺明名人、佐々木大地五段、青嶋未来六段に、前期叡王の永瀬拓矢王座)へと勝ち上がった。こちらはは行方尚史九段、永瀬王座を倒してベスト4に勝ち上がった。
 現在、棋聖戦5番勝負で挑戦者の渡辺明名人(棋王・王将)相手に2連勝。第3局(7月3日、静岡県沼津市「沼津御用邸」)に勝てばタイトル初防衛を果たすと同時に、最年少での九段昇段となる。来週29日には王位戦7番勝負第1局(30日までの2日制として名古屋市「名古屋能楽堂」で開催)で豊島の挑戦を受ける。このほか、竜王戦の決勝トーナメント入りし、初戦で山崎隆之八段とぶつかるなど、多忙な日々が続く。
 挑決で待ち受ける斎藤は、先月まで名人戦に挑戦していた。藤井は18年の叡王戦本戦1回戦で黒星を喫している。今度こそ倒して、豊島への挑戦権を獲得するとともに、3冠を目指したい。    [日刊スポーツ 20216221629]


 

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1932/02/04
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くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
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