瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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(筑前目田氏真上)
集歌839 波流能努尓 紀理多知和多利 布流由岐得 比得能美流麻提 烏梅能波奈知流
訓読 春の野に霧立ちわたり降る雪と人の見るまで梅の花散る
意味 春の野を一面に霧が立ち渡り、降る雪と人が見間違えるように梅の花が散る。
 
(壹岐目村氏彼方)
集歌840 波流楊那宜 可豆良尓乎利志 烏梅能波奈 多礼可有可倍志 佐加豆岐能倍尓
訓読 春(はる)(やなぎ)(かづら)に折りし梅の花誰れか浮かべし酒坏の上に
意味 春の柳の若芽の枝を鬘に手折り、梅の花を誰れもが浮かべている。酒坏の上に。
 
(對馬目高氏老)
集歌841 于遇比須能 於登企久奈倍尓 烏梅能波奈 和企弊能曽能尓 佐伎弖知流美由
訓読 鴬の音()聞くなへに梅の花吾家(わがへ)の苑(その)に咲きて散る見ゆ
意味 鴬の音を聞くにつれて、梅の花が我が家の庭に咲きて散っていくのを見る。
 
(薩摩目高氏海人)
集歌842 和我夜度能 烏梅能之豆延尓 阿蘇比都々 宇具比須奈久毛 知良麻久乎之美
訓読 吾()が屋戸(やと)の梅の下枝(しづゑ)に遊びつつ鴬鳴くも散らまく惜しみ
意味 私の家の梅の下枝に遊びながら鴬が鳴くことよ。上枝(ほつえ)に鳴けと梅の花が散るのを惜しんでいるように。
 
(土師氏御道)
集歌843 宇梅能波奈 乎理加射之都々 毛呂比登能 阿蘇夫遠美礼婆 弥夜古之叙毛布
訓読 梅の花折りかさしつつ諸人(もろひと)の遊ぶを見れば都しぞ思()
意味 梅の花枝を手折り宴場に飾って、この宴会で人々が梅の花を見ながら風流を楽しむのを見ると、都での宴の様子が想像されます。
 
(小野氏國堅)
集歌844 伊母我陛邇 由岐可母不流登 弥流麻提尓 許々陀母麻我不 烏梅能波奈可毛
訓読 妹が家()に雪かも降ると見るまでにここだも乱(まが)ふ梅の花かも
意味 私の愛しい貴女の家に雪が降るのかと見間違うように、一面に散り乱れる梅の花よ。

(筑前拯門氏石足)
集歌845 宇具比須能 麻知迦弖尓勢斯 宇米我波奈 知良須阿利許曽 意母布故我多米
訓読 鴬の待ちかてにせし梅が花散らずありこそ思ふ子がため
意味 鴬がその花の咲くのを待ちかねていた梅の花よ。花を散らさずにあってほしい。私が恋いしているあの子に見せるために。
 
(小野氏淡理)
集歌846 可須美多都 那我岐波流卑乎 可謝勢例杼 伊野那都可子岐 烏梅能波那可毛
訓読 霞立つ長き春日(はるひ)をかさせれどいや懐(なつか)しき梅の花かも
意味 霞が立つ長き春の日に梅の花枝を手折り、こうして飾っていますが、ますます心が引かれる梅の花よ。

後追和梅謌四首
標訓 後に追ひて梅の歌に和(こた)へたる四首
萬葉集 巻5-849 残りたる雪に交(まじ)れる梅の花早くな散りそ雪は消()ぬとも
 
萬葉集 巻5-850 雪の色を奪ひて咲ける梅の花今盛(さか)りなり見む人もがも
 
萬葉集 巻5-851 吾()が屋戸(やと)に盛りに咲ける梅の花散るべくなりぬ見む人もがも
 
萬葉集 巻5-852 梅の花夢に語らく風流(みや)びたる花と吾()れ思()ふ酒に浮かべこそ


 

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プロフィール
ハンドルネーム:
目高 拙痴无
年齢:
92
誕生日:
1932/02/04
自己紹介:
くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
 sechin@nethome.ne.jp です。


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