言葉の語源は、「言(こと)」+「端(は)」の複合語です。古く、言語を表す語は「言(こと)」が一般的で、「ことば」という語は少なかったといいます。「言(こと)」には「事」と同じ意味があり、「言(こと)」は事実にもなり得る重い意味を持つようになりました。そこから、「言(こと)」に事実を伴なわない口先だけの軽い意味を持たせようとし、「端(は)」を加えて「ことば」になったと考えられます。
奈良時代の『万葉集』では「言葉」「言羽」「辞」の三種類の文字が使われ、「言羽」も軽い物言いを表現しているといえます。平安時代の『古今和歌集』や『土佐日記』では平仮名の「ことば」、『枕草子』では「詞」が使われ、室町時代の『徒然草』では「言葉」が使われています。
複数ある「ことば」の中で「言葉」が残った理由として、『古今和歌集』仮名序の「やまとうたは ひとのこころをたねとして よろづのことの葉とぞなりける」でうまく表現されているとおり、「葉」はたくさんの意味で豊かさを表すためと考えられています。「言の葉」が多く用いられていくのに並行し、「ことば」にも「言の葉」の意味が含まれるようになり、「言葉」は言語を意味する最も一般的な語として定着したようです。(パソコンの『語源由来辞典』より)
早口言葉はスムーズに読みにくい言葉をいかに素早く正確に言えるかを競う言葉遊びです。短くてわりと言いやすいものから、長すぎてもはや意味がわからないものまでいろいろな種類があります。遊びだけでなく、声優やアナウンサーのような正確な読み上げスキルの要求される職種では、滑舌のトレーニングとして用いられます。
・バスガス爆発 ・隣の竹垣に竹建てかけた ・隣の客はよく柿食う客だ ・買った肩たたき器高かった、使った肩たたき器温かかった
長いものになると、
・上の溝に泥泥鰌にょろりん、中の溝に泥どじょうにょろりん、下の溝に泥泥鰌にょろりん
・親がめの背中に子がめをのせて 子がめの背中に孫がめのせて 孫がめの背中にひい孫がめのせて 親がめこけたらみなこけた
さらに英語の早口言葉もあります。
・The Sixth sick sheik's sixth sheep's sick.(病に伏せている6番目の長老が飼っている6番目の羊が病気だ。)
・She sells sea shells by the seashore.(彼女は海岸で海の貝殻を売っている。)
長い名前の代名詞ともされています、よく知られた落語にに『寿限無』があります。どれほど長いかと言いますと、
「寿限無、寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚の 水行末 雲来末 風来末 食う寝る処に住む処 藪ら柑子の藪柑子 パイポ パイポ パイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの 長久命の長助」というものです。その意味は、
寿限無:限り無い幸福のこと。
五劫の擦り切れ:本来は「五劫の摺り切れず」が正しい。言い回しのために「ず」が省略されてしまうことがあるらしい。天女が時折泉で水浴びをする際、その泉の岩の表面が微かに擦り減り、それを繰り返して無くなってしまうまでが一劫とされ、その期間はおよそ40億年。それが5回擦り切れる、つまり永久に近いほど長い時間のこと。別の落語では、天女が三千年に一回、須弥山に下りてきて羽衣で一振りして、須弥山がなくなるまでが一劫である。
海砂利水魚:海の砂利や水中の魚のように数限りないたとえ。
水行末雲来末風来末:水・雲・風の来し方行く末には果てがないことのたとえ。
食う寝る処に住む処:衣食住の食・住より。これらに困らずに生きて行ける事を祈ったもの。
藪ら柑子の藪柑子:やぶらこうじのぶらこうじ、とも。「やぶらこうじ」とは藪柑子(やぶこうじ)で生命力豊かな縁起物の木の名称。「ぶらこうじ」はやぶこうじがぶらぶらなり下がる様か(?)単に語呂の関係でつけられたようにも思える。
パイポ、シューリンガン、グーリンダイ、ポンポコピー、ポンポコナー:唐土のパイポ王国の歴代の王様の名前でいずれも長生きしたという架空の話から。グーリンダイはシューリンガンのお妃様で、あとの2名が子供(娘)達という説も。
長久命:文字通り長く久しい命。また、「天地長久」という読んでも書いてもめでたい言葉が経文に登場するので、そこからとったとする説も。
長助:長く助けるの意味合いを持つ。
というものです。
これを早口で何度も繰り返すのが可笑しみを誘います。
https://www.youtube.com/watch?v=6IjkseESq5c
同じ趣旨の落語に『金明竹』というのがあります。金明竹とはマダケの栽培品種で、茎が黄色く、枝の出た上の一節の溝が緑色に残って美しいので、観賞用に栽培するものなのですが、落語『金明竹』は骨董屋(古美術店)を舞台とした滑稽噺です。店の小僧と客のおかしなやり取りを描いた前半部および、小僧と店主の妻が上方者の難解な言葉に振り回される後半部の二部構成となっており、多くは後半部のみ演じられるようです。道具七品の口上を狂と言葉でまくしたてるものですが、寿限無とともに喋りの修業に向いているので、前座ばなしとされるものです。
https://www.youtube.com/watch?v=poXs9dwt33M
歌舞伎の演目の一つに『外郎売』というのがあります。享保3年(1718年)正月、江戸森田座の『若緑勢曾我』(わかみどり いきおい そが)で二代目市川團十郎によって初演された歌舞伎十八番の一つです。現在は十二代目團十郎が復活させたもの(野口達二脚本)が上演されています。
今日では「外郎売」と言えばその劇中に出てくる外郎売の長科白を指すことが多く、日本では俳優や声優などの養成所、或いはアナウンサーの研修等で暗唱、発声練習や滑舌の練習に使われています。漢字の読みやアクセントは何種類かありますが、これは出典をどこから引用したかによる違いであるといいます。(例:一粒=「いちりゅう」「ひとつぶ」「健やかに成って・健やかに成りて」舌=「した」「ぜつ」 唇=「しん」「くちびる」など)
https://www.youtube.com/watch?v=zjrZMhRTg78
sechin@nethome.ne.jp です。
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