瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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其三 白兎(しろうさぎ)
 
 白兎の
諸州共に是ありと雖も、他邦の白兎は、即(すなはち)、其質(しつ)にして、生(むま)るゝより、白く、冬・夏ともに相同じ灰色なるは、その常なりと。越國(ゑつこく)に産する所は、春の末より秋の終りまでは盡(ことごと)く灰毛(はいげ)にして、白は絶(たへ)て、なし。冬は、即、淸白(せいはく)に雪の凝(こ)れるがごとし。春・秋も尚、斑(まだら)なるものだに見ず。去(さんぬ)ル安永年中、古志郡(こしごほり)の内(うち)より、黑頭(くろかしら)の白兎を出(いだ)せしことあり。近世に至ては、奧羽、又、信州・加賀・越中・佐州などにも、白兎、予が國のごとしと云へり。然(しか)れども、「年代實記」に、『寶龜五甲寅從二越國一獻白兎』とあり。此國、他邦に先立(さきだ)ちて、奇と稱すること、如此(かくのごとし)。凡(およそ)三奇、今、猶、諸州に同類出ると雖も、證書(しようしよ)、明(あきらか)なるを以(もつて)、他邦の産は盡(ことごと)く越國(ゑつこく)の余流と云ふべし。
注釈
 
冬季に雪深い越後なれば、そこに棲息する野兎(哺乳綱ウサギ目ウサギ科ノウサギ属ニホンノウサギ Lepus brachyurus)の体得した保護色に過ぎないと思われる。
 
 
「安永」一七七二年~一七八一年。
 
「古志郡」旧越後国の同郡は現在の長岡市の一部・小千谷市の一部・見附市の一部に当たる。 「佐州」は佐渡国。
 
「年代實記」不詳。野島出版脚注にも『この名の本は明らかでない』とある。幾つかの文字列の組み合わせで試してみたが、ネット上でも掛かってこない。
 
「寶龜五甲寅從二越國一獻白兎」「寶龜五甲寅(きのえとら)、越國より白兎(はくと)を獻ず」。


 

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