瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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2132b8bf.jpeg Alexandria(アレキサンドリア)のHeron(ヘロン、生没年不詳)は、古代ローマ属州egyptus(アエギュプトゥス、エジブトの語源)のAlexandria(アレキサンドリア)で活躍したギリシャ人工学者、数学者。師はKtesibios(クテシビオス、生没年不詳、少なくとも紀元前285年-紀元前222年にかけて活動)と言われる。
 
 蒸気の圧力を利用したさまざまな仕掛けも考案したが、自らが位置を変えて運動する蒸気機関は作らなかった。主な発明に、蒸気タービンや、蒸気を使って自動で開く扉などがある。
※ aeolos(アイオロス)の球〔aeolipile(イーエウリーパイル〕またはHero engine〔ヘロンの蒸気機関〕は、熱することでロケットのように噴射して回転するジェットエンジンである。紀元1世紀ごろ、Alexandria(アレキサンドリア)のHeron(ヘロン)がこの装置を文献に記し、多くの文献が彼が発明者だとしている。ヘロンの描いたアイオロスの球は、世界初の蒸気機関または蒸気タービンとされている。"aeolipile" の語源はギリシア語の "aeolos"(アイオロス)と "pila"(球)で、aeolos(アイオロス)はギリシア神話の風の神である。
 ヘロンは、より実用的にその作り方から説明している。曰く、
c33e2b24.jpeg“火の上に大釜を置く。球は軸を中心に回転できるようにしておく。大釜 A B(左図)に水を入れて蓋 C D をし、下から火で熱する。曲がった管 E F G は大釜の中とつながっており、その先端は中空の球 H K につながっている。Gの反対側に軸 L M があり、蓋 C D で固定されている。球には2本の曲がったパイプがあって球の中の空洞とつながっており、それぞれちょうど反対の位置にあって、逆方向に先端を曲げておく。このとき、F G L M という直線に直角な方向に曲げる。大釜が十分熱せられると蒸気を発し、それが E F G を通って球に入っていき、さらに球にある曲がった管を通って外に出る。すると球が回転する。” (左図参照)
 
8cd9337b.jpeg※ 紀元前215年頃古代エジプトの神殿に置かれた聖水(いけにえの水)の自動販売機の記述図解(てこの原理を応用し、投入された5ドラクマ硬貨の重みで内部の受け皿が傾き、その傾きが元に戻るまで弁が開いて蛇口から水が出る:左図参照)がある。これはヘロンの発明とよく言われているが、誰の発明かは良くわかっておらず、ヘロンの発明とする説や、クテシビオスの発明とする説、同名の別人のヘロンの発明とする説などがある。
 ラテン語の写本(1583年)が、ローマの国立図書館に収蔵されているという。
 
e2b2ae79.jpeg※ Heron(ヘロン)の噴水は一見すると永久機関のように思えるが、そうではない。噴水の吹き出し口が細ければ数分間噴き出し続けるが、最終的には必ず噴水が止まる。噴水は、それぞれの水が溜まっている箇所の水位よりも高く噴き出すが、全体として水は低い方へ流れ、溜まっていく。
 サイフォンと見なせばそれほど不思議ではないが、水鉢と下の箱をつなぐパイプを外し、別の水源から下の箱に水を供給しても、2つの箱の中の空気圧によってその水源の水位以上に水が持ち上がる。この装置は「ヘロンのサイフォン」とも呼ばれている。
 水鉢から下に落ちる水の位置エネルギーが下の箱から上の箱に伸びるパイプの空気圧(この部分では空気しか上に移動しない)に変換され、上の箱の水を水鉢の水位以上に押し上げる。
 噴水の高さは、水鉢から下の箱までの高低差とほぼ同じになる。最大限に効果を上げるには、上の箱を水鉢のすぐ下に配置し、下の箱はなるべく下に離すのがよい。
 上の箱の水位が低くなって、噴水用パイプに水が入らなくなると、噴水が止まる。再び噴水を噴き出させるには、下の箱の水を捨て、上の箱と水鉢を水で満たす必要がある。こうして水を高い位置に戻すことで位置エネルギーを与えたことになる。(左図参照)
 
96ea7b54.jpeg 数学では測量法の改良者として知られる。また、著書“Metrica”においてヘロンの公式の証明を与えた。ヘロンの公式は、3辺を知って、三角形の面積を求める公式である。(左図参照、便宜上余弦定理をもちいて証明してある)

 
 2次方程式はエジプトやバビロニアの記録にも断片的に現われているが、これを初めて本格的に取り扱ったのはおそらくHeron(ヘロン)であろうという。彼は、
「1つの正方形がある。その面積と周の和は896である。正方形の1辺はいくらか?」という問題を次のように解いている。
 正方形の1辺をxとすれば、題意によって x²+4x=896
 この両辺に4をくわえれば、 x²+4x+4=896+4
                 ∴ (x+2)²=900
 よって、 x+2=30   ∴ x=28  したがって 正方形の1辺は 28 である。
 この場合 x+2=±30 とする必要はないわけである。なぜなら、x は正の数に限るからである。
 
Heronの生没年については諸説あり、紀元前2世紀ごろとする説から、3世紀前半ごろとする説まである。「Ktesibios(クテシビオス)の弟子」というのが正しいとすると、紀元前2世紀後半から紀元前1世紀ごろの人物、と言うことになる。ブリタニカ百科事典では、著作で62年に見られた月食に言及している、として1世紀ごろの人物としている(なお、現在の版ではこの記述は削除されているが、少なくとも62年に生きていた、としている)。
 
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