瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 「勝手な自然数nを考えてみたまえ。①nが偶数ならば2で割りたまえ。②nが奇数ならば3倍して1を足してごらん。以下、これを繰り返してごらん。君が計算違いをしない限り、必ず1に到達するだろう」(以下は、1→4→2→1 を繰り返す)
a9937ba2.JPG 1937年にLothar Collatz(ローター・コラッツ1910~1990、 ドイツの数学者)が問題を提示して以来、コラッツの予想(Collatz problem)と呼ばれる数論の未解決問題のひとつで、Paul Erdős(ポール・エルデシュ、1913~1996年、ハンガリーの数学者)は「数学はまだこの種の問題に対する用意ができていない」と述べ、解決した人に500ドルを提供すると申し出たといわれる。
 例として、nの初期値を 6 にすると、6→ 3→ 10→ 5→ 16→ 8→ 4→ 2→ 1 81622330.JPGという数列を得る(初期値にかかわりなく「いつでも」1 に到達する、というのがコラッツの問題の主張である)。このような数列をコラッツ数列と呼ぶ。
 n の初期値を 11 とすると、11→ 34→ 17→ 52→ 26→ 13→ 40→ 20→ 10→ 5→ 16→ 8→ 4→ 2→ 1 となり、この数列は 1 に到達するまでに14ステップともっと長くなる事がわかる。
 n の初期値として 27 を選ぶなら、数列は111ステップにまで及び、その値は最終的に 1 に到達する前に 9232 にまで増大する。
 この予想は未解決だが、この問題を調査した多くの数学者によって直感的に正しいと考えられている。その理由は、この予想は 3 ×(2の53乗) = 27,021,597,764,222,976 までチェックされている。この記録は、コンピュータのスピードアップとテスト技術の向上に伴って伸ばされ続けているからである。
 もう1つの理由としてステップを経るごとに数の大きさがどのようになるかを考察してみる方法がある。
 偶数 2m なら2でわって、mにする。(偶数なら0.5倍する)
 奇数 2m+1 なら 3倍して1を足す すなわち 3(2m+1)+1=6m+4、さらに2で割って3m+2にすることになる。(奇数なら、およそ1.5倍する)
 ある自然数Nから初めて、この計算(偶数なら0.5倍し、奇数なら1.5ばいする)を繰り返した結果、偶数になったのがa回、奇数になったのがb回あったとすると、Nはおよそ N×(0.5のa乗)×(1.5のb乗)となる。
 ところで回数を多くすれば偶数と奇数はほぼ同じ回数出てくると考えられるので、a=bとすると N×(0.5のa乗)×(1.5のa乗)=N×(0.5×1.5のa乗)=N×(0.75のa乗)と考えられる。ここで、a→∞ とすれば、(0.75のa乗)→0 で、0.75は 1 より小さな値であるから、ステップを経るごとにNは「確率的に」小さくなると考えられる。この意味で、いつかは 1 に到達するとの予想は確からしいといえる。
 しかし、確率論の言葉を用いるとこれは無限のステップ数を取る極限で1に平均収束するということであり、厳密には予想の確からしさとは無関係なのである。
 必ず正しい答えが導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることが出来る方法で、答えの精度は保障されないが、回答に至るまでの時間が少なくて済み、主に計算機科学と心理学の世界で使われる語にheuristic(ヒューリスティック)というのかある。どちらの分野での用法も根本的な意味は一緒だが、指示対象が違う。計算機科学ではプログラミングの方法を、心理学では人間の思考方法を指して使われる。論理学では仮説形成法と呼ばれているそうだ。
 心理学におけるheuristicは、人が複雑な問題解決等のために何らかの意思決定を行う際、暗黙のうちに用いている簡便な解法や法則のことを指す。判断に至る時間は早いが、必ずしもそれが正しいわけではなく、判断結果に一定の偏り(bias、バイアス)を含んでいることが多い。ヒューリスティックの使用によって生まれている認識上の偏りを、認知バイアス(Cognitive bias)というのだそうだ。
 まあ、爺が民主党の代表選での予測を見損なったのも、小沢氏に対する認知バイアスが強すぎたのかもしれない。
 今週末は水門会出席のため、九州旅行となる。少し、身体を休めることもあって、此処1週間は朝の徘徊は控えて、近くの散策ぐらいにしておこう。まあ、ブログのほうも行き当たりばったり思いつくことを記すに留めよう。
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