瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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a0a72aba.jpg 昨夕はイギリスより、ビジネス出張で来日したIA氏を迎えてひさご通りのTAKEYAで会食。
ワンさん夫人、その弟さんのケンツ氏、そしてナベちゃん。MIさんが誘ってくれて、ほぼ40年ぶりのAKさんも参加してくれた。IA・ケンツ氏と小学校同期のMK氏が、経営する居酒屋で2次会。11時まで飲んだ。
 今朝は、少し2日酔い気味で、出掛けるのはやめた。早朝、布団の中で数学史関係の本をパラパラ。
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5a19a14d.JPG ラプラスに拠る確率の定義は「全体としてN個の場合があり、それらは同じ程度に確からしいとする。求める場合Eがr個であるとすれば、Eが起こる確率はr/Nである。」ということになり、Nが有限の場合についてなされているが、ごく自然に無限の場合にも拡張される。「長さLの曲線があり、その曲線上のどの点を取るかは同じ程度に確からしいとする(曲線上の各点に同等な確率が分布している)。この曲線の部分Eの長さがℓのとき、長さLの曲線上に任意の点を取れば、その点がEに含まれる確率はℓ/Lである」 この定義は長さについてされているが、面積や体積についても同じように定義されている。
 ラプラスの理論に拠ると、確率は明確に定義されていて、このような確率はあらゆる事象に対してただ一つ存在するものであって、それを探求するのが確率論の任務であるというのがラプラスのであった。ところが、その基礎のところに思わぬ矛盾が生じたのである。1つの事象に時には幾つもの確率が存在するような例が発見されたのである。その例として1888年フランスの数学者Joseph Louis François Bertrandが発表した「ベルトランのパラドックス」というのがある。
1d0890b0.JPG 「円に任意の弦を引くとき、その長さが内接正三角形の1辺より長くなる確率をもとめよ」というものである。左にその問題と、下に3通りの解を掲載しよう。


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 さらに、任意に弦を引くという場合、その解釈によって色々なことが考えられる。下に示すように確率が0の時だって、1の時だって考えられるという奇奇怪怪の事が起こりうることになる。
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 これは、「弦を引く」という行為の方法をちゃんと示さなかったことに拠るパラドックスなのである。確率に「無限」が絡むとややこしいことになるのだ。
 以上の例は「何をもって同等とするか」を前提としない限り、確率は論じられないということの教訓を示している。サイコロを投げたときの、6の目が出る確率が1/6というのは、絶対的真理としてきまっているわけではなくて、確率を考えるものにとっての仮定であり、「約束ごと」なのである。ラプラスの確率論の欠陥はあらゆる事象に対して、確率はそれぞれただ一つ決まっていて、それを求めるものだとした点にある。つまり確率というものが、前もって先験的にきまっているものだと考えた点にある。
ceb27585.JPG Andrey Kolmogorovにはじまる現代の確率論は、いくつかの仮定(公理系)を設定し ―― すなわち、確率空間を設定し ―― その上に理論を展開するものなのである。これは現代の公理主義的数学観と同じもので、この立場は「真理というものがどこにあって、それを探求するものが学問ではなく、何を仮定すれば何が結論されるのかの論理の連鎖が学問である」といえるのだろう。




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