藤を詠んだ歌3
巻19-4187: 思ふどちますらをのこの木の暗の.......(長歌)
標題:六日、遊覧布勢水海作謌一首并短謌
標訓:六日に、布勢の水海(みづうみ)を遊覧して作れる謌一首并せて短謌
原文:念度知 大夫能 許能久礼 繁思乎 見明良米 情也良牟等 布勢乃海尓 小船都良奈米 真可伊可氣 伊許藝米具礼婆 乎布能浦尓 霞多奈妣伎 垂姫尓 藤浪咲而 濱浄久 白波左和伎 及々尓 戀波末佐礼杼 今日耳 飽足米夜母 如是己曽 祢年能波尓 春花之 繁盛尓 秋葉能 黄色時尓 安里我欲比 見都追思努波米 此布勢能海乎
万葉集 巻19-4187
作者:大伴家持
よみ:念(おも)ふどち 大夫(ますらを)の 木(こ)の暗(くれ) 繁き思ひを 見(み)明(あき)らめ 情(こころ)遣らむと 布勢の海に 小船つら並(な)め 真櫂(まかい)掛け い漕ぎ廻れば 乎布(をふ)の浦に 霞たなびき 垂姫に 藤波咲て 浜清く 白波騒き しくしくに 恋はまされど 今日のみに 飽き足らめやも かくしこそ いや年のはに 春花し 茂き盛りに 秋し葉の 黄色(もみち)し時に あり通ひ 見つつ偲はめ この布勢の海を
意味:親しいもの同士で、立派な大夫たちが、木の枝下暗く繁るように、しきりに募る物思いを、景色を眺めて気をすっきりさせ、憂さを晴らそうと、布施の海に小舟を連ねて、立派な櫂を取り掛け、漕ぎ廻ると、乎布の入江に霞がたなびき、垂姫には藤波が咲いて、浜は清らしく、白波が打ち寄せ潮騒がし、波が次々と打ち寄せるように、つぎつぎと景色を慕う気持ちは勝るが、今日だけで飽きたるでしょうか、このように、一層に年毎に、春の花の咲き茂る盛りに、秋の葉が黄葉する時に、絶えることなく次々と通い、眺めながら景色を堪能しよう。この布施の海を。
巻19-4188: 藤波の花の盛りにかくしこそ浦漕ぎ廻つつ年に偲はめ
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