竹/篠(しの)を詠める歌2
巻3-0379:ひさかたの天の原より生れ来る神の命.......(長歌)
標題:大伴坂上郎女祭神謌一首并短謌
標訓:大伴坂上郎女の神を祭る謌一首并せて短謌
原文:久堅之 天原従 生来 神之命 奥山乃 賢木之枝尓 白香付 木綿取付而 齊戸乎 忌穿居 竹玉乎 繁尓貫垂 十六自物 膝折伏 手弱女之 押日取懸 如此谷裳 吾者祈奈牟 君尓不相可聞
万葉集 巻3-0379
作者:坂上郎女
よみ: ひさかたの天の原より生(あ)れ来(きた)る、神の命、奥山の賢木(さかき)の枝に、しらか付け、木綿(ゆふ)取り付けて、斎瓮(いはひへ)を、斎(いは)ひ掘り据(す)ゑ、竹玉(たかたま)を、繁(しじ)に貫(ぬ)き垂(た)れ、獣(しし)じもの、膝(ひざ)折り伏して、たわや女(め)の、襲(おす)取り懸け、かくだにも、我れは祈(こ)ひなむ、君に逢はじかも
意訳:天の原からおいでになる神さまに、山の榊(さかき)の枝に白香(しらか)や木綿(ゆふ)を取り付けて、瓶を供えて、竹玉(たかたま)を紐に通して、鹿のようにひざを曲げて、かよわい女の衣を着て、せめてこうゆう風にでも私はお祈りいたします。あなたに会えるかも知れないので。
巻3-0420:なゆ竹のとをよる御子さ丹つらふ我が大君は.......(長歌)
標題:石田王卒之時、丹生王作謌一首并短謌
標訓:石田王の卒(みまか)りし時に、丹生(にふの)王(おほきみ)の作れる歌一首并せて短歌
原文:名湯竹乃 十縁皇子 狭丹頬相 吾大王者 隠久乃 始瀬乃山尓 神左備尓 伊都伎坐等 玉梓乃 人曽言鶴 於余頭礼可 吾聞都流 枉言加 我間都流母 天地尓 悔事乃 世開乃 悔言者 天雲乃 曽久敝能極 天地乃 至流左右二 杖策毛 不衝毛去而 夕衢占問 石卜以而 吾屋戸尓 御諸乎立而 枕邊尓 齊戸乎居 竹玉乎 無間貫垂 木綿手次 可比奈尓懸而 天有 左佐羅能小野之 七相菅 手取持而 久堅乃 天川原尓 出立而 潔身而麻之身 高山乃 石穂乃上尓 伊座都流香物
万葉集 巻3-0420
作者:丹生王
よみ:なゆ竹の とをよる皇子 さ丹(に)つらふ 我(わ)が大君(おほきみ)は こもくりの 泊瀬の山に 神さびに 斎(いつ)きいますと 玉梓の 人ぞ言ひつる およづれか 我が聞きつる たはことか 我が聞つるも 天地に 悔(くや)しきことの 世間(よのなか)の 悔しきことは 天雲の そくへの極(きは)み 天地の 至(いた)れるまでに 杖(つゑ)つきも つかずも行きて 夕占(ゆふけ)問ひ 石占(いしうら)もちし 我がやどに みもろを立てて 枕辺(まくらへ)に 斎(いはひ)瓮(へ)を据ゑ 竹玉(たかたま)を 間(ま)なく貫(ぬ)き垂れ 木綿(ゆふ)たすき かひなに懸(か)けて 天ある ささらの小野の 七(なな)ふ菅(すげ) 手に取り持ちて ひさかたの 天の川原に 出で立ちて みそきてましを 高山の 巌(いはほ)の上(うへ)に いませつるかも
意訳:なよ竹のようにたおやかな御子、紅顔のわが大君は、泊瀬の山に神々しいさまで祭られていらっしゃると、使いの者が言って来た。まさかそんなことはあるまいに、人惑わしの空言を私は聞いたのか、とんでもないでたらめを私はきいたのか。ああ、天地の間で何よりも残念なことで、この世でいちばん残念なことは、天雲の遠くたなびく果て、天と地の接する遠い果てまで、どこまででも、杖を突いてでも突かないででも何としてでも行って、夕占もし石占もしてあらかじめ凶事をしるべきだったのに、わが家には祭壇を設け、枕辺には斎瓮を据えつけ、竹玉をびっしりと貫き垂らし、木綿だすきを腕にかけて神に無事を祈るべきだったのに、天上にあるささらの小野の七ふ菅を手に取り持って、天の川原に出かけて禊をして禍を祓うべきだったのに、何一つできずじまいで、わが君が高山の巌の上におられるままにしてしまったことよ。
◎大変に長い長歌となっていますが、歌の内容は「なよ竹のようなしなやかな皇子、赤みをおびた頬も美しいわが大君」と石田王のことを詠い、そんな石田王の亡骸を「初瀬の山に神々しくおまつり申し上げています」との使いの者の言葉を聞いたと詠っています。
そして歌の後半は、「天にあるという左佐羅の小野の七節の菅を取ってきて手に取り持ち、ひさかたの天の川原に出で立って…」などと、様々な方法で神を奉って不吉な話を聞いた身を払いたいものだけれど、石田王はほんとうに亡くなって高い山の巌の上におまつりされてしまったのだなあ、と嘆いています。
もちろん、丹生王も石田王が亡くなってしまったことは知ってはいたわけですが、それをこのような表現で信じたくないと詠うことで石田王の魂を慰めているわけ
ウェブニュースより
藤井聡太4冠 近藤誠也七段に勝利し21年白星締め B級1組単独首位に ―― 棋の最年少4冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=19)が2日、関西将棋会館で行われた第80期順位戦B級1組9回戦で、近藤誠也七段(25)を114手で下した。年内最後の公式戦を白星で締め、さらなる飛躍を目指す。
戦型は角換わり腰掛け銀。事前の研究をいかしやすい戦型で、両者とも研究手を繰り出した。中盤は持久戦模様の進行となった。夕食休憩後、本格的な戦いが始まり、一時、リードを奪われた藤井は持ち前の終盤力を発揮し、逆転勝ちした。
https://www.youtube.com/watch?v=cz60XSCCHLE
深夜まで及ぶ熱戦を制した藤井は「苦しい展開が続いているのかなと思っていた」と振り返った。藤井は同組の成績は8勝1敗。無敗で単独首位だった佐々木勇気七段が敗れ7勝1敗となったため、藤井は単独首位に立った。最年少名人への戦いが続く。
藤井にとっては大躍進の1年となった。今年は、棋聖と王位を初防衛し、新たに叡王、11月には竜王を獲得して史上最年少4冠になった。21年について「全体として実力以上の結果が出せて、いい経験ができた1年でした」と振り返った。
年明けから最年少5冠をかけて渡辺名人との王将戦7番勝負に臨む。来春以降は叡王戦、棋聖戦、王位戦、竜王戦と防衛戦が続く予定。 [日刊スポーツ 2021年12月3日1時5分]
sechin@nethome.ne.jp です。
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