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生姜
 ショウガ(生姜、生薑、薑)はショウガ科の多年草であり、野菜として食材に、また生薬として利用されます。
 熱帯アジアが原産という説が最も有力だが、野生のショウガが発見されたことがないためショウガの原産地は厳密には不確定です。

 インドではBC300~500年前にはすでに保存食や医薬品として使われ、中国でも論語の郷党編の中で孔子の食生活にはじかみの記述があり、紀元前650年には食用として利用されていたことが窺われます。ヨーロッパには紀元1世紀ごろには伝わっていたとされますが、ヨーロッパは気候が栽培に向かず、産物として輸入はされたが古代ギリシア人もラテン人も料理にショウガを活用することは少なく、主に生薬として利用したといいます。

 『魏志倭人伝』にもあるように日本には2~3世紀ごろに中国より伝わり奈良時代には栽培が始まっていたようです。『古事記』に記載があるように早くから用いられている。古くはサンショウと同じく「はじかみ」と呼ばれ、区別のために「ふさはじかみ」「くれのはじかみ」とも呼ばれました。

 また、大陸からミョウガとともに持ち込まれた際、香りの強いほうを「兄香(せのか)」、弱いほうを「妹香(めのか)」と呼んだことから、これがのちにショウガ・ミョウガに転訛したとする説があります。

 中世のヨーロッパではショウガの需要がコショウに匹敵するほど高まったといいます。14世紀のイギリスでの相場はショウガ1ポンド(約450グラム)でヒツジ一匹の価格に相当したそうです。ヨーロッパ人が植物としてのショウガを初めて見て記録したのは、13世紀にマルコ・ポーロがインド・中国で見た時のものが初めてであるといいます。15世紀末に新大陸が発見されると、ショウガはすぐに栽培作物として持ち込まれ、16世紀半ばには西インド諸島はショウガの産地となります。

山葵
 ワサビ(山葵)は強い刺激性のある独特の香味を持ち、日本原産の香辛料として、以前から欧米や東南アジアで認知度の高まりを見せていますが、東欧では自産のセイヨウワサビが伝統的に出回っています。また日本においても、家庭用練りワサビにはセイヨウワサビを本種と混ぜ合わせたものが多いといいます。



 奈良県明日香村の遺構からは「委佐俾三升(わさびさんしょう)」とかかれ木簡が発見されています。また、918年の『本草和名』では、「山葵」の和名を和佐比と記しています。同じく平安時代の『和名類聚抄』にも和佐比と記されています。ワサビの名が付く近縁な植物、特にセイヨウワサビと区別するため本わさびと呼ぶことがあります。地下茎をすり下ろしたすりわさびの事をワサビと呼ぶこともあります。寿司屋の符牒になみだ、さびがあります。寿司や刺身の世界的な普及に伴って、英語、フランス語、台湾語、広東語、韓国語などでそのままwasabiという発音で借用されているようです。

 およそ400年前の慶長年間(1596~1615年)の頃、有東木の村人が、わさび山の渓谷一面に自生しているわさびを採って、今も残る「井戸頭」という湧水地に試しに植えたのが、わさび栽培の始まりだと伝えられています。 そして「井戸頭」に植えたわさびが繁茂したため村人達にわさび栽培が広まリ現在に至っています。
 慶長12年7月(1607)、大御所として駿府城に居を構えた徳川家康公にわさびを献上したところ、家康公は、ことのほかわさびを愛好し、門外不出の御法度品として珍重したと伝えられています。

 延享元年(1744)伊豆天城より、シイタケ栽培の師として有東木に来ていた、板垣勘四郎が帰郷の際、恋仲になった有東木村の娘から、お礼としてひそかにお弁当箱にわさび苗を入れられ、伊豆に持ち帰り栽培したのが伊豆でのわさび栽培の始まりだと伝わっています。

 わさびが現在のように寿司の薬味として使われだしたのは江戸時代の文化・文政年間(18041830年)のころだと言われています。わさびを付けた握り寿司が考案され、江戸の町でブームが巻き起こったことで庶民の間に広まっていきました。当時は現代のように冷凍や冷蔵の設備がない時代。人々は、経験からわさびが食材の生臭みや細菌の増殖を抑えて食中毒の予防することを知って、活用していたと考えられています。


 


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