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ニンニク
 ニンニク(蒜、大蒜、葫、忍辱)はヒガンバナ科ネギ属の多年草で、球根(鱗茎)を香辛料として用います。
 日本ではニンニクやノビル(野蒜)など鱗茎を食用とする臭いの強い(ネギ属の)植物を総称して蒜(ひる)と呼んでいましたが、特にノビルと区別する場合にはオオヒル(大蒜)とも言いました。生薬名は大蒜(たいさん)といいます。語源は困難を耐え忍ぶという意味の仏教用語の「忍辱」とされます。
 5月頃に白い小さな花を咲かせるが、栽培時には鱗茎を太らせるために花芽は摘み取りますが、摘み取った茎は柔らかい物であれば野菜として利用されます。
 日本では禅宗で「不許葷酒入山門(葷酒山門に入るを許さず)」とされたように、強壮作用が煩悩(淫欲)を増長するとされて仏教の僧侶の間ではニラ、ネギ等とともに五辛の1つとして食が禁じられていました。漢字表記の「蒜」「大蒜」は漢語に由来する一方、仏教用語の「忍辱(にんにく)」がニンニクの語源となったとされます。『大和本草』巻之五 草之一 菜蔬類では、悪臭甚だしくとも効能が多いので人家に欠くべからざるものと評価された。

 日本では古事記の小碓命(ヤマトタケル)東征の逸話に、足柄山で白鹿に化けた坂の神を蒜(ひる)で打ち殺したと記されています。同じ逸話が日本書紀では、信濃坂(現在の神坂峠)で白鹿に化けた山の神を蒜で打ち倒したところ、霧が立ちこめ道を見失いますが、白い犬が出てきて導いたとあります。以前は旅人が信濃坂で神気に当たり病になることがあったが、この後蒜を嚼んで体に塗ると神気に当たらなくなったと記されています。ただし、この蒜はニンニクではなくノビル(野蒜)である可能性が高いようです。長野県にある 昼神温泉は、この神話(蒜嚼み→昼神)にもとづく名前であるといいます。

 源氏物語にもニンニクが登場します。第二帖帚木の巻で藤式部の丞が女性を訪ねたさい「極暑の薬草を用いて臭いので会えませんが、ご用は承りましょう」といわれた。そこで「ささがにのふるまひしるき夕暮れにひるますぐせと言うがあやなさ」と詠みます。女性は「あうことの夜をし隔てぬ仲ならばひるまも何かまばゆらかまし」と返します(「ひる」が昼と蒜の掛け詞になっていて「極暑の薬草」が蒜だと判ります)。

 元和2(1616)年1月21日徳川家康は、駿府の城内で豪商の茶屋四郎次郎が献上した、上方で当時流行の珍味、ニンニクのすりおろしをつけた鯛の天ぷらの食べ過ぎで起きた食中毒が死因となったとの俗説があります。ただし、実際に徳川家康が死去したのは、上方の珍味を食した3ヶ月後の元和2年4月17日であり、因果関係を立証し難く、現在はむしろ胃癌が死因と推測する仮説が最も流布しています。


ラッキョ
 ラッキョウ(辣韮、薤、辣韭)はネギ属の多年草の野菜です。別名「オオニラ」、「サトニラ」ともよばれています。
 中国、ヒマラヤ地方が原産地とされます。白色または紫色を帯びた白色の鱗茎を食用とします。 特有の強い匂いと辛味を持ちますが、この匂いはニンニクやニラと同じアリル硫化物であるといいます。

 中国では紀元前から栽培が行われ薬用として使われていたといわれています。日本に伝わったのは9世紀頃で、 平安時代の「新撰字鏡」や「本草和名」では「薤」という名で、「延喜式(えんぎしき)」では「薤白」の名で登場しています。当初は薬用として利用していましたが、江戸時代に入ると食用としても用いられるようになり、広く栽培されるようになりました。

 薤露蒿里(かいろこうり)とは葬送のときにうたわれた挽歌の名で、転じて、人の命のはかないことのたとえを言います。漢の田横(でんおう)が高祖に仕えることを恥じて自殺した時、その死を悼んで門人が作った挽歌で、武帝の時、李延年(生没年不詳、前漢の人物で、武帝に仕えた楽人)が二曲を分けて「薤露」は王侯貴族の葬送に、「蒿里」は下級官吏・士大夫・庶人の葬式に用いた。「薤露」は、薤(らっきょう)の葉に置いた露が乾きやすく落ちやすいのを命のはかなさにたとえたことから、「蒿里」はもと、山の名で、人が死ぬとその霊魂がここに集まり来るといわれたことから詠われたものです。

 


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