瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 本日は新聞休刊日である。朝起き抜けにパソコンを開くとウェブからのサーチナ情報に次のような記事があった。
 【社会ニュース】 2009/10/12(月) 23:53
 9日(アメリカ現地時間)、オバマ大統領がノーベル平和賞受賞の報せが届いた。この報せに世界中は元より、本人も予想出来なかったという。今回の受賞に関して、多くの人が疑問を感じたに違いない。世界中から疑問の声が上げられ、アメリカでも否定的な観方が拡がっている。アメリカにおいては共和党・保守党論客が批判的な意見を展開しているが、進歩的な意見を持つ陣営内でも「理解できない」という反応がある。
 進歩指向のロサンゼルスタイムズ紙は10日の社説に「私たちはオバマ大統領を支持して、彼の前任者よりもはるかに好んでいるが、なぜ就任直後にノーベル平和賞を受賞したのか分からない。ノーベル委員会はオバマ大統領を当惑させて、賞自らの信頼を損なった」と厳しい意見を述べている。11日に同紙が行ったオンライン世論調査によると、回答者の46%が『オバマ大統領は賞の受賞を断らなければならない』と答えている。
 また、昨年大統領選に公認でオバマ氏を支持していたワシントンポスト紙も、「慌てて授与したおかしな平和賞」としながら、「イラン大統領選挙不正に抗議して亡くなったイラン女子大生などの、明らかな他の候補がいながら、なぜノーベル委員会が今回の決定を下したのか分からない」と伝えている。ちなみにワシントンポスト紙は9日、3万7,675人にオンライン世論調査を行い、56%が今回の受賞に反対していることを報じている。投票者の中には、「インドのマハトマ・ガンジーさえ平和賞を受け取れなかったのに、政治新人のオバマが受けたことにより、ノーベル賞の権威を自らおとしめた」という意見もある。
 保守的な日刊紙ウォールストリートジャーナルは、10日付のコラムで「今回の授与は邪悪で無知。ノーベル委員会は単に、オバマがジョージ・W・ブッシュでないだけで賞を与えた。平和賞が『尊敬の対象』から、『冷やかしの種』に転落した」と酷評を浴びせている。
 この他、海外の反応も冷ややかである。ドイツの時事週刊誌シュビーゲルは「就任9ヶ月のオバマに賞を与えるのは、2~3km走ったマラソンランナーにメダルを与えるようなものだ。栄光よりもむしろ負担になるだろう」と指摘。中国の環球時報の11日に実施したオンラインアンケートによると、「納得できない」という回答が全体の86.2%を占め「オバマはまだ世界平和に貢献していない」という理由を挙げている。イギリスBBCが受賞者発表直後に新設したサイトで、『オバマ大統領の受賞に対してどう思うか』という質問に対して「今は早い」という意見が大多数を占めているという。
dc63c452.JPG 今回のノーベル平和賞の受賞は、世界的にも歓迎されていないようだ。ガンジーさえ受賞しなかったという意見には、なるほどと納得せざるを得ない。(情報提供:ロケットニュース24)
ノーベル各賞の中でも、平和賞ほど政治的意味合いの強い賞はない。あの、佐藤栄作、金大中も受賞している。世界のリーダーを自負するアメリカ合衆国の大統領が、「核廃絶」を声高に叫ぶ、それは重いものには違いない。リーダーとしての存在価値はともかく、日本の非核・平和団体を率いる人々は、戦後この方必至に「ノーモア原・水爆」を叫んできたのである。十分受賞に値するはずである。代表してオバマが受賞するものと受け止めれば、善しとする話ではあるのだが、一方でオバマはアフガンでの戦争を継続している。兵を増派しようという動きもあるほどである。対テロの戦争として、ブッシュ同様に正当化しているようにみえるが、「9・11」の犠牲者数に比べるべくもないほどの夥(おびただ)しい人命を奪い続けてもいるのである。”広島・長崎”と同スタンスのアメリカの正義が横行しているかのようでもある。人権派とされるオバマですら抗しえない力が、彼を縛っているのだろうが、「平和賞」と鮮やかな対照を描いている。無抵抗主義を貫き、インドを英国の長き呪縛から解き放ったあのマハトマ・ガンジーは5度、この平和賞候補に担がれたということであるが、いずれも固辞した。平和賞の政治的底意を見抜いていたのかもしれない。オバマが、今回、ガンジーと同様に固辞したなら、心底尊敬も出来るのだが…
43b72ba3.JPG 老子先生も、挫鋭解紛(ざえいかいふん)、和光同塵(わこうどうじん)――《その》鋭(えい)を挫(くじ)き、《その》紛(ふん)を解(と)き、《その》光を和(わ)し、《その》塵(ちり)に同(おな)じくす――と仰っている。



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9f648c15.JPG 朝食後、浅草寺境内からかっぱ橋商店街を抜けて昭和通へ出る。真源寺(入谷鬼子母神)に立ちより、柘榴の木の陰になっている句碑を撮影。(漱石来る)「蕣や君いかめしき文学士」「入谷から来る朝顔の車哉」と正岡子規の2句か刻まれている。大学の文学部を卒業すれば、自動的に文学士という学士号が与えられるが、現代の学士号にはかけらほどの値打ちもないが、この句がつくられた明治26年に大学は、日本中で帝国大学(現在の東京大学)しかなかったのである。現代の博士号よりもずっと値打ちがあったから、「いかめしい」のである。文学士はいうまでもなく訪ねてきた漱石である。英文科を卒業したのは漱石だけだった。子規も大学で同級生だったが、英語が苦手なので、前年6月の学年試験に落第し退学したのである。冗談半分の句ではあるが、きっと卒業できた漱石がうらやましかっただろう。漱石という雅号は、初めは正岡子規が自分で使うために用意したという。といっても、夏目金之助からもらった詩のなかから「漱石」の文字を引き出して、雅号に仕立てたのである。ところが一度も用いないうちに、金之助からゆずって欲しいと請われて進呈した。こうして夏目漱石というペンネームが誕生した。
『晋書』孫楚伝に「楚少(わか)き時隠居せんと欲す。/済(せい)に謂いて曰うに、/当に石に枕し流れに漱(くちすす)がんと欲すというべきに、/誤りて石に漱(くちすす)ぎ流れに枕すと云う。/済曰わく、流れは枕すべきに非(あら)ず。/石は漱(くちすす)ぐべきに非(あら)ず、と。/楚曰わく、流れに枕する所以(ゆえん)は、其の耳を洗わんと欲すればなり。石に漱(くちすす)ぐ所以(ゆえん)は、其の歯を厲(みが)かんと欲すればなり、と。《孫楚が若い頃、世を捨て隠棲しようと思った。王済にその気持ちを語ろうとして、「石を枕とし小川の流れにうがいをするつもりだ」と言うべきところを誤って、「石でうがいをし、流れを枕しようと思う。」と言ってしまった。/それを聞いて王済は、「流れを枕とすることができるかい。石でうがいをすることができるかい」と言った。/孫楚は、「流れを枕とするわけは耳を洗おうと思うからさ。石でうがいをするわけは歯を磨こうと思うからさ。」と言った。》」とあり、漱石の雅号はこの「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」の故事《間違いをも、強いて押し通すことで、負け惜しみの強いことを言う》に因んだものだという。ちなみに、国語の「さすが」に「流石」の文字を当たるのもこの故事によるものである。

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