檜扇を詠める歌16
巻13‐3280: 我が背子は待てど来まさず天の原.......(長歌)
原文:妄背兒者 雖待来不益 天原 振左氣見者 黒玉之 夜毛深去来 左夜深而 荒風乃吹者 立留 待吾袖尓 零雪者 凍渡奴 今更 公来座哉 左奈葛 後毛相得 名草武類 心乎持而 三袖持 床打拂 卯管庭 君尓波不相 夢谷 相跡所見社 天之足夜千
万葉集 巻13‐3280
作者:不明
よみ:吾(あ)が背子は 待てど来まさず 天の原 振り放け見れば ぬばたまの 夜も更(ふ)けにけり さ夜更けて 嵐の吹けば 立ち待てる 吾が衣手に 降る雪は 凍(こほ)りわたりぬ 今さらに 君来まさめや さな葛(かづら) 後も逢はむと 慰むる 心を持ちて 御袖もち 床うち掃ふ 現(うつつ)には 君には逢はず 夢にだに 逢ふと見えこそ 天の足(たる)夜(よ)を
意訳:あの人は待っても待っても来てくださらない。大空を振り仰ぐと夜も更けてきた。次第に更けて嵐も吹いてきた。外に出て立って待っている私の着物の袖に降る雪も凍てついてきた。今となってはもうあの人は来て下さらないだろう。さな葛のつるのように長く伸びて後には逢えるだろうと自分の心を落ち着かせ、両袖をもって床を打ち払った。でも、現実にはあの方には逢えないでしょう。せめて夢の中に出てきて逢って下さい。満ち足りた夜にするために。
巻13‐3281: 我が背子は待てど来まさず雁が音も.......(長歌)
題詞:或本歌曰
題訓:或る本の歌に曰く
原文:吾背子者 待跡不来 鴈音<文> 動而寒 烏玉乃 宵文深去来 左夜深跡 阿下乃吹者 立待尓 吾衣袖尓 置霜<文> 氷丹左叡渡 落雪母 凍渡奴 今更 君来目八 左奈葛 後<文>将會常 大舟乃 思憑迹 現庭 君者不相 夢谷 相所見欲 天之足夜尓
万葉集 巻13‐3281
作者:不明
よみ:我が背子は 待てど来まさず 雁が音も 響(とよ)みて寒し ぬばたまの 夜も更けにけり さ夜更くと あらしの更けば 立ち待つに 我が衣手に 置く霜も 氷にさえわたり 降る雪も 凍りわたりぬ 今さらに 君来まさめや さな葛 後も逢はむと 大船の 思ひ頼めど うつつには 君には逢はず 夢にだに 逢ふと見えこそ 天の足り夜に
意訳:あの人は待っても待っても来てくださらない。雁の鳴き声が響いてきて寒い。夜も更けてきた。次第に更けて嵐も吹いてきた。外に出て立って待っている私の着物の袖に置く霜も氷つき、降る雪も凍てついてきた。今となってはもうあの人は来て下さらないだろう。さな葛のつるのように長く伸びて後には逢えるだろうと大船に乗った気持で自分の心を落ち着かせた。現実にはあの方には逢えないでしょう。せめて夢の中に出てきて逢って下さい。満ち足りた夜にするために。
左注:右四首
注訓:右四首
ウェブニュースより
米が問う日本の覚悟 共同声明、52年ぶり「台湾」明記 ―― バイデン米大統領は就任後初めて対面で会う首脳に菅義偉首相を選んだ。米中対立のさなか、日本はどこまで米国とともに歩む意志があるのか。首脳会談は具体的なテーマをいくつも挙げ、日本に覚悟を迫るものとなった。日米共同声明での52年ぶりの台湾問題への言及がそれを象徴する。
バイデン氏は16日午後(日本時間17日午前)、ホワイトハウスのローズガーデンで開いた共同記者会見で「我々は中国からの挑戦にともに対応し、21世紀も民主主義国が競争に勝つことを証明する」と訴えた。日本と歩調を合わせて中国に対峙していく姿勢を強調した。
トランプ前大統領が対中批判の先頭に立っていた時代なら、日本はトランプ氏を盾に追従し、中国との正面衝突も避けられた。バイデン氏の期待は日本の並走にある。
「同盟の羅針盤」と位置づけた共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」と記したのは日本にとって一種の踏み絵。「台湾海峡」を記すのは日中国交正常化前の1969年以来となる。
日本政府内には3月の日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の共同発表で明記しており、今回は踏み込む必要はないとの意見もあった。それでも米側は最後まで首脳声明でも触れるよう求めた。
共同声明では日米同盟に関し、米国が核を含むあらゆる手段で日本を防衛することや、沖縄県・尖閣諸島が米軍の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象になると明記。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設などにも触れ、日米双方の関心事項を網羅した。
有事に持ちうる選択肢を改めて列挙し「日本は自らの防衛力を強化することを決意した」とも盛り込んだ。台湾問題を機にバイデン政権が同盟強化だけでなく、日本に自立した防衛力などより重い責任を望んでいる証左ととれる。
尖閣防衛や拉致問題への言及は日本の要望通りとした。米国本土から遠く離れた極東での対応に日本の協力は不可欠。同盟国の日本に最悪のシナリオへの備えと覚悟を求めた内容といえる。
「日本に中国と相対するつもりがあるのか」。米ニューヨーク・タイムズ紙の会談前の指摘は、もはや米中両にらみといった曖昧さを許さないとの米側の切迫感を映す。
半導体の供給を台湾に頼る米国にとって、台湾問題は産業政策にも直結する。台湾が米国のサプライチェーン(供給網)の急所だとの認識が強まるほど、台湾に圧力をかける中国への脅威論も高まる。
米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は3月の上院公聴会で「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と証言した。
危機感を裏打ちするように、日米は半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の拠点を米アリゾナと茨城県つくば市にそれぞれ誘致し、生産・開発拠点を分散させた。
バイデン氏は記者会見で人工知能(AI)や量子コンピューターなどにも言及し「先端技術が専制主義でなく民主主義の基準で管理されるようにする」と主張した。伝統的な安保の領域にとどまらず、経済全般にわたって中国と向き合う姿勢を示した。
脱炭素を巡る取り組みはその典型だ。産業構造の転換と裏表の関係にあるにもかかわらず、米国は欠かせない機器や資材を中国に依存する。
トランプ前政権が地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱。4年間の空白で米国の対応は遅れた。
その間に欧州連合(EU)が先行した。2030年までの温暖化ガス排出削減の目標を1990年比55%減と世界で突出する水準を掲げ、ルールづくりをけん引した。対応を急ぐ民間から洋上風力などで有力企業が多く育った。
中国も追い上げる。電気自動車(EV)用電池は中国企業が世界首位で4分の1のシェアを握る。EVのモーターに使うレアアース(希土類)も中国に偏在する。技術と資源を押さえられ、市場まで奪われかねないとの懸念が米国にある。
バイデン氏は就任早々に署名した大統領令で、気候変動を外交・安保政策の中心に据えると宣言した。巻き返しのパートナーとして白羽の矢を立てたのが、同盟国で技術の蓄積がある日本だった。
日本は脱炭素時代の「夢の燃料」と期待される水素技術の開発で先行する。両首脳が今回結んだパートナーシップでもクリーンエネルギーに関する技術協力を盛った。バイデン政権は日本に30年の削減目標を早く示すよう要求。首相も会談で、22日から米が主催する気候変動サミットまでに示すと約束した。
台湾問題への言及などで日中関係は一線を越えるおそれはある。台湾から170キロほどの尖閣諸島の周辺では連日、中国海警局の船が押し寄せる。首相は会談後、記者団に「中国に言うべきことははっきり言っていく」と明言した。
互いの本気度を探りあった会談はおよそ2時間半。20分間は通訳を交えた一対一だった。出されたハンバーガーにも手をつけず、話し合いに「熱中した」と首相は明かした。 【日本經濟新聞 2021年4月18日 2:00】
sechin@nethome.ne.jp です。
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