梓(あずさ)を詠んだ歌10
巻12-3149: 梓弓末は知らねど愛しみ君にたぐひて山道越え来ぬ
巻13-3302: 紀の国の牟婁の江の辺に千年に.......(長歌)
原文:紀伊國之 室之江邊尓 千<年>尓 障事無 万世尓 如是将<在>登 大舟之 思恃而 出立之 清瀲尓 朝名寸二 来依深海松 夕難岐尓 来依縄法 深海松之 深目思子等遠 縄法之 引者絶登夜 散度人之 行之屯尓 鳴兒成 行取左具利 梓弓 弓腹振起 志乃岐羽矣 二手<狭> 離兼 人斯悔 戀思者
万葉集 巻13-3302
作者:不明
よみ:紀の国の 牟婁の江の辺に 千年に 障ることなく 万代に かくしもあらむと 大船の 思ひ頼みて 出立の 清き渚に 朝なぎに 来寄る深海松 夕なぎに 来寄る縄海苔 深海松の 深めし子らを 縄海苔の 引けば絶ゆとや 里人の 行きの集ひに 泣く子なす 行き取り探り 梓弓 弓腹振り起し しのぎ羽を 二つ手挟み 放ちけむ 人し悔しも 恋ふらく思へば
意訳:紀の国の牟婁(むろ)の江のあたりに千年にもわたって何の差し支えもなく、未来永劫にこうあらんと大船のような思いで(安心して)、出で立とうと清らかな渚に立っていた。朝なぎどきに寄ってくる深海松(ふかみる)、夕なぎどきに寄ってくる縄海苔(なはのり)。その深海松のように深く恋い焦がれていた子なのに、細い縄海苔を引けば切れるだろうと、ある里人の男が集まりに行った際に、泣く子がものを手探りするように、梓弓を取って矢をつがえ、矢の根元のしのぎ羽を手挟んで放った。その行為が悔しい。安心して私は恋心を寄せていただけに。
巻13-3324: かけまくもあやに畏し藤原の都しみみに.......(長歌)
題詞:挽歌
題訓:挽歌(ばんか)
原文:挂纒毛 文恐 藤原 王都志弥美尓 人下 満雖有 君下 大座常 徃向 羊緒長 仕来 君之御門乎 如天 仰而見乍 雖畏 思憑而 何時可聞 日足座而 十五月之 多田波思家武登 吾思 皇子命者 春避者 殖槻於之 遠人 待之下道湯 登之而 國見所遊 九月之 四具礼之秋者 大殿之 砌志美弥尓 露負而 靡芽子乎 珠多次 懸而所偲 三雪零 冬朝者 刺楊 根張梓矣 御手二 所取賜而 所遊 我王矣 烟立 春日暮 喚犬追馬鏡 雖見不飽者 万歳 如是霜欲得常 大船之 憑有時尓 涙言 目鴨迷 大殿矣 振放見者 白細布 餝奉而 内日刺 宮舎人方 (一云、 者) 雪穂 麻衣服者 夢鴨 現前鴨跡 雲入夜之 迷間 朝裳吉 城於道従 角障經 石村乎見乍 神葬 々奉者 徃道之 田付叨不知 雖思 印手無見 雖歎 奥香乎無見 御袖 徃觸之松矣 言不問 木雖在 荒玉之 立月毎 天原 振放見管 珠手次 懸而思名 雖恐有
万葉集 巻13-3324
作者:不明
よみ:かけまくも あやに恐(かしこ)し 藤原の 王都(みやこ)しみみに 人はしも 満ちてあれども 君はしも 大(おほひ)に坐(いま)せど 行き向ふ 年の緒長く 仕(つか)へ来(こ)し 君の御門(みかど)を 天のごと 仰ぎて見つつ 畏(かしこ)けど 思ひ頼みて いつしかも 日足らしまして 望月の 満(たたは)しけむと 吾が思(も)へる 皇子の命(みこと)は 春されば 植(うゑ)槻(つき)が上の 遠つ人 松の下道ゆ 登らして 国見遊ばし 九月(ながつき)の 時雨(しぐれ)の秋は 大殿の 砌(みぎり)しみみに 露負(お)ひて 靡ける萩を 玉たすき 懸けて偲(しの)はし み雪降る 冬の朝(あした)は 刺楊(さしやなぎ) 根張り梓を 大御手(おほみて)に 取らし賜ひて 遊ばしし 我が王(おほきみ)を 烟(けぶり)立つ 春の日を暮らし 真澄鏡(まそかがみ) 見れど飽かねば 万歳(よろづよ)に かくしもがもと 大船の 頼める時に 泣く吾(わ)れ 目かも迷へる 大殿を 振り放け見れば 白栲に 飾りまつりて うち日さす 宮の舎人(とねり)も (一云 はく、は) 栲(たへ)の穂(ほ)の 麻衣(あさぎぬ)着れば 夢かも 現(うつつ)かもと 曇り夜の 迷(まと)へる間(ほと)に 麻裳(あさも)よし 城上(きのへ)の道ゆ 角(つの)さはふ 磐余(いはれ)を見つつ 神葬(かみはふ)り 葬(はふ)り奉(まつ)れば 行く道の たづきを知らに 思へども 験(しるし)を無(な)み 嘆けども 奥処(おくか)をなみ 大御袖(おほみそで) 行き触れし松を 言問(ことと)はぬ 木にはありとも あらたまの 立つ月ごとに 天(あま)の原 振り放け見つつ 玉(たま)襷(たすき) 懸けて偲(しの)はな 畏(かしこ)くあれども
意訳:言葉に表すのもとても恐れ多い藤原の宮は王都として多くの人々で満ちていて、貴い御方はたくさんいらっしゃるが、去り来る年月を長くお仕えして来た、貴い貴方の宮殿を天空を見るように仰ぎ見ながら、恐れ多いことではありますが、貴い貴方を思いお頼り申し上げて、いつごろには成長なされて満月のように満ちたりなされるのでしょうと私が思っていた皇子の尊は、春になると植槻のほとりの、遠くに出かけた人を待つ松の下道を通って山にお登りになって国見をなされて、九月の時雨の秋には御殿の砌に一面に露が着いて、風に靡く萩の花を玉のたすきのように紐に貫いて飾って秋をお楽しみになり、美しい雪が降る冬の朝には挿し木の楊の根が張るように弦を張った梓弓を御手にお持ちになられて的当てを為された我々の王を、民のかまどに煙が立ち、春霞の春の一日を穏やかに過ごし、願うものを見せると云う真澄鏡を見ていても飽きることがないと、万代にまでこのようにあるでしょうと、大船のように頼もしく思っていた時に、泣いている私。その私の目も間違ったのでしょうか、御殿を振り返って見ると、葬送の白栲に飾り付けられて、日の射し込む御殿に仕える舎人も栲の立派な麻衣を着ているので、夢でしょうか、現実でしょうかと、曇った夜に道を迷うように戸惑っている間に、麻の裳が良い城上の道を通って、でこぼこ道の磐余の里を横に見ながら、貴い貴方を神として葬送を行い申し上げると、今後の生き方を知らないので、貴方を思ってみてもどうしようもなく、それを嘆いてみても、御姿はない。貴方の立派な御袖が行き触れた松を名残として、言葉を語らぬ木ではあるが、あら魂の月が代わるたびに、貴方が登られた天の原を仰ぎ見上げて、玉のたすきを懸けて偲びましょう。恐れ多くはあるが。
反歌:角障經 石村山丹 白栲 懸有雲者 皇可聞
よみ:つのさはふ磐余(いはれ)の山に白栲に懸(かか)れる雲は皇(おほきみ)にかも
意訳:こぼこ道の磐余の山に白栲のように白く懸かっている雲は、皇太子であった貴方の魂でしょうか。
左注:右二首
注訓:右二首(みぎにしゅ)
ウェブニュースより
18日から米民主党大会 バイデン氏のリード縮まる CNN調査 ―― 【ワシントン時事】米民主党は17日(日本時間18日)から4日間の日程で、バイデン前副大統領(77)を11月の大統領選の候補者に正式指名する全国党大会を開く。
CNNテレビが16日発表した世論調査によると、共和党のトランプ大統領(74)に対するバイデン氏の支持率のリードは4ポイントに縮小。今年4月以降では最小幅となり、バイデン氏にとって警戒を要する結果となった。
調査は12~15日、全米の成人1108人を対象に行われた。バイデン氏に投票すると答えた人は50%でトランプ氏は46%。6月の前回調査で14ポイントあった差は大幅に縮まった。
無党派層のバイデン氏のリードは前回11ポイントから1ポイントに縮まっており、人種差別抗議デモなどがピーク時から落ち着いてきたことが影響した可能性がある。ただ、各種の世論調査平均では、バイデン氏が依然として7.5ポイントリードしている。
副大統領候補にハリス上院議員(55)を登用したことについては、52%が「素晴らしい」か「とても良い」と好意的な評価を与えた。
民主党大会は新型コロナウイルスの影響で大半のイベントをオンラインで実施。「米国の団結」をテーマに毎晩9~11時(米東部時間)、民主党全国委員会のウェブサイトで中継する。初日の17日は政策綱領を採択し、19日にハリス氏、20日にバイデン氏がそれぞれ指名受諾演説を行う。 (JIJI.COM 8/17(月) 20:33配信)
sechin@nethome.ne.jp です。
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