松を詠める歌4
巻3-0309: 石室戸に立てる松の木汝を見れば昔の人を相見るごとし
◎「三穂の石室」は和歌山県日高郡美浜町の三尾湾付近の岩屋です。
美浜町には、顕宗・仁賢天皇の父が、久米若子であるという次のような伝承が残っているそうです。
◆安康天皇は履中天皇の第一皇子市辺押磐皇子(いちのへのおしはのみこ)にその位を譲ろうとした。しかし、安康天皇の弟で、市辺押盤皇子の従兄弟にあたる大泊瀬皇子(後の雄略天皇)が近江国、来田綿(くたわた)の蚊屋野(かやの、滋賀県蒲生郡蒲生町)に市辺押盤皇子を狩りに誘い出し、猪と見誤ったふりをして暗殺してしまい、自分が天皇の位についた。
市辺押磐皇子の子である久米若子は、雄略天皇の迫害から逃れるため、母と臣下を伴い、丹波国に身を隠し、ここで億計(おけ)、弘計(をけ)の二人の皇子をもうけた。久米若子は心の動揺を癒すため神術習得のため愛し子、億計、弘計を臣下に託し、放浪の旅に出て消息を絶った。その後、二人の皇子は播磨国の志染(しじみ)の岩屋に隠れ住みついた。やがて成人した二人の皇子は、伊予来目部小楯(いよのくめべのおたて)によって見つけ出され、顕宗天皇(弟、弘計、23代天皇)、仁賢天皇(兄、億計、24代天皇)として即位する。それにつけても思い出されるのは幼くして別れた父、久米若子のことであった。
臣下を諸国に遣わし探し求めた。苦心の末、三穂の岩屋におられるという情報を得て使者を遣わしたところ、既に若子の姿はなく、松が生繁り、庵の後の草の根は枯れはて、岩に砕ける波しぶきに交じって白い磯つつじが風に揺らいでいるばかりであったという。
※博通法師(はくつふうほふし、生没年不詳)
奈良時代の僧です。「万葉集」巻3に紀伊(きい)三穂(みほ)(和歌山県)の石室(いわや)でよんだ歌3首があります。
巻3-0394: 標結ひて我が定めてし住吉の浜の小松は後も我が松
◎住吉の小松を詠っていますが、これも当然そのままの意味ではなく住吉の少女を松に譬えた譬喩歌で相聞の一首と言えるでしょう。おそらくは難波の宮などへ行く途上で住吉を訪れたときに出会った少女(遊女でしょうか)と関係を持ち、「君は成人した後も私のものだよ」と将来の婚姻を誓った歌なのでしょう。
※余明軍(よ みょうぐん、生没年不詳)
奈良時代の歌人です。百済(くだら)(朝鮮)王族系の余氏の渡来人と推定されます。「万葉集」巻3に天平(てんぴょう)3年(731)大伴旅人(おおともの-たびと)が死去したときの挽歌(ばんか)5首があり、その註に旅人の資人(つかいびと)(従者)とあります。ほかに譬喩(ひゆ)歌、相聞(そうもん)歌がおさめられています。新羅(しらぎ)(朝鮮)王族系の金氏の金明軍(こんの-みょうぐん)とする説もあります。
巻3-0431:いにしへにありけむ人の倭文幡の.......(長歌)
標題:過勝鹿真間娘子墓時山部宿祢赤人作歌一首[并短歌] [東俗語云可豆思賀能麻末能弖胡]
標訓:勝鹿(かづしか)の真間娘子(ままのをとめ)の墓を過ぎし時に、山部宿禰赤人(やまべのすくねあかひと)の作れる歌一首并て短歌 〔東(あづま)の俗語(よのこと)に云はく、かづしかのままのてご〕
原文:古昔 有家武人之 倭<文>幡乃 帶解替而 廬屋立 妻問為家武 勝壮鹿乃 真間之手兒名之 奥槨乎 此間登波聞杼 真木葉哉 茂有良武 松之根也 遠久寸 言耳毛 名耳母吾者 不<可>忘
万葉集 巻3‐0431
作者:山部赤人
よみ:古(いにしへ)に 在(あ)りけむ人の 倭文幡(しつはた)の 帯解(おびと)きかへて 伏屋(ふせや)立て 妻問(つまど)ひしけむ 葛飾(かづしか)の 真間(まま)の手児名(てこな)が 奥(おく)つ城(き)を こことは聞けど 真木(まき)の葉や 茂(しげ)りたるらむ 松の根や 遠く久しき 言(こと)のみも 名のみもわれは 忘らえなくに
意訳:昔居たという男が倭文幡の帯を解き合い、妻屋を立てて愛を交し合ったという葛飾の真間の手児名の墓はここだと聞いたけれど、真木の葉が茂ってしまったのだろうか。松の根のように遠く久しい出来事になってしまったのだろうか。墓はなくとも、言い伝えだけでも、その名前だけでも、私は忘れることはないよ。
◎伝説によると、手児奈は現在の市川市真間の地に暮らしていました。その容姿がとても美しかったため、多くの男性が手児奈に恋心を抱き、それが原因で男性たちの争いがたえなかったほどでした。男性たちが醜い争いを続けるなか、手児奈は次のような感慨を抱きます。「自分の心は幾つにでも分けることができる。しかし、身体は一つしかない。もしも、自分が誰かのもとに嫁げば、ほかの人を不幸にしてしまう」。夕陽が海の下へと沈んでいくのを目にした手児奈は我が身に絶望し、海に身を投げてしまったのでした。
手児奈の悲劇は遠く都にまで届き、都人はその話に涙したといいます。『万葉集』に手児奈の恋物語を題材にした歌が複数収録されていることは、その証であるといえるでしょう。『万葉集』を代表する歌人の一人・山部赤人は以上のような挽歌を詠んだのです。
巻3-0444:昨日こそ君はありしか思はぬに浜松の上に雲にたなびく
◎丈部 竜麻呂(はせつかべ の たつまろ、生年不- 天平元〈729〉年)は、奈良時代の官人。官職は摂津国班田使史生。
彼の自殺した要因ですが、
1.この時の班田使は、神亀6年(729年)3月の太政官奏により、全国の口分田を収公して再班給するという性格で、かなり厳しい状況の中で行われたものであったことが推定される。その激務の中で心身を消耗し、自殺に追い込まれたものと思わます。
2.この歌が詠まれた年は天平元年(729年)で、同年初め(神亀6年2月)に長屋王の変で長屋王・吉備内親王一家が自殺に追い込まれています。『万葉集』にも同年に倉橋部女王が詠んだとされる歌と、その息子の膳夫王を悲傷した詠み人知らずの歌が直前に収録されていることより、竜麻呂も長屋王と何かの縁があった可能性があります。
※大伴三中(おおとものみなか、生没年不詳)
奈良時代の貴族。大納言・大伴御行の子。名は御中とも記されます。
天平8年(736年)遣新羅副使に任ぜられて、同年秋頃に新羅に渡る。往路の対馬国竹敷浦(対馬島浅茅湾内)で和歌2首を詠んでいます。しかし、当時新羅との関係は悪化しており、使節としての使命は果たせませんでした。さらに、伝染病に感染してしまい、大使の阿倍継麻呂は帰途の対馬で病死、三中は病気が回復するまで入京を許されず、翌天平9年(737年)3月になって拝朝を行っています。なお、遣新羅副使としての功労により、従六位下から三階昇進して正六位上に叙せられています。
天平12年(740年)外従五位下に昇叙され、翌天平13年(741年)刑部少輔兼大判事に任ぜられます。兵部少輔を経て、天平17年(745年)大宰少弐に遷ると、天平18年(746年)長門守と一時地方官を務め、同年内位の従五位下に叙せられています。天平19年(747年)刑部大判事として京官に復しました。
ウェブニュースより
箱根駅伝、青学大が2年ぶり6回目の総合優勝 ―― 第98回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は3日、神奈川・箱根町―東京・大手町の復路5区間109.6キロで行われ、青学大が10時間43分42秒の大会新記録で、2年ぶり6回目の総合優勝を果たした。
復路スタート時点で2位に2分37秒差を付けていた青学大は、リードをそのまま維持。7区で岸本大紀(3年)がチームで初めて区間賞を獲得すると、9区で中村唯翔(3年)が1時間7分15秒の区間新記録をマーク。アンカーが独走状態でフィニッシュテープを切った。
2位は順大。2年連続の総合優勝を狙った駒大は3位。東洋大、東京国際大が4、5位と続いた。中央大は6位に入った。(記録は速報値) 【毎日新聞 2022/1/3 13:21(最終更新 1/3 13:40)】
コロナ、全国で新たに673人 東京大神宮でクラスター、参拝中止に ―― 新型コロナウイルスの感染者は3日、全国で新たに673人確認された。600人を超えるのは10月14日以来。東京都で103人、沖縄県でも130人が感染しており、いずれも約3カ月ぶりに100人を超えた。新型コロナの変異株「オミクロン株」の感染確認も相次いだ。
東京都では20、30代の若い世代が計54人で過半数を占めた。オミクロン株の感染者は25人で、うち11人が市中感染とみられる。また、千代田区の東京大神宮では3日までに11人のクラスター(感染者集団)が発生し、参拝を中止した。
大阪府では79人の感染が確認された。オミクロン株の感染は16人で、うち15人が市中感染とみられる。
一方、沖縄県は130人が新型コロナに感染したと発表した。オミクロン株の感染者は24人。キャンプ・ハンセン(金武(きん)町)など在沖米軍からは3日に16人の新規感染者が報告され、昨年12月15日以降の在沖米軍基地内の感染者数は9施設で計832人となった。県は米軍基地由来でオミクロン株の市中感染が始まり、若い世代を中心に感染が拡大したとみている。
大阪府では79人の感染が確認された。オミクロン株の感染は16人で、うち15人が市中感染とみられる。
一方、沖縄県は130人が新型コロナに感染したと発表した。オミクロン株の感染者は24人。キャンプ・ハンセン(金武(きん)町)など在沖米軍からは3日に16人の新規感染者が報告され、昨年12月15日以降の在沖米軍基地内の感染者数は9施設で計832人となった。県は米軍基地由来でオミクロン株の市中感染が始まり、若い世代を中心に感染が拡大したとみている。
また、山口県も56人が新型コロナに感染したと明らかにした。そのうち44人は米軍岩国基地がある岩国市在住だった。同県の村岡嗣政知事は「米軍関係者の影響の可能性が高い」との見方を示した。昨年末には基地の司令官に感染対策の徹底を電話で要請したという。米軍岩国基地は3日、同日までの3日間で計50人の感染を確認したと発表した。
そのほか、埼玉、神奈川、岐阜の各県でオミクロン株の市中感染が初めて確認された。岡山県では2人のオミクロン株の感染が初確認された。 【毎日新聞 2022/1/3 20:03(最終更新 1/4 00:40)】
sechin@nethome.ne.jp です。
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