松(まつ)を詠める歌2
巻2‐0113:み吉野の玉松が枝ははしきかも君が御言を持ちて通はく
◎この時、額田王はすでに六十歳を過ぎていて当時としてはかなりの高齢だったようです。松の枝に込められた「この苔の生えた松のように貴女も長生きをしてくださいね」との弓削皇子の心の言葉を、この美しい松の枝が運んできてくれました、といった感じのお礼の意味の歌ですが、かつての天武天皇の妻でもあった額田王に対する弓削皇子の深いいたわりの心が伝わってくるようですね。
巻2‐0141:磐白の浜松が枝を引き結びま幸くあらばまた帰り見む
◎有間皇子(ありまのみこ)は孝徳天皇の皇子です。父の孝徳天皇は中大兄皇子と不仲になり、遷都した難波宮で失意のうちに亡くなります。その後、斉明天皇と中大兄皇子が紀の湯へ行幸の留守中に、蘇我赤兄(そがのあかえ)が中大兄皇子の失政をあげて有間皇子に謀反をすすめます。仲間を得たと信じた有間皇子は自身の謀反の企みを赤兄に話し、ともに中大兄皇子を倒そうと誓い合いました。ところが数日の謀議が終わった直後、蘇我赤兄が突如、有間皇子を謀反の罪で逮捕してしまいます。じつはこの一件は、蘇我赤兄が中大兄皇子から自分の留守中に有間皇子が謀反を起こすようにしむけよとの命を受けていた謀略だったのだといわれています。
この歌は、そんな謀反の罪で捕えられた有間皇子が、中大兄皇子の尋問を受けるために天皇の行幸先まで移送される際に詠んだものと思われます。この時代、旅ゆくものは旅人の運命を左右する道の神々のご加護にすがるために、道の松の枝などに供え物を結び付けて旅の安全を祈るの風習がありました。
旅路はともかくその先の中大兄皇子の尋問を受けて生き残れるはずはないとのほぼ諦めの気持ちの中で、それでも道の神に祈らずにはいられなかった有間皇子の不安な気持ちが現在に生きる我々にも伝わってくるようですね。
有間皇子はこの後、中大兄皇子の尋問を受けた帰り道に藤白の坂に至っとところで絞殺され、ふたたびこの松の枝の供え物を見たかどうかは定かではありません。
しかしその無念の気持ちがこの場所に宿っていると信じて、後世、長意吉麿や山上憶良などの多くの者がこの地を通るときには有間皇子の魂を慰める歌を詠んで通ることになります。
巻2‐0143:磐代の岸の松が枝結びけむ人は帰りてまた見けむかも
※長意吉麻呂(ながのおきまろ、生没年不詳)
《万葉集》第2期(壬申の乱後~奈良遷都)、藤原京時代の歌人です。姓(かばね)は長忌寸(ながのいみき)で渡来系でしょうか。名は奥麻呂とも記します。柿本人麻呂と同時代に活躍、短歌のみ14首を残します。699年(文武3)のおりと思われる難波行幸に従い、詔にこたえる歌を作り、701年(大宝1)の紀伊国行幸(持統上皇・文武天皇)、翌年の三河国行幸(持統上皇)にも従って作品を残しています。これらを含めて旅の歌6首があります。ほかの8首はすべて宴席などで会衆の要望にこたえた歌で、数種のものを詠み込む歌や滑稽な歌などを即妙に曲芸的に作るのを得意としました。
巻2‐0144:磐代の野中に立てる結び松心も解けずいにしへ思ほゆ
巻2‐0145:鳥翔成あり通ひつつ見らめども人こそ知らね松は知るらむ
巻2‐0146:後見むと君が結べる磐代の小松がうれをまたも見むかも
巻2‐0228:妹が名は千代に流れむ姫島の小松がうれに蘿生すまでに
◎「河辺宮人」は飛鳥の「河辺の宮人」の意味で名前ではないという説があります。
「姫島」は所在は不明ですが、摂津のあたりでしょうか。
※河辺宮人(かわべのみやひと、生没年未詳)
伝不詳。和銅四年(711)、姫島の松原で娘子の屍を見て作ったという歌が万葉集に六首載ります。「河辺宮人」は人名でなく、飛鳥の河辺宮の宮人の意とする説があります(萬葉集全注釋)。また物語上の作者で、架空の人物の匂いが強いとも言います(萬葉集釋注)。
ウェブニュースより
ホンダが初優勝 新春の上州路を快走―全日本実業団駅伝 ―― 新春の上州路をたすきでつなぐ元日恒例の第66回全日本実業団対抗駅伝競走(ニューイヤー駅伝)は1日、前橋市の群馬県庁を発着点とする7区間100キロのコースで37チームが出場して行われ、ホンダが4時間51分4秒で初優勝を果たした。
SUBARU(スバル)が1分5秒差で過去最高の2位に入り、2年ぶりの制覇を狙った旭化成はトップと1分43秒差の3位。前回覇者の富士通は12位だった。
ホンダは3位でたすきを受けた6区の中山顕が区間賞の快走で首位に浮上。アンカーの土方英和がリードを守った。 (JIJI COM 2022年01月01日18時44分)
原子力・天然ガスは「持続可能」 欧州委が方針 ―― 欧州連合(EU)の欧州委員会は、原子力と天然ガスを地球温暖化対策に貢献するエネルギーと位置づける方針だ。両エネルギーを一定の条件をつけた上で持続可能と分類し、関連事業への投資にEUとしてのお墨付きを与える。決定されれば投資家の判断基準となり、世界のマネーの流れに影響を与える可能性がある。
「EUタクソノミー」は、どんな事業が持続可能(サステナブル)かを分類する制度だ。EUが掲げる「2050年までに域内の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする」ことを柱とする環境関連の目標に、貢献する経済活動かどうかを示す基準と言える。
この基準に沿った事業には投資家は安心して投資できる一方、EUには民間マネーを呼び込み、排出削減目標の達成を後押しする狙いがある。欧州委は排出削減目標の達成には30年までの毎年、官民合わせて少なくとも3500億ユーロ(約46兆円)の追加投資が必要とはじく。
持続可能と分類されない事業が禁止されるわけではないが、資金集めなどで不利になる可能性が高い。EUは企業や金融機関にタクソノミーの基準を満たす事業や商品の売上高に占める割合などの情報開示を求める構えで、同制度を前提としたルール作りがすでに始まっている。環境配慮をうたっているにもかかわらず、実態は伴っていない「グリーンウオッシュ」を排除する狙いもある。
自動車の二酸化炭素(CO₂)排出など気候変動関連の基準は公表済みで、一部は適用が始まった。だが原子力と天然ガスは関係者の対立から合意に至っていなかった。原子力発電は稼働中にCO2を排出しないが、有害な放射性廃棄物が出る。天然ガスは石炭に比べればクリーンだが、CO₂を出すのには変わりない。
欧州委は1日の発表文で未来へのエネルギー移行を促進する手段として「天然ガスと原子力の役割がある」として、両エネルギーを持続可能と位置づける考えをにじませた。
日本経済新聞が入手した原案によると、原子力は生物多様性や水資源など環境に重大な害を及ぼさないのを条件に、2045年までに建設許可が出された発電所を持続可能と分類する方針を示した。
天然ガスは①1キロワット時あたりのCO₂排出量が270グラム未満②CO₂排出の多い石炭の代替とする③30年までに建設許可を得る――などを条件に持続可能と認める。
原子力依存度の高いフランスやフィンランドに加え、石炭への依存度が高い東欧諸国が原子力やガスをタクソノミーに含めるよう訴えていた。ポーランドは電源構成に占める石炭の割合が約7割を占め、排出減には原子力とガスが欠かせないと主張していた。
欧州委は昨年12月31日から加盟国や専門家との協議を始め、1月中にも欧州委案を公表する考えだ。その後、加盟各国との議論や欧州議会での審議を経て成立する流れだが、曲折がありそうだ。
例えば脱原発を決めたドイツやオーストリアなどが原子力を持続可能と分類することに反対しているほか、欧州議会でも緑の党を中心に根強い反発がある。欧州では環境系の非政府組織(NGO)の発言力も大きい。
EUタクソノミーは域内で事業をする企業などが対象になる。だが影響は日本を含む世界に及ぶ可能性がある。EUの基準を満たさない事業や商品はEUでは価値が下がるのは確実で、EUに売り込みにくくなるばかりか、EUの投資家からの資金を集めにくくなる。 【日本經濟新聞 2022年1月2日 10:18】
sechin@nethome.ne.jp です。
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