松を詠める歌3
巻3-0257: 天降りつく天の香具山霞立つ春に至れば.......(長歌)
標題:鴨君足人香具山謌一首并短謌
標訓:鴨君(かものきみ)足人(たりひと)の香具山の謌一首并せて短謌
原文:天降付 天之芳来山 霞立 春尓至婆 松風尓 池浪立而 櫻花 木乃晩茂尓 奥邊波 鴨妻喚 邊津方尓 味村左和伎 百礒城之 大宮人乃 退出而 遊船尓波 梶棹毛 無而不樂毛 己具人奈四二
万葉集 巻3-0257
作者:鴨足人(かものたるひと)
よみ:天降(あも)りつく 天(あめ)の香具山(かぐやま) 霞(かすみ)立つ 春(はる)に至れば 松風(まつかぜ)に 池波(いけなみ)立ちて 桜花(さくらばな) 木(こ)の暗茂(くれしげ)に 沖辺(おきへ)には 鴨妻(かもつま)呼ばひ 辺(へ)つ辺に あぢ群(むら)騒き ももしきの 大宮人(おほみやひと)の 退(まか)り出て 遊ぶ船には 楫棹(かぢさを)も なくて寂しも 漕(こ)ぐ人なしに
意訳:天から降ってきた天(あめ)の香具山(かぐやま)は、霞(かすみ)が立つ春(はる)になると、松風(まつかぜ)に池が波立ち、桜花(さくらばな)は木陰が暗くなるほど茂り、池の沖には鴨(かも)が妻を呼び、岸にはあぢが群がって騒ぎ、大宮人が退出して、彼らが遊んでいた舟には梶(かじ)も棹(さお)もなくて、漕ぐ人が居なくて寂しいことです。
◎歌の内容としては前半部分で天の香具山に桜は木の下が暗くなるほど満開に咲き、埴安の池には鴨が妻を呼び鳴いているなど、その美しさが讃えられています。しかし、後半部分を読むとそこには宮殿から退出して池に遊ぶはずの大宮人の姿はなく、船には梶も棹も無しに荒れていることだと、その荒廃ぶりを悲しんでいます。このことから、この歌が詠まれたのはおそらくは都が奈良に遷ってからのもので、祭祀の氏族である鴨君足人が荒んでしまった藤原京の土地の神を憐れみ慰めた鎮魂歌なのでしょう。
※鴨君足人(かもの-たるひと、生没年不詳)
奈良時代の歌人です。長歌1首と短歌2首が「万葉集」巻3におさめられている。名は「たりひと」ともよみます。
巻3-0260: 天降りつく神の香具山うち靡く春さり来れば.......(長歌)
標題:鴨君足人香具山謌一首并短謌/或本謌云
標訓:鴨君(かものきみ)足人(たりひと)の香具山の謌一首并せて短謌/
或る本の謌に云はく
原文:天降就 神乃香山 打靡 春去来者 櫻花 木暗茂 松風丹 池浪飆 邊都遍者 阿遅村動 奥邊者 鴨妻喚 百式乃 大宮人乃 去出 榜来舟者 竿梶母 無而佐夫之毛 榜与雖思
万葉集 巻3-0260
作者:鴨足人(かものたるひと)
よみ:天降(あも)りつく、神の香具山(かぐやま)、うち靡(なび)く、春さり来れば、桜花(さくらばな)、木(こ)の暗茂(くれしげ)に、松風に、池波立ち、辺(へ)つ辺(へ)には、あぢ群(むら)騒き、沖辺(おきへ)には、鴨妻(かもつま)呼ばひ、ももしきの、大宮人(おほみやひと)の、退(まか)り出て、漕(こ)ぎける船は、棹楫(さをかぢ)も、なくて寂(さぶ)しも、漕(こ)がむと思へど
意訳:天から降ってきたとされている神の香具山(かぐやま)、春がやってくると桜花(さくらばな)が木陰を暗くするほどに咲き、松風に池は波を立て、岸辺にはあぢ群(むら)が騒いで、沖では鴨(かも)が妻を呼び、大宮人(おほみやびと)が出てきて漕いだ舟は、棹(さお)も舵(かじ)もなくて寂しいことです。漕ごうと思っても。
左注:右今案、遷都寧樂之後怜舊作此歌歟
注訓:右は今案(かむが)ふるに、都を寧樂(なら)に遷(うつ)しし後に舊(ふる)きを怜(あはれ)びて此の歌を作れるか。
巻3-0279: 我妹子に猪名野は見せつ名次山角の松原いつか示さむ
◎「猪名野(ゐなの)」は兵庫県伊丹市一帯の猪名川を中心とする地帯。
「名次山(なつぎやま)」は兵庫県西宮市名次町の丘陵。
「角の松原」は武庫川の河口一帯に広がる松原。
巻3-0295:住吉の岸の松原遠つ神我が大君の幸しところ
※角兄麻呂( つぬのえまろ、生没年不詳)
飛鳥(あすか)-奈良時代の官吏です。僧侶で恵耀と称し、大宝(たいほう)元年(701)還俗(げんぞく)しました。神亀(じんき)元年羽林連(はねばやしのむらじ)の氏姓をあたえられ丹後守(かみ)に任じられますが、同年流罪となります。「万葉集」巻3に4首の歌がのる角麻呂と同一人か。觮(ろくの)兄麻呂ともいいます。
ウェブニュースより
青学大が2年ぶり5度目の箱根往路優勝…2位に帝京大、3分28秒差の3位に駒大 ―― 第98回箱根駅伝は2日、東京・大手町の読売新聞社前から神奈川県箱根町の芦ノ湖駐車場入り口までの5区間107.5キロで往路が行われ、青学大が5時間22分6秒で2年ぶり5度目の往路優勝を果たした。
1区を5位でスタートした青学大は、2区の近藤幸太郎(3年)が2位に順位を上げると、3区の1年生・太田蒼生が区間2位の快走を見せてトップに。4区、5区でも危なげなく首位を守り続けた。
2位は帝京大で2分37秒差、3位は総合連覇を狙う駒大で3分28秒差だった。
4位は国学院大、順大、中大と続いた。出雲駅伝優勝の東京国際大は7位、昨年の大会で往路を制した創価大は8位だった。9位東洋大、10位東海大、11位早大。 (読売新聞オンライン 2022/01/02 13:36)
沖縄知事「激しい怒り」米軍を非難 オミクロン市中感染 日米地位協定の改定訴える ―― 新型コロナウイルスの感染が在沖米軍内で急速に拡大していることを受け、沖縄県の玉城デニー知事は2日、県庁で記者会見し「米軍の陽性者が再び急増したことは感染防止対策と管理体制の不十分さを示すものと言わざるを得ず、激しい怒りを覚える」と述べ、米軍の感染症対策に対して強い憤りを表明した。その上で、米軍に地位的な特権を与えている「日米地位協定」の改定を改めて日米両政府に訴えた。
在沖米軍は、昨年12月初旬に米本国から移動してきた部隊から感染が広がり、同31日に98人、1月1日に235人、同2日に70人の陽性者が確認されている。一方、沖縄県は、米側から人数についての情報提供を受けているものの、どの基地で何人の陽性者が確認されているのかなど、詳細な情報提供を受けていない。こうした状況に対して、玉城知事は「軍に地位的な特権を与え、十分な感染予防対策に関する情報の提供も、共有も、ままならないなどの状況をつくり出している。日米地位協定がもたらす構造的な問題だ」と指摘した。
玉城知事は新変異株「オミクロン株」が米軍から基地外の市中に広がっているとの認識を示し、「米国の状況を日本に持ち込むな。そして沖縄に持ち込むな」と強調。全国知事会や渉外知事会などを通して、政府へ対策を働き掛けていく考えを示した。オミクロン株は県内で2日までに65人の陽性者、90人の疑い事例が確認されている。 (琉球新報 2022年1月2日 17:43)
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