瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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 朝から雨。一日中家の中に引き篭り。
 王戎は竹林の七賢の中でも最年少者で、最高齢者の山濤とは実に29歳もの開きがある。阮籍は王戎より二十歳も年上であったが、お互い同年代であるかのような付き合いだったという。世説新語には多くの王戎に関する逸話が載せられている。
53d2f9e9.JPG 徳行篇第一に曰く、《王戎はいった。「嵆康(けいこう)とは二十年来の付き合いだが、私はまだ一度もかれの喜んだり怒ったりする顔を見たことがない」1》《王戎と和嶠(わきょう、?~292年)とは同時に親の喪にあったが、どちらも孝行者と誉められた。王戎は悲しみのために痩せ衰え、鶏の骨が寝台に横になっているようだったが、和嶠は礼式に定められたとおりの哭泣の作法を忠実に行った。/晋の武帝(236~90年、司馬炎)は、劉仲雄(りゅうちゅうゆう、?~285年)に言った。「お前はたびたび王戎と和嶠とを見舞ってやっているかね。聞くところによると和嶠は悲しみ方が酷いという事だが、心配になるよ」/すると劉仲雄は答えた。「和嶠は哭泣の作法を忠実に行っておりますが、元気は一向に衰えていません。王戎は、作法にこそ従っていませんが、悲しみ方がひどく、骨だけになっています。私の見るところでは和嶠は生孝を行っているのであり、王戎のほうは死孝を行っているのです。陛下におかれては、和嶠のことは心配されなくてよく、王戎のほうこそ心配せられるべきだと思います」17》《王安豊(王戎)が親の死にあったとき、その真心から出た悲しみの情は、人並みはずれたものがあった。裴令(237~291年)が弔いに出かけて、つぶやいた。「もし一度の慟哭が人間の生命を傷つけることがあるとするならば、きっと濬沖(しゅんちゅう、王戎の字)は性を滅ぼしたという誹りを免れないだろう」20》――孝経に「死を以って生を傷つくるなく、毀して性を滅ぼさざるは、これ聖人のまつりごとなり」とある。《王戎の父の王渾は名声があり、官は涼州刺史にまでなった。王渾が亡くなった時、その歴任した九郡の部下たちが彼の恩徳を慕い、うちそろって香典数百万銭をおくった。ところが王戎はこれを辞退して受け取らなかった。21》
王戎は幼少の頃から「神童」として誉れが高かったらしい。世説新語・雅量篇第六に曰く、《王戎が七歳のとき、子供たちと遊んでいたが、道端の李の木に枝もたわわに実がついているのを見つけた。他の子供たちは、我先にと走り寄ってこれを取ったが、王戎だけは動こうともしなかった。ある人が訊ねると、答えていった。「道端に木があるのに実がたくさんついているのは、きっと苦い李にちがいありません」これを取ってみると、なるほどその言葉通りであった。4》《魏の明帝(204~239年、曹叡)は宣武場で虎の爪や牙を切らせることにし、人民たちに自由に見物させた。王戎は七歳であったが、やはり見物に出かけた。虎は隙を見ておりに攀じ登って吼えたが、その声は大地を震わすほどであった。見物人は皆逃げ出したり、ひっくり返ったりしたが、王戎はじっとしたまま動かず、恐れる様子は全くなかった。6》《王戎が侍中をしていたとき、南郡太守の劉肇(りゅうちょう)が筒中の箋布五端を贈ってきた。王戎は受け取らなかったけれども、丁寧な返書を送った。》―― 晋書・王戎伝には「筒中の細布五十端」を賄賂として贈ったとある。

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