瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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  感遇
   張九齢(ちょうきゅうれい)    
孤鴻海上來  孤鴻(ここう) 海上(かいじょう)より来(きた)り
池潢不敢顧  池潢(ちこう) 敢(あえ)て顧(かえり)みず
側見雙翠鳥  側(そば)め見(み)る 双翠鳥(そうすいちょう)の
巢在三珠樹  巣(す)くうて三珠樹(さんしゅじゅ)に在(あ)るを
矯矯珍木巓  矯矯(きょうきょう)たり 珍木(ちんぼく)の巓(いただき)
得無金丸懼  金丸(きんがん)の懼(おそ)れ無(な)きを得(え)んや
美服患人指  美服(びふく)は人(ひと)の指(ゆび)ささんことを患(うれ)え
高明逼神惡  高明(こうめい)は神(かみ)の悪(にく)みに逼(せま)る
今我遊冥冥  今我(われいま) 冥冥(めいめい)に遊(あそ)ぶ
弋者何所慕  弋者(よくしゃ) 何(なん)の慕(した)う所(ところ)ぞ
 
7c4be1a2.JPG(訳)独り離れた大鴈が、海上から飛んで來る。
   その鳥は小さな池や水溜りは決して顧りみない。
   側に二羽のつがいの翡翠の鳥が美しい羽を輝かす三珠樹と言う珠の木に巣を作っている
   (彼の二人)高高とこの珍しい木の頂上にいれば
   誰の目につく狙う物が黄金の弾で撃つ懼れが無いわけではない。
   美しい服は人が指さしあれこれ言う心配がある。
   高く明い家を作ると高慢な心の為に神の悪に近ずく
   今私は一羽の鴻となり光の届かぬ空を高く飛でいる
   射て鳥を捕る人どうして私を追いかけ狙うことなどあろうか、
   私は何の憂いも無く優游自適の暮らしを楽しんでいる。
 
 この詩は張九齢が失脚の後、自適の心境を述べた詩。政敵李林甫・牛仙客の豪奢高慢を風刺し抑えがたい哀情を発露したものである。陳子昂と方駕し李白と驂乗すべきすべきものと伝えられる。一方、晉の阮籍の詠懐詩に倣い、忠誠の情を鳥魚草木に託して述べたものとも言う。
 玄宗の開元の治も、李林甫の登用、張九齢の失脚で凶兆が現れ、天宝の乱に向かって唐朝崩壊えと進む。張九齢の罷免が治乱の原因の一つであろう。古来より歴史研究家の指摘するところだという。
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