瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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蘇軾が獄中で死を覚悟し、弟の蘇轍に贈った詩二首のうちの二つ目です。自分が死んだ後に妻子が路頭に迷わぬよう、面倒を見て遣ってほしい、そんな気持ちが伝わってきます。

 

  柏臺霜氣夜淒淒  柏臺の霜氣 夜淒淒たり

  風動琅儻月向低  風は琅儻を動かし 月は低きに向ふ

  夢繞雲山心似鹿  夢は雲山を繞(めぐり)り 心は鹿に似たり

  魂驚湯火命如鶏  魂は湯火を驚かし 命は鶏の如し

  眼中犀角真吾子  眼中の犀角 真に吾が子

  身後牛衣愧老妻  身後の牛衣 老妻に愧づ

  百歳神游定何處  百歳の神游 定めて何れの處ぞ

  桐郷知葬浙江西  桐郷は知る 浙江の西に葬らるると

 

御史台(柏臺)には霜の気配が忍び寄り夜が寒々と更けわたる、風が緊縛の縄を吹き揺らし、月が西の彼方へと沈んでいく、夢はふるさとの山々を駆け巡り、まるで鹿になった気分だ、魂は死を恐れ、鶏のようにはかない命を嘆く

 まぶたの裏にみるわが子は賢い相、死後に妻子たちに待っているだろう極貧を恥じるばかり、自分の死後に魂はどこをさすらうのか、わが死体が浙江の西に葬られることだけは、みんな知っているようだが

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1932/02/04
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