今日9月9日は重陽の節句です。
陰陽思想では奇数が陽でめでたい数字とされ、陽の数字で最も大きい9が重なることから重陽(ちょうよう)と呼び、古代中国では大変めでたい日として菊の花を飾り、菊酒を飲んでいました。日本では平安時代から菊酒を飲み長寿を祈る「観菊会」が行われ、また、「お九日」(おくんち)と呼び、各地で秋祭りが行われてきました。
東晋の陶淵明は菊と酒を愛した詩人として有名であり、重陽節との関係も深いようです。北宋以後、重陽節は菊花をめでる日ともなり、菊の種類の飛躍的な増加とともに、菊の鉢を山や塔の形に陳列したり、展覧会が開かれたりしたといいます。
飮酒二十首 其五 陶潜
結廬在人境, 廬を結んで人境に在り,
而無車馬喧。 而も車馬の喧しき無し。
問君何能爾, 君に問ふ 何ぞ能く爾ると,
心遠地自偏。 心遠く地自から偏なり。
采菊東籬下, 菊を采る 東籬の下,
悠然見南山。 悠然として南山を 見る。
山氣日夕佳, 山氣 日夕に佳し,
飛鳥相與還。 飛鳥 相ひ與に還る。
此中有眞意, 此の中に眞意有り,
欲辨已忘言。 辨ぜんと欲して已に言を忘る。
訳) 人里に庵を構えているが、役人どもの車馬の音に煩わされること
はない。「どうしてそんなことがあり得るのだ」とおたずねか。
なぁに、心が世俗から離れているため、ここも自然と僻遠の地に変
わってしまうのだ。
東側の垣根の下に咲いている菊を手折りつつ、ゆったりとした気
持ちでふと頭をもたげると、南方遥かに廬山のゆったりとした姿が
目に入る。山のたたずまいは夕方が特にすばらしく、鳥たちが連れ
立って山のねぐらに帰って行く。この自然の中にこそ、人間のあり
うべき真の姿があるように思われる。しかし、それを説明しようと
したとたん、言葉などもう忘れてしまった。
sechin@nethome.ne.jp です。
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