瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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以下は『Romeo and Juliet(ロミオとジュリエット)』のあらすじです。
 ヴェローナの2つの名家、キャピュレット家とモンタギュー家は仇敵同士です。ところが、モンタギュー家の一人息子ロミオとキャピュレット家の一人娘ジュリエットとが互いに一目惚れしてしまいます。
 神父のロレンス修道士は「この縁組」が両家の和解を導くこともあろうかと一肌脱いで二人をひそかに結婚させます。ところが、ロミオは喧嘩に巻き込まれて、ジュリエットの従兄弟ティボルトを殺し、ヴェローナを追放されます。

 一方、ジュリエットは大公の親戚、パリス伯爵との結婚を両親に命じられます。修道士は一計を案じ、ジュリエットを薬で仮死状態にして葬らせ、蘇生後にロミオと駆け落ちさせようとします。ところがロミオは、その手はずを知らないまま、ジュリエットの死の知らせを受けると墓に駆けつけ、毒薬をあおって死んでしまいます。目覚めて彼の死を知ったジュリエットも短剣で自殺します。

 シェークスピアの『ロミオとジュリエット』は悲劇とされ、シェークスピアの死後に刊行された全集の分類でも悲劇とされています。この作品が、『Hamlet(ハムレット)』と並んでシェークスピア作品の中でもずば抜けて有名であるにもかかわらず、シェークスピアの四大悲劇が『ハムレット』に加え『Othello(オセロ)』『Macbeth(マクベス)』『King Lear(リア王)』とされるのは、この作品が主題が異なるため、同じ恋愛悲劇である『Antony and Cleopatra(アントニ―とクレオパトラ)』などと並べて論じられるからです。
 ロミオとジュリエットは男女間の悲恋を取り扱った物語であり、人間の愚かさや人間が持つ醜さを扱ったものではない。
 悲劇とは、実らない恋愛でも人の死でもなく、人間だれしも持つ弱さが招いたその人自身の人生の破滅、さらにはその人の周りの人の人生の破滅を意味するといえるのでしょう。
 シェークスピアの全戯曲のほとんどは、既存の物語やエピソード、詩などをベースに翻案したものであると言われていますが。シェイクスピアが『ロミオとジュリエット』を書くにあたって直接種本としたのは、Arthur Brooke(アーサー・ブルック)の物語詩『The Tragical History of Romeus and Juliet(ロミウスとジュリエットの悲しい物語)』(1562年、イギリス)と言われています。しかし、アーサー・ブルックについては、生没年はもとより不明なことが多いようです。
 『ロミオとジュリエット』の物語の成立は、西欧の民間伝承やギリシアの古典物語に端を発しているともいわれています。中でも特に有名なのは、昨日の爺のブログで取り上げた、古代ローマの詩人オウィディウスがギリシアの神話に基づいて著した『Pyramus and Thisbe(ピュラモスとティスベ)』で、シェイクスピアは『A Midsummer Night's Dream(真夏の夜の夢)』の中でも『ピュラモスとティスベ』を劇中劇として取り上げています。


 ロミオとジュリエットの物語は、対立する二つのグループと、それに翻弄され悲しい結末へ至る恋人達という、時代や文化背景を越えた、普遍性のあるドラマ的構図を含んでいます。それ故に、古代の民間伝承から中世のシェイクスピアに至るまでの間、何度も翻案をされ続けてきたのでしょう。


 シェイクスピア作の『ロミオとジュリエット』は、彼の属する宮中の大臣一座の人気の演目として、観客達に受け入れられたと言います。その後の時代でも、欧米を中心に、様々な演出家、俳優達によって、多くの劇場で何度も上演されてきました。時にはオペラやバレエに翻案されることもあり、『ロミオとジュリエット』の種本が、戯曲化されて上演されることもあったようです。現代においては映画・テレビなどの分野でも、題材として取り上げられることが多々あります。


 


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