瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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列子には栄啓期(えいけいき)の三つの楽しみについての記事がある。この一文とほとんど同じ文章が『説苑(ぜいえん)雑言篇』、『孔子家語・六本篇』などにも見えます。また、『淮南子・主述篇』に「栄啓期、一たび弾じて孔子は三日楽しみ、和に感ず」、同じ『淮南子・斉俗篇』には『林類・栄啓期、衣は蓑を県(か)くるが若(ごと)きも而も意は慊(うら)まず』とあります。

 

 孔子泰山(たいざん)に遊び、栄啓期の郕(せい)の野に鹿裘(ろっきゅう)帯索(たいさく)琴を鼓(なら)して歌うを見る。孔子曰く、先生何を以って楽となすと。曰く、吾(わ)が楽甚(はなは)だ多し、而して至れるもの三(みっつ)、天(てん)万物(ばんぶつ)を生(しょう)ず、ただ人を貴(とうと)しとなす、吾(われ)人たるを得たり、一楽なり。男は貴く女は賎(いや)し、吾(われ)男たるを得たり、二楽なり。人生まれて日月を見ず、繦瞀(むつき)を免れざるものあり、吾が年九十なり、これ三楽なり。貧は士の常、死は人の終り、吾(われ)何ぞ憂えんや。 列子天瑞篇

 

※鹿裘(ろっきゅう)=鹿の皮で作った衣

※帯索(たいさく)=ロープの先を二つに裂いて先端を結び、輪にしたもの


 孔子が泰山に遊んだ折、栄啓期(えいけいき)という老人が郕(せい)の町の遠
郊を歩いていのに出会った。鹿の皮衣に縄の帯といういでたち、琴をかきなでながら歌っている。孔子が「ご老人、何が楽しくてそのようにしておられるのですか?」と訊ねると老人は答えた。

「わしの楽しみはとても多いが、天が万物を生じた中で、人間こそが一番貴い。ところで、わしはその人間に生まれることができた。これか第一の楽しみだ。また人間には男女の別があるが、男尊女卑で男が貴い。ところでわしはちゃんと男に生まれられた。これが第二の楽しみだ。また、同じ人間と生まれても、日や月を拝まずに死に、赤子のまま死ぬものもある。ところで、このわしは、もう齢九十歳にもなる。これが三つ目の楽しみだ。貧乏は男の定め、死は人生の終り、その定めに安んじておわりを全うすることができれば、何をくよくよすることがあろうか。」
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