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ハロウィーンは毎年1031日に行われる、ヨーロッパを発祥とするお祭りです。もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事で、111日の、カトリックの聖人の日である万聖節(All-hallow)の前の晩に行われていました。「All-hallow-even」を短縮して、Halloweenと呼ばれます。発祥の地はアイルランドやイギリスという説があります。古代ケルト、古代ローマ、キリスト教の3つの文化が融合して生まれたものです。原点はケルト人の収穫感謝祭で、それがカトリックに取り入れられたとされています。
  
古代のケルトでは、1年間は111日~1031日までで、新年の1日目である111日に、悪い精霊や神が現れると信じられていました。また、大みそかの1031日には、死んだ人の魂が家族の元へ帰り、さらに悪霊や魔女が町をさ迷うとも言われ、死者の霊や悪霊たちが家に入らないよう、かがり火をたいたといいます。伝統色は黒色とオレンジ色でした。
 
現在では、本来の宗教的な意味合いはほとんど失われ、欧米、特にアメリカで、民間行事として定着しています。カボチャの中身をくりぬいて中にろうそくを立てた「ジャック・オー・ランタン」をつくったり、子どもたちが魔女やお化けに仮装して、近くの家々を訪れ「Trick or treat(お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ)」と唱えてお菓子をもらったりする風習などがあります。家庭によっては、カボチャのお菓子をつくったり、子どもたちがもらったお菓子を持ち寄って、パーティーを開いたりします。イギリスでは、ハロウィーンは115日の「Guy Fawkes' Day」に統合されたような存在になっています。「Guy Fawkes' Day」とは、1605年に、ガイ・フォークスたちカトリック教徒による国会議事堂爆破計画を未然に防げたことを記念する行事で、子どもたちが「guys」と呼ばれる人形を持って街を練り歩き、最後にその人形を焼くというものです。

 日本では、アメリカやヨーロッパのような風習はありませんが、ここ数年、キャンペーンやイベントに取り入れる企業なども出てきて、行事として定着し始めたといいます。
 ハロウィーンの時期に見られるカボチャを使ったランタンは、一般的に「Jack-o'-Lantern(ジャック・オー・ランタン)」と呼ばれます。日本語に直訳すると「ジャックの提灯」です。このランタンを家の中や外に飾るだけで「ハロウィーン」の雰囲気になります。そんな「ハロウィーン」の顔ともいえるランタンの持ち主である「ジャック」という名前ですが、海外では男性に使われる一般的な名前であり、「ジャック・オー・ランタン」に関する逸話は世界中に数多くあります。また、ランタンの呼び名に関しても国よって違う場合もあります。そんな中でも共通しているのは、一人の男性が天国からも地獄からも受け入れられず、提灯一つを持って闇夜を永遠と迷い続ける事になった点です。

 その昔、ジャックという名の口は巧いが卑怯で普段から行いの悪い鍛冶屋の男がいました。怠け者だがズル賢いジャックは、十字架を使って悪魔を罠に仕掛け、自分を地獄に落とさないと約束するまで罠の中に閉じ込めてしまいました。悪魔はやむなく約束し、ジャックは死んでも地獄へ落ちない身となったのです。そうして死んだジャックは「死者の門」へ着いたのですが、そこで聖ペテロという死者を天国か地獄へ行くか見定める者を得意の話術で騙して生き返りました。しかし、生き返った後も生前の行いを全く反省せずに最悪な男のままでした。そのため、再び死んで死者の門を訪れた時に聖ペテロから「お前は天国へ行くことも、地獄へ行くこと出来ない」と言われ、暗い闇の中を漂う事になりました。

 
そんなジャックを見て哀れんだ悪魔が地獄の劫火(ごうか)から赤々と燃える石炭を一つ取り、ジャックに明かりとして渡しました。その明かりをカブに入れてランタンの代わりにし、ジャックは今でも暗闇を一人で歩き続けているというのです。それが「ジャックの提灯」と呼ばれ、その明かりは夜中に不思議な光として現世で目撃されると、哀れなジャックの話に倣って「ジャック・オー・ランタン」となったのです。
 
この明かりに関しては時に男性の名前が代わって「will-o'-the-wisp(ウィル・オー・ザ・ウィスプ、世界各地に存在する、鬼火伝承の名の一つ)」と呼ばれる事もあり、多種多様な話、呼び名があって各教会ごとに脚色したり、本として出版するときに話が増えたと考えられています。日本にも「狐火」や「鬼火」といった不思議な光の話は数多くあります。最初はカブだったランタンも、アメリカで作られたカボチャのランタンが普及し、今では「カボチャランタン」が一般的な「ジャック・オー・ランタン」になっています。


 


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