竹/篠(しの)を詠める歌6
巻9-1677:大和には聞こえも行くか大我野の竹葉刈り敷き廬りせりとは
◎大我野(おほがの)は現在の和歌山県橋本市西部とされています。
巻10-1830:うち靡く春さり来れば小竹の末に尾羽打ち触れて鴬鳴くも
巻11-2478:秋柏潤和川辺の小竹の芽の人には忍び君に堪へなくに
巻11-2754:朝柏潤八川辺の小竹の芽の偲ひて寝れば夢に見えけり
◎潤八川は静岡県の潤井川のことだろうといわれています。
巻11-2773:さす竹の世隠りてあれ我が背子が我がりし来ずは我れ恋めやも
ウェブニュースより
米大統領、ウクライナ侵攻なら「ロシアに経済対抗措置」 7日の米ロ首脳協議で伝達へ ―― バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は7日、オンライン形式で協議する。米政府高官によると、バイデン氏はロシアがウクライナに侵攻すれば欧州の同盟国と協調してロシア経済に深刻な経済的打撃を与える対抗措置を講じると伝える。北大西洋条約機構(NATO)やウクライナへの軍事支援の強化も選択肢になると示唆した。
バイデン政権はロシアが隣国ウクライナとの国境付近に軍部隊を集結させていると非難している。首脳同士による直接対話で、武力衝突のリスク回避を狙う。
米政府高官は6日、ロシアがウクライナに侵攻すれば「ロシア経済に深刻な打撃を与える実質的な経済的対抗措置を講じる用意がある」と述べた。ウクライナやNATOの防衛力を増強するための軍事支援に踏み切る可能性にも言及した。「米国の軍事力を直接行使する対抗策は望んでいない」と話した。
プーチン氏との協議に先立ち、バイデン氏は6日に英国のジョンソン首相、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相、イタリアのドラギ首相と電話で擦り合わせた。各国首脳はウクライナに関するロシアの行動に懸念を共有し、同国に緊張緩和を求める方針で一致した。
米欧で足並みをそろえてロシアにウクライナ侵攻を思いとどまるよう圧力をかける狙いがある。米ロ首脳協議後にはウクライナのゼレンスキー大統領とも話し合う。
ウクライナ情勢を巡っては、バイデン氏がウクライナとの国境におけるロシアの軍事活動に米国の懸念を強調し、ウクライナの主権と領土保全への米国の支援を再確認する見通しだ。米欧諸国はロシアがウクライナの東部国境に大量の兵士を動員していると主張し、武器供与も含め同国への支援を強化している。
米国は最近のロシアの動きが2014年にウクライナ領クリミア半島の併合を宣言する前の状況に似ていると分析し、再びロシアがウクライナに軍事侵攻する事態を懸念する。14年にはウクライナ東部でもロシア側と紛争になり、今回の緊張激化の原因にもなっている。
米紙ワシントン・ポストは3日、米情報機関の報告書などの内容としてロシアが22年初めにもウクライナ侵攻を計画していると報じた。最大17万5000人を動員した多正面作戦になる見通しだと指摘。独自に入手した衛星写真も掲載し、ロシア軍がウクライナ国境地帯の4カ所に集結していると伝えた。 【日本經濟新聞 2021年12月7日 3:57 (2021年12月7日 9:05更新)】
スーチー氏有罪判決 ミャンマー国軍、民主派排除強める ―― ミャンマーの首都ネピドーの裁判所は6日、2月の国軍のクーデターで身柄を拘束された民主化指導者アウンサンスーチー氏に対し、禁錮4年の判決を言い渡した。同氏は10件以上の罪で刑事訴追されているが、判決が出るのは初めて。一方で国軍は同日夜、刑期を半分の2年に短縮する方針を明らかにした。政界からスーチー氏を排除しつつ、国内外の批判を軽減する狙いとみられる。
政変で全権を掌握したミンアウンフライン国軍総司令官が減刑を指示した。国軍報道官や裁判関係者によると、6日に判決が出たのは2件。1件は公衆の不安をあおる言論活動を禁じる刑法違反だ。
スーチー氏が党首を務める国民民主連盟(NLD)が政変後、国軍のクーデターが違法であり命令や通達は無効だとする声明などを出したことが罪に問われた。弁護側は「党が声明を公表した時にはスーチー氏は身柄を拘束されており、関与しようがない」と反論していた。
もう1件は自然災害管理法違反で、2020年11月の総選挙に際し、有権者に手を振ったことなどが新型コロナウイルスの感染防止策違反とされた。判決ではそれぞれの罪で禁錮2年ずつとされたが、国軍は合計で2年に減刑する。
スーチー氏が率いたNLD政権で大統領を務めたウィンミン氏にも同様の罪状で、合計で禁錮4年の判決が下されたが、2年に減刑される。ネピドー市長だったミョーアウン氏には禁錮2年の判決が出た。
国軍のゾーミントゥン報道官は、スーチー氏らは刑務所には移されず「(軟禁中の)現在の場所に留め置かれる」と述べた。控訴は可能だが、上級審で判断が覆る可能性は低い。
スーチー氏はクーデター後、小型無線機を無許可で輸入・使用したとして輸出入法や電気通信法違反などの微罪で訴追された。その後、最高刑が禁錮14年の国家機密法違反や同15年の汚職防止法違反など多数の重罪も加わり、これまでに11件で公判が始まった。最高刑の合計は禁錮100年を超す。同国では刑罰は合算されるため、国軍の支配が続く限りスーチー氏の政界復帰は絶望的だ。
今後も罪状は追加される可能性が高い。政変後に国軍が再編した選挙管理委員会は11月中旬、スーチー氏ら16人を20年の総選挙での不正に関与した疑いで告発。汚職防止委員会は同月末、スーチー氏らがヘリコプターのリースや購入の契約時に規則を無視したとして、新たな汚職の容疑で警察当局に捜査を求めた。
スーチー氏やウィンミン氏の裁判は首都ネピドーの政府施設内に特設された法廷で行われ、審理は非公開。ウィンミン氏が10月、クーデター当日に大統領の辞任を迫られたと証言した後、当局は弁護団が報道機関や外交団と接触することを禁じた。裁判の内容は断片的にしか伝わっておらず、密室裁判となっている。
国軍はNLDが大勝した20年の総選挙を無効と宣言し、23年8月までに再度実施する方針だ。有罪判決を受けて収監されると、その間は議員に立候補したり閣僚に就任したりすることはできない。政変で全権を掌握したミンアウンフライン総司令官は「過大な個人崇拝は社会の分断を生む」として、国民の圧倒的支持を集めるスーチー氏を批判している。
スーチー氏以外のNLD幹部への長期刑の判決も相次ぐ。NLDの中央執行委員会メンバーで南東部カイン州首相を務めたナンキンツウェミン氏は汚職防止法違反で禁錮75年、同党顧問のウィンテイン氏は扇動罪で禁錮20年の判決を受けた。NLDによると11月末時点で党員430人以上が当局に拘束されている。拘束中や解放の直後に死亡した人も13人いる。
国軍がNLDの解党にまで踏み込むかは流動的だ。選管は5月、NLDの解党を示唆したものの、いまだに具体的な手続きには入っていない。ゾーミントゥン国軍報道官は11月下旬の記者会見で「一部のNLDのメンバーは平和的な解決策を求めている」と述べた。中枢幹部を欠いたNLDの弱体化は必至で、形式的にNLDの存続を認める可能性もありそうだ。
だが、スーチー氏に対する有罪判決を機に、欧米などの国軍への圧力は一層厳しくなる可能性が高い。東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳級の会議にミンアウンフライン氏を招待しないことが常態化しており、地域内でも孤立が深まる。
ミャンマーでは国軍による民主派弾圧が続く。最大都市ヤンゴンでは5日、抗議デモをしていた人々の後方から国軍の車両が突進し、数人を跳ね飛ばした。現地報道によると突進と銃撃で市民5人が死亡した。市民の一部は武装闘争を掲げており、混乱が長期化する懸念がある。
欧州や国連、一斉に非難
ミャンマーの裁判所が6日、民主化指導者アウンサンスーチー氏に有罪判決を下したことに対し、一斉に非難の声が上がった。
ブリンケン米国務長官はスーチー氏への判決について「民主主義と正義への侮辱だ」と非難し、「スーチー氏をはじめ、不当に拘束されているすべての人々を解放するよう強く求める」と強調した。英国のトラス外相も「自由と民主主義を抑圧しようとするひどい試みだ」と批判した。
欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表も「政治的な動機による判決だ」と強調。「民主的に選ばれた指導者を排除しようとしている」と国軍を批判した。バチェレ国連人権高等弁務官は「判決はクーデターへの拒否反応を深めるだけだ」と指摘、スーチー氏の即時解放を求めた。国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウオッチなども非難声明を出した。
一方、中国外務省の趙立堅副報道局長は6日の記者会見で「憲法と法律の枠組みのもとで相違を解消し、ミャンマーの国情に適した民主的移行プロセスを持続的に推進することを心から希望する」と述べるにとどめた。 【日本經濟新聞 2021年12月6日 21:00 (2021年12月6日 23:41更新)】
竹/篠(しの)を詠める歌5
巻7-1121:妹らがり我が通ひ道の小竹すすき我れし通はば靡け小竹原
巻7-1276:池の辺の小槻の下の小竹な刈りそねそれをだに君が形見に見つつ偲はむ
◎「形見(かたみ)」は、逢えないとき(亡くなったわけではありません)に、その人を想うためのよりどころとなるものです。
「の」のリズムが特徴的ですね。小竹(しの)と偲(しの)も言葉遊びでしょうか。
巻7-1349:かくしてやなほや老いなむみ雪降る大荒木野の小竹にあらなくに
◎大荒木野(おほあらきの)は、現在の奈良県五條市今井町の荒木山付近と考えられています。
巻7-1350:近江のや八橋の小竹を矢はがずてまことありえむや恋しきものを
◎八橋(やばせ)は現在の滋賀県草津市矢橋町あたりとされています。
巻7-1412:我が背子をいづち行かめとさき竹のそがひに寝しく今し悔しも
ウェブニュースより
国内新たに115人感染 群馬30人、東京20人―新型コロナ ―― 国内では5日、新たに115人の新型コロナウイルス感染が確認された。死者は2日連続でゼロ。重症者は前日から1人増え、29人となった。
群馬県では新たに30人の感染が判明した。うち26人は太田市にある工場の従業員で、15人はワクチンを2回接種していたという。
東京都では新たに20人の感染が確認され、前週の日曜日から11人増えた。新規感染者の直近1週間平均は16.3人で前週比115.6%。都基準による重症者は前日と同じ2人だった。 (JIJI.COM 2021年12月05日20時02分)
落語家の三遊亭円丈さん死去 新作落語で人気、76歳 ―― 自作の新作落語を数多く手掛けて人気となった落語家の三遊亭円丈(さんゆうてい・えんじょう)さんが11月30日午後3時5分、心不全のため東京都内の病院で死去した。76歳。名古屋市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻ユリ子さん。
名人と呼ばれた六代目三遊亭円生に入門、ぬう生を名乗った。1978年真打ちに昇進し円丈に。新感覚の新作落語で人気となり、弟子ばかりでなく、“円丈チルドレン”と呼ばれる多くの後進たちに影響を与え、それまで古典が中心だった落語界で新作の地位を引き上げた。生み出した作品は300に上るとされ、代表作に「グリコ少年」などがある。
https://www.youtube.com/watch?v=wmby6jC1QnY
【中日新聞 2021年12月5日 16時48分 (12月5日 17時50分更新)】
ギザエ、「日本のふるさと」で快走 最後の福岡に名を刻む―マラソン ―― 福岡第一高の留学生として育ったギザエが、縁のある地で快走した。両手人さし指を突き上げながらゴールテープを切り、「難しいコンディションだったが、安定した走りを心掛けた」と笑顔。昨年4位に入った際の自己ベストを26秒26秒更新した27歳は、素直に喜んだ。
2時間5分台も狙える1キロ2分58秒というハイペースの設定下、中盤までは先頭集団の中で冷静に体力を温存した。レースが動いたのは、ペースメーカーが離れた後の35キロ付近。早めに仕掛けたギザエは高久らを引き離すと、終盤は苦しみながらも何とか逃げ切った。
マラソン王国のケニア出身。高校時代を過ごした福岡は「日本のふるさと。大好き」と思い入れが強い。この日で幕を閉じた福岡国際に名を刻んだ。「最後の福岡で優勝できた。将来、子供に伝えることができる」と胸を張り、感慨に浸った。
所属するスズキACの藤原新監督は「3年前は決して強い選手ではなかった。調整段階でも気弱になることがあったが、今回は本当に自信を持って臨めた」と成長に目を細める。激しいケニア代表争いに食い込むための、貴重な一歩にもなった。 (JIJI.COM 2021年12月05日18時26分)
竹/篠(しの)を詠める歌4
巻6-1047:やすみしし我が大君の高敷かす大和の国は.......(長歌)
標題:悲寧樂故郷作謌一首并短謌
標訓:寧樂の故(ふ)りにし郷(さと)を悲しびて作れる謌一首并せて短謌
原文:八隅知之 吾大王乃 高敷為 日本國者 皇祖乃 神之御代自 敷座流 國尓之有者 阿礼将座 御子之嗣継 天下 所知座跡 八百萬 千年矣兼而 定家牟 平城京師者 炎乃 春尓之成者 春日山 御笠之野邊尓 櫻花 木晩牢 皃鳥者 間無數鳴 露霜乃 秋去来者 射駒山 飛火賀塊丹 芽乃枝乎 石辛見散之 狭男牡鹿者 妻呼令動 山見者 山裳見皃石 里見者 里裳住吉 物負之 八十伴緒乃 打經而 思並敷者 天地乃 依會限 萬世丹 榮将徃迹 思煎石 大宮尚矣 恃有之 名良乃京矣 新世乃 事尓之有者 皇之 引乃真尓真荷 春花乃 遷日易 村鳥乃 旦立徃者 刺竹之 大宮人能 踏平之 通之道者 馬裳不行 人裳徃莫者 荒尓異類香聞
万葉集 巻6-1047
作者:田辺福麻呂
よみ:やすみしし 我が大君の 高敷かす 大和の国は すめろきの 神の御代より 敷きませる 国にしあれば 生れまさむ 御子の継ぎ継ぎ 天の下 知らしまさむと 八百万 千年を兼ねて 定めけむ 奈良の都は かぎろひの 春にしなれば 春日山 御笠の野辺に 桜花 木の暗隠り 貌鳥は 間なくしば鳴く 露霜の 秋さり来れば 生駒山 飛火が岳に 萩の枝を しがらみ散らし さを鹿は 妻呼び響む 山見れば 山も見が欲し 里見れば 里も住みよし もののふの 八十伴の男の うちはへて 思へりしくは 天地の 寄り合ひの極み 万代に 栄えゆかむと 思へりし 大宮すらを 頼めりし 奈良の都を 新代の ことにしあれば 大君の 引きのまにまに 春花の うつろひ変り 群鳥の 朝立ち行けば さす竹の 大宮人の 踏み平し 通ひし道は 馬も行かず 人も行かねば 荒れにけるかも
意訳:われらが大君が治めていらっしゃる大和の国は神の御代より代々お治めになっている皇祖の国である。生まれ出てくる御子たちが次々に治められるとかって定められた奈良の都はかげろうの立つ春ともなれば、春日山の御笠山の野辺に桜の花が咲く。その木陰で貌鳥(かほどり)(カッコウ)が絶え間なく鳴く。露霜の降りる秋ともなれば、生駒山の飛火が岳に萩の枝をからませ散らして、牡鹿が妻を呼んで鳴き立てる。山を見れば、見飽きることがなく、里は里で住み心地がよい。大宮人たちもずっと長らく思っていたことは、天地の果てのさきまで、代々ずっと栄え続けると思って大宮を頼みにしていた奈良の都。新しい時代になったということで、大君の仰せのままに、都を遷され、春の花々が移り変わり、群れ鳥がいっせいに飛び立つように、大宮人たちは立ち去っていった。かっては大宮人たちが踏みならして通った奈良の都の道は馬も人も行かなくなり、すっかり荒れ果ててしまった。
左注:右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也
注訓:右の二十一首は田邊福麻呂の歌集の中に出でしものなり
◎この歌にでてくる枕詞を以下にリストします。
「やすみしし」は「我が大君(天皇のこと)」を導きます。
「露霜の」は「秋」を導きます。
「群鳥の」は「朝立ち」を導きます。
「春花(はるはな)の」は「うつろひ」を導きます。
「さす竹の」は「大宮人」を導きます。
貌鳥(かほどり)が何の鳥かはわかっていませんが、ホトトギス、カッコウなどの説があります。
※田辺福麻呂(たなべのさきまろ、生没年不詳)
『万葉集』末期の代表歌人です。748年(天平20)橘諸兄(たちばなのもろえ)の使者として越中(えっちゅう)(富山県)の大伴家持(おおとものやかもち)のもとに下っています。ときに造酒司(さけのつかさ)の令史(そうかん)(大初位(だいそい)上相当官)でした。福麻呂作とあるのは短歌13首ですが、ほかに『田辺福麻呂歌集』に長歌10、短歌21首があって福麻呂の作と認められます。政権担当者橘諸兄のもとで宮廷賛歌などを歌い、宴席に奉仕している点からして、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)や山部赤人(やまべのあかひと)の系統を継ぐ最後の宮廷歌人でした。作風は軽快で装飾美に富み、巧妙・華麗だが、概して平板で迫力に乏しい。
巻6-1050:現つ神我が大君の天の下八島の内に国はしも.......(長歌)
標題:讃久邇新京謌二首并短歌
標訓:久邇の新しき京(みやこ)を讃(ほ)むる謌二首并せて短歌
原文:明津神 吾皇之 天下 八嶋之中尓 國者霜 多雖有 里者霜 澤尓雖有 山並之 宜國跡 川次之 立合郷跡 山代乃 鹿脊山際尓 宮柱 太敷奉 高知為 布當乃宮者 河近見 湍音叙清 山近見 鳥賀鳴慟 秋去者 山裳動響尓 左男鹿者 妻呼令響 春去者 岡邊裳繁尓 巌者 花開乎呼理 痛可怜 布當乃原 甚貴 大宮處 諾己曽 吾大王者 君之随 所聞賜而 刺竹乃 大宮此跡 定異等霜
万葉集 巻6-1050
作者:田辺福麻呂
よみ:現(あき)つ神 吾が皇(すめろぎ)の 天の下 八島(やしま)の中(うち)に 国はしも 多(さわ)くあれども 里はしも 多(さわ)にあれども 山並みの 宜(よろ)しき国と 川なみの たち合ふ郷(さと)と 山背(やましろ)の 鹿背山(かせやま)の際(ま)に 宮柱 太敷き奉(まつ)り 高知らす 布当(ふたぎ)の宮は 川近み 瀬の音(と)ぞ清(きよ)き 山近み 鳥が音(ね)響(とよ)む 秋されば 山もとどろに さ雄鹿(をしか)は 妻呼び響(とよ)め 春されば 岡辺(おかへ)も繁(しじ)に 巌(いはほ)には 花咲きををり あなおもしろ 布当(ふたぎ)の原 いと貴(たふと) 大宮所 うべしこそ 吾が大王(おほきみ)は 君がまに 聞かし賜ひて さす竹の 大宮(おほみや)此処(ここ)と 定めけらしも
意訳:身を顕す神である吾等の皇が天下の大八洲の中に国々は沢山あるが、郷は沢山あるが、山並みが願いに適い宜しい国と、川の流れが集る郷と、山代の鹿背の山の裾に宮柱を太く建てられて、天まで高だかに統治なされる布当の都は、川が近く瀬の音が清らかで、山が近く鳥の音が響く。秋になれば山も轟かせて角の立派な牡鹿の妻を呼ぶ声が響き、春になれば丘のあたり一面に岩には花が咲き豊かに枝を垂れ、とても趣深い布当の野の貴いところよ。大宮所、もっともなことです。吾等が大王は、君の進言をお聞きになられて、すくすく伸びる竹のような勢いのある大宮はここだと、お定めになられたらしい。
左注:右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也
注訓:右のに儒一首は田邊福麻呂の歌集の中に出でたり
ウェブニュースより
ロシアがウクライナ侵攻計画 22年早々にも 米紙報道 ―― 【ワシントン=時事】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は3日、米情報機関が作成した報告書の内容などとして、ロシアが来年早々にも大規模なウクライナ侵攻を計画していると報じた。最大17万5000人を動員した多正面作戦になる見通しだと指摘。バイデン米大統領は近くプーチン・ロシア大統領と会談し、ウクライナ情勢の危機回避を図るとみられる。
米情報機関によると、ロシア軍はウクライナ国境地帯の4カ所に集結しており、新たに戦車などが配備された。米当局者は「ロシアは早ければ2022年初めのウクライナへの軍事攻撃を計画している」と警告。「計画には推計17万5000人の兵士から成る大隊100隊による広域行動が含まれる」と予想した。
ウクライナ政府はロシア軍約9万4000人が集結していると分析しているが、米国は現時点で7万人程度とみている。
バイデン氏は3日、ロシアによるウクライナ侵攻を抑止するための包括的対策を講じていると強調。ブリンケン国務長官も2日、ロシアのラブロフ外相との会談後「ロシアがウクライナに対して大規模な攻撃行動を計画した証拠がある」と記者団に述べ、ロシアが攻撃を行えば制裁など深刻な結果を招くと警告した。 【日本經濟新聞 2021年12月4日 21:43】
竹/篠(しの)を詠める歌3
巻5‐0824:梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも
標題:梅花謌卅二首并序
標訓:梅花の歌三十二首、并せて序
序:天平二年正月十三日、萃于帥老之宅、申宴會也。于時、初春令月、氣淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香。加以、曙嶺移雲、松掛羅而傾盖、夕岫結霧、鳥封穀而迷林。庭舞新蝶、空歸故鴈。於是盖天坐地、促膝飛觴。忘言一室之裏、開衿煙霞之外。淡然自放、快然自足。若非翰苑、何以濾情。詩紀落梅之篇。古今夫何異矣。宜賦園梅聊成短詠。
序訓:天平二年正月十三日に、帥の老の宅に萃(あつ)まりて、宴會を申く。時、初春の令月(れいげつ)にして、氣淑(よ)く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かをら)す。加以(しかのみにあらず)、曙の嶺に雲移り、松は羅(うすもの)を掛けて盖(きぬがさ)を傾け、夕の岫(くき)に霧結び、鳥は穀(うすもの)に封(こ)められて林に迷ふ。庭には新蝶(しんてふ)舞ひ、空には故鴈歸る。於是、天を盖(きにがさ)とし地を坐とし、膝を促け觴(さかずき)を飛ばす。言を一室の裏(うち)に忘れ、衿を煙霞の外に開く。淡然と自ら放(ほしきさま)にし、快然と自ら足る。若し翰苑(かんゑん)に非ずは、何を以ちて情を壚(の)べむ。詩に落梅の篇を紀(しる)す。古(いにしへ)と今とそれ何そ異ならむ。宜しく園の梅を賦(ふ)して聊(いささ)かに短詠を成すべし。
序訳:天平二年正月十三日に、大宰の帥の旅人の宅に集まって、宴会を開いた。時期は、初春のよき月夜で、空気は澄んで風は和ぎ、梅は美女が鏡の前で白粉で装うように花を開き、梅の香りは身を飾った衣に香を薫ませたような匂いを漂わせている。それだけでなく、曙に染まる嶺に雲が移り行き、松はその枝に羅を掛け、またその枝葉を笠のように傾け、夕べの谷あいには霧が立ち込め、鳥は薄霧に遮られて林の中で迷い鳴く。庭には新蝶が舞ひ、空には故鴈が北に帰る。ここに、天を立派な覆いとし大地を座敷とし、お互いの膝を近づけ酒を酌み交わす。心を通わせて、他人行儀の声を掛け合う言葉を部屋の片隅に忘れ、正しく整えた衿を大自然に向かってくつろげて広げる。淡々と心の趣くままに振る舞い、快くおのおのが満ち足りている。これを書に表すことが出来ないのなら、どのようにこの感情を表すことが出来るだろう。漢詩に落梅の詩篇がある。感情を表すのに漢詩が作られた昔と和歌の今とで何が違うだろう。よろしく庭の梅を詠んで、いささかの大和歌を作ろうではないか。
注意:原文「鳥封穀而迷林」は「鳥封縠而迷林」とし「鳥は縠(うすもの)に封(こ)められて林に迷ふ」、「役膝飛觴」は「促膝飛觴」とし「膝を促け觴(さかずき)を飛ばす」、「何以壚情」は「何以攄情」とし「何を以ちて情を攄(の)べむ」と訓みます。
※阿氏奥島(あうじの-おきしま、生没年不詳)
奈良時代の官吏です。天平2年(730)大宰少監のとき、長官である大伴旅人(たびと)邸でひらかれた梅花の宴でよんだ歌が「万葉集」巻5におさめられています。
巻6-0955:さす竹の大宮人の家と住む佐保の山をば思ふやも君
◎石川足人は太宰少弐(だざいのせうに)という官職にあり、旅人の部下の立場になります。ただ、石川足人は大伴旅人が大宰府に赴任した年に職を終えて奈良の京に帰郷しているので、おそらくはこの歌も旅人たちとの赴任の入れ替わりの挨拶として宴会の席などで詠まれた歌ではないかと思われます。
(石川足人の後任として旅人と共に赴任したのが小野老か?)
大伴旅人の大宰府(現在の福岡県)赴任は、都で勢力を拡大していた新興貴族の藤原家との確執が原因の左遷であったとも言われ、それが事実であるかどうかは別としても年老いてからの遠い地方への赴任は非常に不本意なものであっただろうと思われます。そんな旅人の気持ちを察して足人が慰めの歌を詠んだわけですね。「心中お察しいたします」と…
佐保山(さほやま)」は現在の奈良市にある鴻ノ池運動公園のあたりで、この佐保の地は奈良時代に貴族の邸宅がたくさんあり、旅人の子である大伴家持(万葉集の編者?)の邸宅もここにありました。
※石川足人(いしかわの-たりひと、生没年不詳)
奈良時代の官吏です。神亀(じんき)元年(724)従五位上。のち大宰少弐(だざいのしょうに)となり、5年転出した。「万葉集」巻6に大宰帥(そち)の大伴旅人(おおともの-たびと)へおくった歌があります。氏は石河とも書きます。
ウェブニュースより
「とにかくばらまこう」泉田議員が音声公開 県議は「裏金」否定 ―― 10月の衆院選で地元県議から「裏金を要求された」とツイッターなどで公表した自民党の泉田裕彦衆院議員(比例北陸信越ブロック)は3日、そのやりとりを記録した録音データを公開した。録音には、衆院選をめぐる金銭についてやりとりする様子が記録されていた。相手とされる星野伊佐夫県議(82)は同日、記者会見を開き「(要求したのは)政治活動費だった」と説明し「裏金の要求」を改めて否定した。
音声は約25分で泉田氏の事務所を通じて提供された。泉田氏によると、9月4日に新潟県長岡市の星野県議の自宅で面会した際に録音し、面会は2人だけで行われたという。
「もったいながったら人生終わりだよ」
星野県議とされる人物はまず、新潟5区での選挙情勢調査で無所属の米山隆一氏が先行し、泉田氏が2番手となっている結果を示した。「比例(復活)にひっかからんかったら終わりだよ」などと苦戦する状況を説明した。続けて「とにかく必要経費をばらまこう。2千万(円)や3千万(円)なんかもったいながったら人生終わりだよ」「できたら頭とりてえよねえ」などと衆院選に関する金銭を求めている。
泉田氏が「どうしたらいいんですかね」と尋ねると相手は「この話は(秘書とみられる人物)の耳にも入れてはならない。あんた一人の腹」などと応じている。
一連の泉田氏の「告発」を受けて、星野県議は県連幹部の同席するなか新潟県庁で記者会見を開いた。
県議「要求したのは会場費や切手代などの政活費」
星野県議は報道されているやり取りは「大事な部分が抜いてある」と主張。そのうえで要求した金銭は選挙演説の会場費や切手代、資料の印刷代など「政治活動費」で、政治資金収支報告書に掲載され公表される「表」の金だったと釈明。2、3千万円は衆院選のために各政党支部で使う金で、泉田氏もその認識があったはずだと指摘した。
星野氏が大仏に似たしぐさで手帳を差し出して金を要求したと泉田氏が明らかにしたことについて星野氏は「手帳をもっていない。作り話だ」と言い切った。秘書への口止めを求めたのは「(政治活動費でも)信用している人でなければ誤解を受けるから」とした。星野氏の支援者から泉田氏への提訴を求められれば法的措置を検討するという。
記者会見後、星野氏は記者が再生した音声データを聞いたが「(自分の声かどうかは)よくわからない」とした。ただ、音声を聞いた県連幹部の1人は「星野さんの声だろう」と認めた。県連の小野峯生幹事長は「泉田氏から正式な(星野氏の除名を求める)要請がくれば対応する。2人の聞き取り調査もして、委員会を開いて県連としての結論を得る」と話した。
泉田氏が公開した星野氏とのやりとりとされる録音データの主な内容
星野氏とみられる男性(以下男性)が衆院新潟5区での情勢調査で泉田氏が他の候補に大差をつけられていると、述べた後
男性 それで泉田さん。勝とうさ。どう思うね。(略)比例にひっかからんかったら終わりだよ。このままでいたら比例ひっかからないんだから。(略)とにかく必要経費を早くばら……まこう。もう余裕ない。選挙始まってからまく馬鹿いない。今でも遅いくらい。これ2千万や3千万なんかもったいながったら人生終わりだよ。大部分は領収書もらえるやつ。いちいち警察に報告してやるわけじゃねえんだから。早くしねえと後で悔いが残るぞ。1億や2億の話でなくなるから。(略)早く実行するっきゃな
泉田氏 違法行為にならないようにしないとねえ
男性 そんなもんはね、いいすか。はっきり言うが、言葉の問題だけであって、実際そんなもの気にしてる候補者1人もいないからね。(略)この話は、●●(秘書とみられる人名)の耳にも入れてはならない。あんた一人。一人の腹にして、誰か信用できる人を使う。あんたの信用できる人。だれーにもいっちゃだめだよ。これは。この話は
泉田氏 でも、まかないとだめなんでしょ
男性 なこと言うな。ばらまくんじゃねえ。自分にしか入ってこねえ
泉田氏 寄付の期限があるから
男性 いや、それとはまた違うんだよなあ。俺が言ってる意味はね
泉田氏 広島で(買収事件が)あったでしょ
男性 そんなこと言ったらきりがねえさ。そんな話は表面の話なの。絶対だめだよって言うのは当たり前。裏は何してるか分からない。そういう世界なんだから。(略)小千谷、北魚沼、細かくやらないで、信用できる人に
泉田氏 今、寄付禁止期間に入っている
男性 だから、言葉のあや
※9月4日星野氏の自宅で(泉田氏によると)
◇
星野氏の会見での主なやり取りは次の通り。
星野氏 師弟関係の泉田氏とこのような形になったのは残念。(泉田氏が明らかにしたやり取りは)大事な部分が抜いてある。政党活動費については、演説の会場費や印刷代だとかを各支部に払うべきだが、長岡支部は1円も受け取っていない。請求書がでてきたら払うべきなんじゃないの。こういう会話はした。
2、3千万(円)という文言は、泉田さんから「選挙はいくらぐらいかかるんでしょうか」と聞かれて答えたと思う。裏の話ではなくて(収支報告書に記載する)政党活動費、表の金の話だ。自民党にも、私の回りにも迷惑をかけている。(泉田氏の主張は)全く関係ない、作り話だ。
――政党活動費として「表」の金が必要だ、という話はしたのか
星野氏 それはある。
――9月4日に面会したのは事実なのか
星野氏 間違いない。
――金を示す大仏のようなポーズと、手帳を差し出し「お願いします」というしぐさをしたのか
星野氏 私は普段手帳を持ち歩いていない。作り話だ。あるわけない。
――金をまけ、配れという話はしたのか
星野氏 お金をまけよ、なんて言わない。これは泉田氏の自作だ。金をまけなんて危ない話だ。
――秘書にも言うなと
星野氏 政党資金は人には言うべきことではない。信用できる人じゃないと誤解をうけるから
――県議としての政治活動は変わらず続けるのか
星野氏 わかりません。まわりが決めること。
――法的手段は
星野氏 白黒をつけたくてやっているわけではないが、まわりの人の意見も聞かないといけない。
――新潟の政界のイメージが非常に悪くなった
星野氏 本当にそうだ。後援会や友人や近隣の皆さんもいる。(周囲の人たちの)意見も全部無視するわけにいかない。 (朝日新聞DIGITAL 2021年12月3日 20時48分)
竹/篠(しの)を詠める歌2
巻3-0379:ひさかたの天の原より生れ来る神の命.......(長歌)
標題:大伴坂上郎女祭神謌一首并短謌
標訓:大伴坂上郎女の神を祭る謌一首并せて短謌
原文:久堅之 天原従 生来 神之命 奥山乃 賢木之枝尓 白香付 木綿取付而 齊戸乎 忌穿居 竹玉乎 繁尓貫垂 十六自物 膝折伏 手弱女之 押日取懸 如此谷裳 吾者祈奈牟 君尓不相可聞
万葉集 巻3-0379
作者:坂上郎女
よみ: ひさかたの天の原より生(あ)れ来(きた)る、神の命、奥山の賢木(さかき)の枝に、しらか付け、木綿(ゆふ)取り付けて、斎瓮(いはひへ)を、斎(いは)ひ掘り据(す)ゑ、竹玉(たかたま)を、繁(しじ)に貫(ぬ)き垂(た)れ、獣(しし)じもの、膝(ひざ)折り伏して、たわや女(め)の、襲(おす)取り懸け、かくだにも、我れは祈(こ)ひなむ、君に逢はじかも
意訳:天の原からおいでになる神さまに、山の榊(さかき)の枝に白香(しらか)や木綿(ゆふ)を取り付けて、瓶を供えて、竹玉(たかたま)を紐に通して、鹿のようにひざを曲げて、かよわい女の衣を着て、せめてこうゆう風にでも私はお祈りいたします。あなたに会えるかも知れないので。
巻3-0420:なゆ竹のとをよる御子さ丹つらふ我が大君は.......(長歌)
標題:石田王卒之時、丹生王作謌一首并短謌
標訓:石田王の卒(みまか)りし時に、丹生(にふの)王(おほきみ)の作れる歌一首并せて短歌
原文:名湯竹乃 十縁皇子 狭丹頬相 吾大王者 隠久乃 始瀬乃山尓 神左備尓 伊都伎坐等 玉梓乃 人曽言鶴 於余頭礼可 吾聞都流 枉言加 我間都流母 天地尓 悔事乃 世開乃 悔言者 天雲乃 曽久敝能極 天地乃 至流左右二 杖策毛 不衝毛去而 夕衢占問 石卜以而 吾屋戸尓 御諸乎立而 枕邊尓 齊戸乎居 竹玉乎 無間貫垂 木綿手次 可比奈尓懸而 天有 左佐羅能小野之 七相菅 手取持而 久堅乃 天川原尓 出立而 潔身而麻之身 高山乃 石穂乃上尓 伊座都流香物
万葉集 巻3-0420
作者:丹生王
よみ:なゆ竹の とをよる皇子 さ丹(に)つらふ 我(わ)が大君(おほきみ)は こもくりの 泊瀬の山に 神さびに 斎(いつ)きいますと 玉梓の 人ぞ言ひつる およづれか 我が聞きつる たはことか 我が聞つるも 天地に 悔(くや)しきことの 世間(よのなか)の 悔しきことは 天雲の そくへの極(きは)み 天地の 至(いた)れるまでに 杖(つゑ)つきも つかずも行きて 夕占(ゆふけ)問ひ 石占(いしうら)もちし 我がやどに みもろを立てて 枕辺(まくらへ)に 斎(いはひ)瓮(へ)を据ゑ 竹玉(たかたま)を 間(ま)なく貫(ぬ)き垂れ 木綿(ゆふ)たすき かひなに懸(か)けて 天ある ささらの小野の 七(なな)ふ菅(すげ) 手に取り持ちて ひさかたの 天の川原に 出で立ちて みそきてましを 高山の 巌(いはほ)の上(うへ)に いませつるかも
意訳:なよ竹のようにたおやかな御子、紅顔のわが大君は、泊瀬の山に神々しいさまで祭られていらっしゃると、使いの者が言って来た。まさかそんなことはあるまいに、人惑わしの空言を私は聞いたのか、とんでもないでたらめを私はきいたのか。ああ、天地の間で何よりも残念なことで、この世でいちばん残念なことは、天雲の遠くたなびく果て、天と地の接する遠い果てまで、どこまででも、杖を突いてでも突かないででも何としてでも行って、夕占もし石占もしてあらかじめ凶事をしるべきだったのに、わが家には祭壇を設け、枕辺には斎瓮を据えつけ、竹玉をびっしりと貫き垂らし、木綿だすきを腕にかけて神に無事を祈るべきだったのに、天上にあるささらの小野の七ふ菅を手に取り持って、天の川原に出かけて禊をして禍を祓うべきだったのに、何一つできずじまいで、わが君が高山の巌の上におられるままにしてしまったことよ。
◎大変に長い長歌となっていますが、歌の内容は「なよ竹のようなしなやかな皇子、赤みをおびた頬も美しいわが大君」と石田王のことを詠い、そんな石田王の亡骸を「初瀬の山に神々しくおまつり申し上げています」との使いの者の言葉を聞いたと詠っています。
そして歌の後半は、「天にあるという左佐羅の小野の七節の菅を取ってきて手に取り持ち、ひさかたの天の川原に出で立って…」などと、様々な方法で神を奉って不吉な話を聞いた身を払いたいものだけれど、石田王はほんとうに亡くなって高い山の巌の上におまつりされてしまったのだなあ、と嘆いています。
もちろん、丹生王も石田王が亡くなってしまったことは知ってはいたわけですが、それをこのような表現で信じたくないと詠うことで石田王の魂を慰めているわけ
ウェブニュースより
藤井聡太4冠 近藤誠也七段に勝利し21年白星締め B級1組単独首位に ―― 棋の最年少4冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=19)が2日、関西将棋会館で行われた第80期順位戦B級1組9回戦で、近藤誠也七段(25)を114手で下した。年内最後の公式戦を白星で締め、さらなる飛躍を目指す。
戦型は角換わり腰掛け銀。事前の研究をいかしやすい戦型で、両者とも研究手を繰り出した。中盤は持久戦模様の進行となった。夕食休憩後、本格的な戦いが始まり、一時、リードを奪われた藤井は持ち前の終盤力を発揮し、逆転勝ちした。
https://www.youtube.com/watch?v=cz60XSCCHLE
深夜まで及ぶ熱戦を制した藤井は「苦しい展開が続いているのかなと思っていた」と振り返った。藤井は同組の成績は8勝1敗。無敗で単独首位だった佐々木勇気七段が敗れ7勝1敗となったため、藤井は単独首位に立った。最年少名人への戦いが続く。
藤井にとっては大躍進の1年となった。今年は、棋聖と王位を初防衛し、新たに叡王、11月には竜王を獲得して史上最年少4冠になった。21年について「全体として実力以上の結果が出せて、いい経験ができた1年でした」と振り返った。
年明けから最年少5冠をかけて渡辺名人との王将戦7番勝負に臨む。来春以降は叡王戦、棋聖戦、王位戦、竜王戦と防衛戦が続く予定。 [日刊スポーツ 2021年12月3日1時5分]
竹/篠(しの)を詠める歌1
竹はイネ科の多年生植物です。日本では孟宗竹(もうそうちく)という種類が代表的ですね。筍(たけのこ)は食べられますし、大きく育って竹林を形成すると鑑賞用にもなりますし、幹を切って器などに使うことができ、とても重宝な物ですね。一方、篠(しの)は、小さく細い竹のことを指すようです。
細く背丈の小さな竹は、「小竹/細竹(しの)」として万葉歌に多く詠まれています。「さす竹の」というように「大宮」「宮人」などを導く枕詞(まくらことば)として使われる場合もあります。また「とよをる(しなやかな)」を導く「なよ竹」が使われている歌もあります。
筍は「古事記」にも載っていて(黄泉の国の邪鬼が筍を食べる)、古代から身近なものだったと思われます。
巻1-0045:やすみしし我が大君高照らす日の皇子.......(長歌)
標題:軽皇子宿于安騎野時柿本朝臣人麻呂作歌
標訓:軽皇子(かるのみこ)の阿騎の野に宿りましし時に、柿本朝臣人麿の作れる歌
原文:八隅知之 吾大王 高照 日之皇子 神長柄 神佐備世須<等> 太敷為 京乎置而 隠口乃 泊瀬山者 真木立 荒山道乎 石根 禁樹押靡 坂鳥乃 朝越座而 玉限 夕去来者 三雪落 阿騎乃大野尓 旗須為寸 四能乎押靡 草枕 多日夜取世須 古昔念而
万葉集 巻2‐0045
作者:柿本人麻呂
よみ:やすみしし、我が大君(おおきみ)、高(たか)照らす、日の皇子、神ながら、神さびせすと、太(ふと)敷かす、都を置きて、隠口(こもりく)の、初瀬の山は、真木(まき)立つ、荒き山道を、岩が根、禁樹(さへき)押しなべ、坂鳥(さかとり)の、朝越えまして、玉(たま)限(かぎ)る、夕(ゆう)去(さ)り来れば、み雪降る、安騎(あき)の大野に、旗すすき、小竹(しの)を押しなべ、草枕(くさまくら)、旅宿(たびやど)りせす、いにしへ思ひて
意訳:我が大君の、皇子さまは、神でいらっしゃるままに、神にふさわしく、都をあとにされ、初瀬の山は、真木が立つ荒々しい山道を、岩や木を押し伏せながら、朝に越えられ、、夕になると、雪が降る、安騎(あき)の大野に、旗のようになびくすすきや小竹(しの)を押し伏せて、いにしえを思って旅寝をなさいます。
◎軽皇子(かるのみこ)は草壁皇子(くさかべのみこ)の子です。
この長歌は、柿本朝臣人麿が軽皇子の附き従い、阿騎(あき)の野を訪れたときに詠んだものです。一読すると、ただ軽皇子との旅の情景を皇子を讃えて詠っているだけのようですが、実際にはそれほど単純な歌ではありません。というのも、この阿騎の野はかつて軽皇子の父親でありいまはもう亡くなってしまった草壁皇子が狩りに訪れた想い出の場所でもあるのです。
草壁皇子については以前説明しましたが、持統天皇の子で病弱なため天皇になる前に若くして亡くなってしまいました。つまり、かつて父である草壁皇子が訪れた想い出の場所である阿騎の野に、いまその再来のように軽皇子が馬を走らせているわけです。
巻2‐0217:秋山のしたへる妹なよ竹のとをよる子らは.......(長歌)
標題:吉備津采女死時、柿本朝臣人麿作歌一首并短哥
標訓:吉備(きび)の津(つ)の采女(うねめ)の死(みまか)りし時に、柿本朝臣人麿の作れる歌一首并せて短歌
原文:秋山 下部留妹 奈用竹乃 騰遠依子等者 何方尓 念居可 栲紲之 長命乎 露己曽婆 朝尓置而 夕者 消等言 霧己曽婆 夕立而 明者 失等言 梓弓 音聞吾母 髣髴見之 事悔敷乎 布栲乃 手枕纒而 劔刀 身二副寐價牟 若草 其嬬子者 不怜弥可 念而寐良武 悔弥可 念戀良武 時不在 過去子等我 朝露乃如也 夕霧乃如也
万葉集 巻2‐0217
作者:柿本人麻呂
よみ:秋山の、したへる妹(いも)、なよ竹の、とをよる子らは、いかさまに、思ひ居(を)れか、栲縄(たくなは)の、長き命を、露(つゆ)こそば、朝に置きて、夕(ゆうへ)は、消(け)ゆといへ、霧(きり)こそば、夕(ゆうへ)に立ちて、朝は、失(う)すといへ、梓弓(あづさゆみ)、音聞く我れも、おほに見し、こと悔(くや)しきを、敷栲(しきたへ)の、手枕(たまくら)まきて、剣太刀(つるぎたち)、身に添へ寝けむ、若草の、その嬬(つま)の子は、寂(さぶ)しみか、思ひて寝らむ、悔しみか、思ひ恋ふらむ、時ならず、過ぎにし子らが、朝露のごと、夕霧のごと
意訳:(秋山のように)美しく色づくような女性、(なよ竹のように)しなやかな子は、なんと思っていたのでしょうか、長いはずの命を。露(つゆ)は朝について夕方には消えるといいます。霧(きり)は夕方に立って朝にはなくなるといいます。噂(うわさ)には聞いたことがある私も、(その人のことは)ぼんやりとしか見たことがありません。
くやしいことなのに、手枕して、身を寄せて寝たでしょう、その夫はさびしく思い寝ていることでしょうか。悔しくて恋い慕っているのでしょう。思いもよらず急逝したあの人が、朝露のようです、夕霧のようです。
◎以下の言葉は枕詞(まくらことば)です。
「秋山の」→「したへる」 「なよ竹の」→「とをよる」
「栲縄(たくなは)の」→「長き」 「梓弓(あづさゆみ)」→「音」
「敷栲(しきたへ)の」→「手枕(たまくら)」
「剣太刀(つるぎたち)」→「身に添ふ」 「若草の」→「嬬(つま)」
◎この歌は吉備の国の都宇(つ)郡(現在の岡山県都窪郡)出身の采女が亡くなったときに、柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)が詠んだ挽歌です。結句の「朝露のごと 夕霧のごと」は「朝露のように夕霧のように…采女のことが思われる」の意味です。
歌の中に「敷栲の 手枕まきて 剣刀 身に副へ寝けむ 若草の その夫の子(栲を重ねたの枕のように手を重ね合い、剣や刀のように身に添えて共に寝た若草のような夫)」と出てきますが、通常、采女は結婚できない決まりなのでこの采女はそのことを悔やんで入水自害したのではないかと言われています。
人麿自身はこの采女を「おほに見し(ぼんやりとしか見たことはないけれど)」と詠っていますが、そのような特別深い関係はなかった人物にこれだけの挽歌を詠んでいるのは采女の無念の怨念を畏れた朝廷の命によって作った挽歌だからなのでしょうね。
この時代の人々は無念の思いを抱いたまま死んだ者の魂はその場所をさ迷い、その怨念が人々に祟りとなって災いをもたらすと信じていました。
そしてこの歌のようにその死者の無念の魂に語り掛ける挽歌を詠み、その無縁の魂を慰めることで災いを避けようとしたのです。
ウェブニュースより
中村吉右衛門さん死去、77歳 歌舞伎俳優、人間国宝―「鬼平犯科帳」で人気 ―― 歌舞伎俳優で人間国宝の中村吉右衛門(なかむら・きちえもん、本名波野辰次郎=なみの・たつじろう)さんが11月28日午後6時43分、心不全のため東京都内の病院で死去した。77歳だった。東京都出身。テレビ時代劇「鬼平犯科帳」の主演でも広く親しまれた。葬儀は近親者で行う予定。
吉右衛門さんは今年3月、東京・歌舞伎座「三月大歌舞伎」に出演していたが、体調不良を訴えて病院に救急搬送され、治療を受けていた。
1944年、八代目松本幸四郎(初代白鸚)の次男として生まれたが、跡取りがいなかった母方の祖父、初代中村吉右衛門の養子となった。4歳の時に中村萬之助を名乗って初舞台。66年に二代目吉右衛門を襲名し、研さんを重ねた。
せりふ術に優れ、役の心情を掘り下げた深みのある立役(たちやく=男性役)の演技で、「熊谷陣屋」の熊谷直実、「俊寛」の俊寛僧都、「仮名手本忠臣蔵」の大星由良之助、「勧進帳」の弁慶などを当たり役とした。
松貫四の筆名で歌舞伎の脚本も手掛け、「日向嶋景清」などを執筆。2006年から初代吉右衛門の当たり役に取り組む「秀山祭」を歌舞伎座などで催し、次世代に継承する公演として情熱を注いだ。
実父の初代白鸚が主演した池波正太郎原作のテレビ時代劇「鬼平犯科帳」では、「鬼平」こと長谷川平蔵役を89年から16年まで務めた。
11年に人間国宝に認定され、17年には文化功労者に選ばれた。二代目松本白鸚さんは実兄。十代目松本幸四郎さんはおい、尾上菊之助さんは四女瓔子さんの夫で義理の息子に当たる。 (JIJI.COM 2021年12月01日19時10分)
子太草(しだくさ)を詠める歌
ツバキ科の常緑高木です。葉はツヤのある深い緑色をしています。6月~7月にかけて白い花を咲かせます。神社での祈願に使う玉串(たまぐし)として知られていますね。榊に良く似たヒサカキも代用として使われることがあるそうです。
古代では、神に奉げるいろいろな常緑樹を「さかき」と呼んでいたようです。
万葉集には1首だけに登場です。
巻11-2475:我がやどは甍(いらか)しだ草生(お)ひたれど恋忘れ草見るにいまだ生ひず
ウェブニュースより
オミクロン型の感染者、日本で初確認 ナミビア外交官 ―― 政府は30日、新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の感染例が日本で初めて確認されたと発表した。ナミビア滞在後に入国し新型コロナに感染していた30代男性について、ゲノム解析の結果で同型への感染が判明した。男性はナミビア国籍の外交官で、米モデルナ製ワクチンの2回目接種を終えていた。現在は医療機関で隔離中で同行家族2人は陰性という。
水際対策にスペインなど4カ国を追加
政府は30日、水際対策を強める対象にスウェーデン、スペイン、ナイジェリア、ポルトガルを追加すると発表した。12月2日午前0時から適用し、入国者らに指定施設で3日間の待機を求める。オミクロン型への対応は計27カ国・地域となる。
岸田文雄首相は30日、関係閣僚と協議し水際措置と国内の感染予防の徹底を指示。松野博一官房長官がトップのタスクフォースを立ち上げた。
後藤茂之厚労相は男性と同じ飛行機に乗っていた70人全員を濃厚接触者として扱う考えを示した。全員がコロナ陰性で、自宅や施設で待機中という。
オミクロン型かを調べるPCR検査、週内に手法を確立
国立感染症研究所(感染研)の脇田隆字所長はオミクロン型かを調べるPCR検査について週内に手法の確立を目指す考えを明らかにした。
国内で一般的な試薬は同型に対応しておらず開発が必要となっている。「全国で検査体制がしっかり組めるようにしていきたい」と述べた。
オミクロン型に感染した男性は28日に成田空港に到着し、到着後の検査で新型コロナの陽性が判明。感染研がゲノム解析によって、どの変異型か調べていた。
松野氏は記者会見で男性の濃厚接触者は「すでに把握し、保健所に連絡している」と述べた。「引き続き水際措置の強化と、ゲノム解析の実施強化によるモニタリングを進め、適切な感染防止対策を徹底していきたい」と強調した。 【日本經濟新聞 2021年11月30日 16:01 (2021年12月1日 2:20更新)】
米軍F16が青森空港に緊急着陸 燃料タンクを投棄、役場近くに落下 ―― 30日午後6時ごろ、米軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が飛行中に緊急事態に陥り、同県の岩木山近くに二つの燃料タンクを投棄した。同基地が発表した。戦闘機は同12分ごろ、青森空港(青森市)に緊急着陸した。燃料タンクの一つは同県深浦町役場近くの道路で見つかった。もう一つは見つかっていない。けが人の情報はないという。
防衛省によると、戦闘機は乗員1人。日本海側から三沢基地へ向かって飛行し、エンジントラブルに見舞われた可能性があるとみられる。ともに飛行していたもう1機は基地に戻ったという。
基地は、投棄したのは人が住んでいない地域と説明しているが、現場付近には民家が点在している。
事故を受け、三沢基地第35戦闘航空団副司令官のティモシー・マーフィー大佐は「兵士及び地域住民の皆様の安全確保は、我々の最優先事項です。本件の原因究明に向け綿密な調査を実施するにあたり、日頃より我々の任務を支援して下さっている地域の皆様に感謝いたします」などとした。
この緊急着陸の影響で青森空港の滑走路は閉鎖され、少なくとも民間の7機が発着できなくなった。運航再開の見通しは立っていないという。
米軍三沢基地のF16戦闘機をめぐっては2018年2月、同基地を離陸直後にエンジン部分から出火する事故があり、二つの燃料タンクを小川原湖(青森県東北町)に投棄し、基地に緊急着陸している。 (朝日新聞DIGITAL 2021年12月1日 1時30分)
“10万円相当給付”のムダな事務経費900億円に公明・山口代表「問題ない」の大ヒンシュク! ―― ここまで批判が強まったら撤回した方がいいのではないか。公明党が打ち出した子育て世帯に向けた“10万円相当の給付”への批判が止まらなくなってきた。
もともと、960万円という所得制限を設けたことに対して“不公平だ”という不満が強かった。さらに、給付方法を「現金5万円」と「クーポン5万円」に分けたため、現金の一括給付より事務経費が900億円も高くなることが発覚し、ネット上でも怒りの声が渦巻いている。事務経費は計1200億円。内訳は現金給付に300億円、クーポン給付に900億円かかる。
29日は、大阪の吉村洋文知事まで世論に便乗する形で参戦。
「完全に愚策だ。やめてもらいたい。政策の理念が見えず、クーポンにする必要がわからない。それだったら現金10万円の一括給付にして、900億円は経済的に厳しい人に給付する方がいい」
実際、900億円あったら、相当な人数の困窮学生を救済できる。補正予算に計上された「学生支援緊急給付金」(675億円)も倍増できる。
さらに、公明党の山口那津男代表が29日、900億円のクーポン事務経費について、「問題なし」と開き直ったため火に油を注いでいる。全額現金給付だと目的外使用されると持論を展開し、「クーポンは確実に使われ、効果をもたらす」と正当化してみせた。
しかし、カネを配ってここまで批判されるのは、よほどのことだ。
「公明党議員は、子育て世帯のことが分かっていないのでしょう。現金5万円を先行して配り、来春の入学・卒業シーズンに5万円分のクーポンを配るそうですが、困窮している子育て世帯は、一刻も早い現金給付を望んでいます。現金だと目的外使用されると、そこまで強く主張するなら、全額クーポンにすべきです。子育てのどこにカネをかけるかは、家庭によって違います。将来の進学のために貯金したっていいじゃないですか。かつて公明党は大衆に寄り添っていたのに、庶民の気持ちとかけ離れた政党になっています」(政治評論家・本澤二郎氏)
900億円の無駄を「問題ない」とは、どうかしている。 (日刊ゲンダイ 公開日:2021/11/30 13:40 更新日:2021/11/30 14:59)
「神田川」作詞家・喜多條忠さん死去、74歳 吉田拓郎と数々のヒット曲 ―― かぐや姫のシングル「神田川」などで知られる作詞家・喜多條忠(きたじょう・まこと)さん(本名同じ)が22日午前6時、肺がんのため横浜市内の自宅で死去した。74歳。
葬儀は親族で済ませた。喪主は妻輝美(てるみ)さん。
放送作家から作詞家に転身し、吉田拓郎(75)とのコンビで数々のヒット曲を生んだ。人生の中盤をボートレースにささげ、還暦で演歌で作詞活動を再開した異色の経歴を持つ。後日、しのぶ会が開かれる予定。
◇ ◇ ◇
昨年、頭部に腫瘍が見つかり、治療の過程で肺にも小さな腫瘍が見つかった。手術と放射線治療を続けて、今年3月にはゴルフをするまでに回復。作詞活動も続けた。10月中旬に入院先から自宅に戻ったが、11月半ばに意識が混濁。眠るように亡くなった。
早大在学中に、浅川マキさんの「カモメ」を聴き、歌詞に興味を持った。大学を中退し、文化放送で放送作家をしている時に、かぐや姫の南こうせつ(72)と意気投合。アルバム用の作詞を依頼された。「『締め切りは今日なんですけど』と平気な顔をして言った」と当時を懐かしんだ。
急な依頼だったが、帰宅途中に神田川を見た。同川沿いの3畳一間のアパートで彼女と同棲していた学生時代を思い出した。一気に書き上げた。73年発売の名曲「神田川」である。学生運動の熱が冷めていく中、彼女との平凡な日々の空虚感を「ただ 貴方のやさしさが 恐かった」に込めた。
親交深い吉田拓郎の依頼で梓みちよの「メランコリー」(76年)を作詞した。この時、拓郎に「歌謡曲のセンスないから書けないだろうけど」と言われ発奮。後に拓郎から「いくつか曲つけたけど詞に勝てなかった」と称賛された。この作品でフォークソング作家のイメージを払拭(ふっしょく)。拓郎と手掛けたキャンディーズの「やさしい悪魔」「アン・ドゥ・トロワ」など歌謡曲でも頭角を現した。
35歳のころに「乾いたタオルを絞って水を出そうとする」ような作詞家生活に疲れ、好きだったボートレースの予想やコラムニストに転身。歌仲間に促され、25年後の60歳で演歌で作詞活動を再開した。日本作詩家協会の会長だった17年に、伍代夏子の「肱川あらし」で悲願の日本作詩大賞(第50回)を獲得。「フォークやニューミュージックで育った団塊の世代の私が、演歌もいいよなと言ってくれる作品をつくりたい」と話した。その情熱が成就した。
◆神田川(かんだがわ) 作曲は南こうせつ。73年9月20日発売で120万枚超のミリオンセラーとなった。舞台は東京・高田馬場2丁目付近で、歌詞に登場する「横丁の風呂屋」は西早稲田の安兵衛湯(廃業)。同年「第24回NHK紅白歌合戦」に出場依頼が来たが、歌詞の「クレパス」が商品名と問題となり、出場しなかった。74年に関根恵子、草刈正雄主演で映画化された。「赤ちょうちん」「妹」と3部作といわれる。 [日刊スポーツ 2021年12月1日0時0分]
笹(笹)を詠める歌
笹(ささ)はイネ科の植物で、一般的には竹よりも背丈の低いものを指します。笹は、古代から神降しのための聖なる植物とされていたようです。笹は、歌に詠まれるとき、「ささ」という音と、その風にゆれる音を意識していたのだろうと考えられています。
竹は稈(かん:節と節の間が中空の茎)の成長に伴って葉鞘(ようしょう)が剥がれ落ちますが、笹は葉鞘が残るのが特徴です。
万葉集には、相聞歌(そうもんか)の5首に詠まれています。
巻2‐0133:笹の葉はみ山もさやにさやげども我れは妹思ふ別れ来ぬれば
巻10-2336:はなはだも夜更けてな行き道の辺の斎笹の上に霜の降る夜を
巻10-2337:笹の葉にはだれ降り覆ひ消なばかも忘れむと言へばまして思ほゆ
巻14-3382:馬来田の嶺ろの笹葉の露霜の濡れて我来なば汝は恋ふばぞも
巻20-4431:笹が葉のさやぐ霜夜に七重着る衣に増せる子ろが肌はも
ウェブニュースより
日大・田中理事長、脱税容疑で逮捕 東京地検 ―― 日本大学付属病院を巡る背任事件に絡み、東京地検特捜部は29日、日大関係業者などから受領したリベート収入などで得た所得を申告せず、約5300万円を脱税したとして、日大理事長の田中英寿容疑者(74)=東京都杉並区=を所得税法違反(脱税)の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は2018、20年分の所得を隠し所得税約5300万円を免れた疑い。
特捜部はこれまで、田中理事長の側近とされる日大元理事の井ノ口忠男被告(64)と医療法人「錦秀会」元理事長の籔本雅巳被告(61)が日大医学部付属板橋病院(東京・板橋)の建て替え工事や医療機器調達を巡り、大学の資金を流出させるなどして日大に総額約4億2千万円の損害を与えたとする背任罪で2度起訴した。
一連の捜査で、特捜部は理事長宅を2度捜索し、現金1億円超が保管されていたことを確認した。関係者によると、井ノ口、籔本両被告は特捜部の調べに対し、起訴内容の取引に絡んで計6000万円を「日ごろ世話になっている謝礼」として理事長に渡したと供述した。
特捜部は両被告と理事長との共謀の可能性も疑ったが、井ノ口被告は理事長側に不正な取引の計画や具体的な内容について報告していなかったと話しており、理事長自身も複数回の任意聴取に、事件への関与や現金の受領を明確に否定していた。 【日本經濟新聞 2021年11月29日 13:07 (2021年11月29日 13:18更新)】
ウェブニュースより
大相撲 九州場所 横綱 照ノ富士 自身初の全勝優勝 ―― 大相撲九州場所は千秋楽、27日に優勝を決めた横綱 照ノ富士は大関貴景勝に勝って、自身初めての全勝優勝を果たしました。
中入り後の勝敗です。
▽栃ノ心に照強は、照強が下手ひねりで勝ちました。
★栃ノ心「最初の休場が大きかったですね。初日から出ていたらもう少し勝てたかもしれない。腰を治して来場所、初日から最後まで相撲とれるようにしたい」
▽琴ノ若に輝は、輝が寄り切り。
★琴ノ若「自分の足りないところ、力不足を感じた。来場所はしっかり準備して攻める相撲を心がけたい。けがもあったが、それは自分の問題。それは言い訳にしたくない。自分で受け止めてやっていきたい」
▽千代大龍に佐田の海は、佐田の海がとったり。
★千代大龍「千秋楽なんで相撲の話はやめましょう。(1年を振り返り)2月に新しい部屋ができて墨田区民から葛飾区民になった。師匠が新しい部屋を作って稽古環境を整えてくれたが負け越した方が多かった。幕内にいれたこと、大けがをしなかったことが大きい」
▽千代の国に英乃海は、千代の国が突き落とし。
▽碧山に天空海は、天空海が押し出し。
▽琴恵光に豊山は、豊山がはたき込みで勝ちました。
▽北勝富士に千代翔馬は、北勝富士が寄り切り。
☆北勝富士「(11勝目に)番付を落とした分、少しは元いた地位に近づけたかなと思います。上位と下位の違いを肌で感じた。同じ幕内でも世界が違う感じがした」
▽宇良に千代丸は、千代丸が上手投げで勝ち越しました。宇良は技能賞を受賞しました。
▽志摩ノ海に松鳳山は、松鳳山が寄り切り。
★志摩ノ海「いいときと悪いときの差が激しすぎるんで、そこは修正していきたい。来場所もしっかり頑張ります」
▽魁聖に遠藤は、遠藤が送り出しで勝ち越し。魁聖は負け越しました。
★魁聖「(幕尻で負け越し)負け越しの魁聖です。自分の四つになれず、あっさりの相撲が多かった。(十両に落ちても)幕内に戻れるよう頑張ります」
▽宝富士に豊昇龍は、豊昇龍が上手投げ。
★宝富士「上手取られると投げが強い相手なので取られたくなかったが、立ち合いの変化は考えていなかった。悔しいですね」
▽隠岐の海に妙義龍は、隠岐の海が引き落とし。
▽阿炎に隆の勝は、隆の勝が押し出しで勝って敢闘賞です。阿炎も敢闘賞受賞です。
★阿炎「勝って締めたかったというか、自分の相撲が取れずに終わった。次への課題が見つかった。隆の勝関の立ち合いが良かった。(敢闘賞は)部屋にいるときに聞きました。うれしいです。(来年に向けて)今場所新たに見つかった自分の課題に向かって、相撲自体を良くしていきたい。もっと鋭い立ち会いができれば、もっと勝ち星を伸ばせたと思う。突き詰めるところはたくさんある」
▽阿武咲に高安は、高安がはたき込み。
▽翔猿に若隆景は、若隆景が押し出しで勝ち越し。翔猿は負け越しました。
▽大栄翔に石浦は、大栄翔がはたき込みで勝ち越しました。石浦は負け越しです。
☆大栄翔「前半は内容が良かったけど、後半はボロボロでがたがただった。勝ち越せたことにはホッとしているけど、内容が伴っていない。もっと稽古しなくちゃいけない。全体的に足が出ていなかった。稽古場から直していきたい。(三役復帰が濃厚)可能性はあると思うので、戻れるならしっかり稽古してどんどん上を目指していきたい」
▽玉鷲に霧馬山は、霧馬山が寄り切り。
▽逸ノ城に明生は、明生が押し出し。
▽大関 正代に御嶽海は、御嶽海が押し出し。
▽横綱 照ノ富士に大関 貴景勝は、照ノ富士が押し出しで勝って自身初めての全勝優勝です。
全勝優勝 横綱 照ノ富士「大きい目標 ふた桁の優勝」
千秋楽の結びの一番に勝って初めての全勝優勝を果たした横綱・照ノ富士は、土俵下のインタビューで「久しぶりの九州場所で、開催出来ることをありがたく思って土俵に上がっていた。皆さんの応援のおかげで土俵に上がるときは自信を持っていつもやっている」と話し、館内から拍手が送られました。
自身初の全勝優勝については「今まで出来なかったことなので、本当にうれしく思う」と話したうえで、28日の取組前の心境を問われると「重圧を感じてもしようがない。土俵に上がっている以上は自分のベストを尽くしてやりきることしか考えていない」と話しました。
初めて番付上の一人横綱として臨んだ今場所は、大鵬以来59年ぶりとなる新横綱から2場所続けての優勝を果たしました。
照ノ富士は「1日、一番という気持ちで臨んでいるのが、少しでもつながったのかなと思う」と話した上で、来年に向けては「大きい目標を立てて、ふた桁の優勝回数を目指して頑張っていきたい。そう簡単にできることはないと思うので、自分なりに努力して頑張りたい」と6回となった優勝回数を伸ばしていくことへの意欲を語りました。
敢闘賞 阿炎「変わるための1年だった」
敢闘賞を受賞した阿炎は「うれしいです」と述べた後、優勝争いに絡んだことについて「気にしないように、一番一番に集中していたので自分なりに思い切りのいい相撲を取ることができた」と話していました。
阿炎は接待を伴う飲食店に出入りし、日本相撲協会のガイドラインに違反したなどとして3場所出場停止の処分を受けたあと、ことしの春場所で復帰し、さらに今場所、7場所ぶりに幕内に戻りましたが、「変わるための1年だった。これで止まらずもっと変われるように頑張っていきたい」と話していました。
敢闘賞 隆の勝「もっと上を目指して」
2回目の敢闘賞を受賞した隆の勝は「本当にうれしい。勝ったら敢闘賞というのは直前に知ったのでちょっと緊張した」と話していました。
好調の阿炎との取り組みについては「突きが強いので、止まらず前に攻めようと思っていた」とした上で、勝って11勝4敗となった成績を受け「ことし最後の場所で大勝ちできたのでよかった。もっと上を目指して頑張っていきたい」と来年を見据えました。
技能賞 宇良「1つ夢をかなえられてうれしい」
初めての三賞となる技能賞を受賞した宇良は「1つ夢をかなえられてうれしい。途中けがもあって三賞を取れないと思っていた」と話していました。
また、ことしを振り返り「幕内に戻ってこられるとも思っていなかったので、感慨深いところがある」と話した上で、来年に向けて「しっかり稽古に励んで幕内で十分戦える力士を目指して頑張りたい」と意気込みました。
八角理事長「一人横綱で大変 よくやってくれた」
日本相撲協会の八角理事長は全勝優勝を果たした横綱・照ノ富士について「ひざと体調を直して、よく戻ってきた。横綱に上がってからは精神的にも立派だ。一人横綱で大変だと思うがよくやってくれた」と評価しました。
一方、12勝3敗の大関・貴景勝について「先場所、先々場所のことを考えると、よく頑張った。ただ、いい時と悪い時の波が大きい。波を小さくして、いい相撲で、常にこれくらいの番数を勝てるよう心がけてほしい」と話しました。
また、2年ぶりの開催となった九州場所を終えて「コロナ禍で大変だったが、多くのお客さんに来てもらってありがたい。感染者が1人も出ず、土俵上もそうだが感染対策もよく頑張ってくれた」と振り返りました。
伊勢ヶ濱審判部長「横綱の責任を果たしている」
日本相撲協会の伊勢ヶ濱審判部長は、初めての全勝優勝を果たした横綱・照ノ富士について「しっかり横綱の責任を果たしていると思う。落ち着いて相撲を取っていたというのがいいのではないか。全然慌てなかった」と話しました。
また、関脇で9勝をあげた先場所に続いて、今場所も関脇で11勝をあげた御嶽海について「1つでも2つでも上の成績を目指してやればいいのではないか」と話した上で、来場所、成績次第で大関昇進があるか聞かれると「数だけで決めるわけではない。すべて見たり、相撲の内容を見たり、いろんなものを見ながらみんなで決めていくものだ」と述べました。
また今場所全体の取組について、伊勢ヶ濱審判部長は「1年納めの場所で、久しぶりの九州場所だった。みんな結構、いい相撲を取っていたと思う。九州の皆さんに見せようと思って、頑張っていたのではないか。今場所のような気合いが入った相撲を取り続けて、お客さんに見てもらえばいいと思う」と話していました。 (NHK WEB NEWS 2021年11月28日 19時00分)
sechin@nethome.ne.jp です。
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