瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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(たちばな)を詠める歌5
巻8-1502:五月の花橘を君がため玉にこそ貫け散らまく惜しみ

巻8-1504:暇なみ五月をすらに我妹子が花橘を見ずか過ぎなむ

※大原高安(おおはらの-たかやす、?743年)
奈良時代の官吏です。天武天皇の曾孫(そうそん)で、川内王の子です。はじめ高安王と称しました。和銅6年従五位下にすすみ、養老3年伊予守(いよのかみ)のとき按察使(あぜち)を兼任します。のち衛門督(かみ)になります。天平11年弟の桜井王らとともに大原真人(まひと)の氏姓をあたえられました。「万葉集」に歌3首がおさめられています。天平141219日死去しています。
巻8-1507:いかといかとある我が宿に百枝さし.......(長歌)
標題:大伴家持擧橘花贈坂上大嬢謌一首并短謌
標訓:大伴家持の橘の花を擧(こぞ)りて坂上大嬢に贈りたる謌一首并せて短謌
原文:伊加登伊可等 有吾屋前尓 百枝刺 於布流橘 玉尓貫 五月乎近美 安要奴我尓 花咲尓家里 朝尓食尓 出見毎 氣緒尓 吾念妹尓 銅鏡 清月夜尓 直一眼 令覩麻而尓波 落許須奈 由来登云管 幾許 吾守物乎 宇礼多伎也 志許霍公鳥 暁之 裏悲尓 雖追雖追 尚来鳴而 徒 地尓令散者 為便乎奈美 擧而手折都 見末世吾妹兒
            万葉集 巻8-1507
          作者:大伴家持
よみ:いかといかと ある吾が屋前(やと)に 百枝(ももえ)さし 生ふる橘 玉に貫()く 五月(さつき)を近み あえぬがに 花咲きにけり 朝(あさ)に日()に 出()で見るごとに 気(いき)し緒に 吾が念(おも)ふ妹に 真澄鏡(まそかがみ) (きよ)き月夜(つくよ)に ただ一目 見するまでには 落()りこすな 雪(ゆき)と云ひつつ 幾許(ここだく)も 吾が守()るものを うれたきや 醜(しこ)霍公鳥 暁(あかとき)し うら悲しきに 追へど追へど なほし来鳴きて いたづらに 地(つち)に散らせば すべをなみ 擧(あげ)て手()()りつ 見ませ吾妹児(わぎもこ)

意訳:どのようになるのかと思っている、私の家に沢山の枝を伸ばし育つ橘の樹。薬狩りでの薬玉を紐に通し祝う五月も近づき、あふれるばかりに橘の花は咲きました。朝も昼も庭に出て見る度に、心底から私が慕う愛しい貴女が、見たいものを見せると云う真澄鏡のように曇りない清らかな月夜に、一目だけでもこの花橘を見るまでは、花よ、散らないで。雪が降る様だと云いながら、これほどに私が見守っているのだが、残念なことに、憎らしいホトトギスが、暁のなんとなくもの悲しいころあいに、追っても追っても、それでも飛び来て啼いて、無用に地に花を散らすと、どうしようもないので、花枝を掲げ挙って手折りました。御覧下さい、私の愛しい恋人の貴女。
原文の「由来登云管」の「来」は、一般に「米」の誤記として「由米登云管」と表記し「夢と云いつつ」と訓みます。また、原文の「擧而手折都」の「擧」は、一般に「攀」の誤記として「攀而手折都」と表記し「攀じて手折りつ」と訓みます。ここでは原文のままに訓んでいます。標の「擧」も同じです。
 大伴家持が後に妻となった坂上大嬢(さかのうえのおおいらつめ)に贈った長歌は、そのまま見事なラブ・レターです。
巻8-1508:望ぐたち清き月夜に我妹子に見せむと思ひしやどの橘

巻8-1509:妹が見て後も鳴かなむ霍公鳥花橘を地に散らしつ


ウェブニュースより
 10万円給付、原則なし崩し 自治体反発で政府迷走 ―― 政府は、18歳以下への10万円相当の給付に関する指針を策定し、全額を現金とすることを容認した。閣議決定を行った制度が事実上覆る異例の事態。地方自治体の猛反発を受け、クーポンと併用する原則はなし崩しになり、政府の迷走ぶりを印象付けた。

 「(判断の)時期が遅い、自治体が苦労しているという指摘は、謙虚に受け止めたい」。岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会でこう釈明した。
 10万円給付は、公明党が衆院選の公約で掲げた「未来応援給付」が原型。自民、公明両党の協議を経て、5万円は年内をめどに現金、残り5万円は来春に向けクーポンでの支給を基本とすることが決まった。
 半分をクーポンとしたのは、現金では貯蓄に回って消費を喚起できず、地域に経済効果が及びにくいとの懸念が、自民党に強かったためだ。一部を来春の支給とした判断には、同夏の参院選対策も念頭にあったとみられる。
 ところが、現金とクーポンの併用により、約967億円の事務経費が余計に掛かることが判明。全国の自治体から「市民のニーズに合わない」(松井一郎大阪市長)などと異論が相次いだ。
 このため、政府は自治体側に示す指針で、現金給付について「一律の条件を設け、審査を行うことは考えていない」と明記。これまでは「来年6月末までにクーポン給付を開始できない場合に限る」とし、理由書の提出を求めていたが、大幅な方針転換を余儀なくされた。
 さらに、年収960万円以上の世帯は給付対象外とする「所得制限」についても、独自の判断で見送る自治体が相次ぐ。山際大志郎経済財政担当相は14日の記者会見で「独自に財源を確保して給付することを止めるものでもない」と容認する姿勢を示すなど、ここでも原則が揺らいでいる。
「クーポンでも現金でもいい。批判を受けて変えていくことは問題ない」。首相周辺は相次ぐ軌道修正をこう正当化する。だが、政府内からも「既にクーポンの用意を始めている自治体もある」と混乱拡大を懸念する声が出ている。    (JIJI.COM 202112150709分)

 WHO、オミクロン型拡大「例のない速さ」 医療逼迫も ―― 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は14日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」が「ほかの変異型には見られなかった速さで広がっている」と述べた。入院患者が急増し「準備ができていない医療機関が対応できなくなる恐れがある」などとして、警戒を呼びかけた。

 テドロス氏は記者会見で「オミクロン型は77カ国で見つかったが、実際はほとんどの国に広がっているだろう」との見方を示した。WHOは世界で広がる別の変異型「デルタ型」とオミクロン型が置き換わるとみる。
 オミクロン型の毒性にも触れ「重症になることもありうる。症状が軽いと決めつける人がいることを懸念している」と危機感をあらわにした。毒性が弱まっているとの初期の報告で気を緩めないよう呼びかけた。
 ワクチンの効果が下がっているとの分析が一部であるが、詳細は明らかになっていない。WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は「全体的にみて、ワクチンは役に立っている。オミクロン型にも一定の防御の役割を果たしているようだ」と語った。    【日本經濟新聞 20211215 5:15 (20211215 8:31更新)


 

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目高 拙痴无
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1932/02/04
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くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
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