橘(たちばな)を詠める歌7
巻10-1966:風に散る花橘を袖に受けて君がみ跡と偲ひつるかも
巻10-1967:かぐはしき花橘を玉に貫き贈らむ妹はみつれてもあるか
巻10-1968:霍公鳥来鳴き響もす橘の花散る庭を見む人や誰れ
巻10-1969:我が宿の花橘は散りにけり悔しき時に逢へる君かも
巻10-1971:雨間明けて国見もせむを故郷の花橘は散りにけむかも
ウェブニュースより
関西空港の検疫職員がオミクロン感染 療養施設で勤務 ―― 厚生労働省は16日、新型コロナウイルス陽性者の宿泊療養施設で勤務する関西空港検疫所職員がコロナに感染し、オミクロン型と確認されたと明らかにした。施設内での感染が疑われ、同省は疫学調査の専門家を派遣し調査を進めている。
厚労省によると、職員は13日の検査でコロナ陽性となり、ゲノム解析の結果、16日にオミクロン型と判明した。職場関係者6人が濃厚接触者とされ、待機施設に入った。〔共同〕 【日本經濟新聞 2021年12月16日 21:00】
岸田政権“アベノマスク一斉処分”表明のワケ…安倍元首相への嫌がらせで「希望者に配布」をブチ上げ ―― 8000万枚もの在庫が積み重なり、保管料に年間9億円もの税金がかかるアベノマスク。昨年、当時の安倍首相が側近から「国民の不安がパッと消えます」と耳打ちされ調達した“負のレガシー”だが、ここへきて、岸田政権が「一斉処分」に動きだした。その狙いやいかに--。
「希望する自治体に配布し、災害備蓄や地域住民への配布に活用していただくこと、希望する個人へ国から配布することなどの取り組みを進める」
松野官房長官は15日の会見で、倉庫に眠っているアベノマスクの扱いについてこう表明した。要するに、「欲しい人は手を挙げて」というわけだ。巨額の税金を費やして保管するより、放出した方がいいに決まっているが、突然の“放出”に対して、「岸田政権には思惑があるのではないか」との声が上がっている。
「全国1700を超える各自治体に、一定数のアベノマスクを引き受けさせ、“秘密裏”に処分してもらう腹積もりではないか。地方交付金の増額をチラつかせれば、多くの自治体が受け入れる可能性がある。菅前政権時代、新型コロナのワクチン接種をせかしたやり方と一緒です」(霞が関関係者)
自治体に“圧力”をかけてアベノマスクを押し付け、いつの間にか在庫を処分させようということか。しかし、その一方、まったく違う狙いも囁かれている。安倍元首相への“嫌がらせ”である。
誰も手を挙げなければ「メンツ丸潰れ」
「悪評ふんぷんのアベノマスクを『希望者に配布する』と言えば、『余計な物を配るな』と国民が怒るのは分かり切ったことでしょう。その怒りの矛先は岸田さんではなく“製造責任者”の安倍さんに向くことになるのは明らか。これでもし希望者が出てこなかったら、安倍さんのメンツは丸潰れです。安倍さんの嫌がるところを巧妙に突く、手の込んだ“攻撃”と言えます。そもそも安倍さんは、この件が話題になることを嫌がっているはずです」(官邸事情通)
■「いらない」「買い取らせろ」と批判続出
確かにツイッターでは〈いらねえ〉〈欲しい人いるの?〉〈安倍に買い取らせろ〉といった怒りの声が続々と上がっている。岸田首相は14日の衆院予算委員会で、8000万枚ものアベノマスクが倉庫に眠っていることを問題視されると「反省すべき点があった」と受け止め、「有効活用の道を探りたい」と答弁。
その翌日の「在庫一掃」表明だから、ヤケに仕事が早い。連日、アベノマスクが取りザタされ、安倍元首相は不機嫌になっている可能性が高い。
岸田首相はかつて、ご自慢の「聞く力」を安倍元首相に対して発揮しまくっていたが、最近は“傀儡”とみられることを極端に嫌がり「安倍離れ」を強めている。
「政権発足時、安倍さんが求めた“萩生田官房長官”“高市幹事長”人事を、岸田さんは拒否。茂木幹事長誕生で“空席”となった外相ポストには安倍さんの天敵である林芳正さんを就けた。国会では、安倍さんの“鬼門”である桜を見る会についても、『大いに反省すべき点がある』『私の内閣では開催しない』と断言しています」(同)
今頃、安倍元首相はカンカンになっているに違いない。 (日刊ゲンダイ 公開日:2021/12/16 14:10 更新日:2021/12/16 14:10)
橘(たちばな)を詠める歌6
巻9-1755:鴬の卵の中に霍公鳥独り生れて己が父に.......(長歌)
標題:詠霍公鳥一首并短哥
標訓:霍公鳥(ほととぎす)を詠める一首并せて短哥
原文:鴬之 生卵乃中尓 霍公鳥 獨所生而 己父尓 似而者不鳴 己母尓 似而者不鳴 宇能花乃 開有野邊従 飛翻 来鳴令響 橘之 花乎居令散 終日 雖喧聞吉 幣者将為 遐莫去 吾屋戸之 花橘尓 住度鳥
万葉集 巻9-1755
作者:高橋虫麻呂(たかはしのむしまろ)歌集より
よみ:鴬(うぐひす)の 卵の中に 霍公鳥(ほととぎす) 独り生れて 己(な)が父に 似ては鳴かず 己が母に 似ては鳴かず 卯(う)の花の 咲きたる野辺(のへ)ゆ 飛び翔(かけ)り 来鳴き響(とよ)もし 橘(たちばな)の 花を居(ゐ)散らし ひねもすに 鳴けど聞きよし 賄(まひ)はせむ 遠くな行きそ 我が宿(やど)の 花橘(はなたちばな)に 住みわたれ鳥
意訳:鴬(うぐひす)の卵の中に霍公鳥(ほととぎす)がひとり生まれて、父のようには鳴かず、母のようにも鳴かず、卯(う)の花の咲いている野辺を飛びかけて、鳴き響かせ、橘(たちばな)にとまって花を散らし、一日中鳴いているけど、聞き飽きることはありません。お礼をするから遠くには行かずに私の家の花橘(はなたちばな)に住み着いてください、鳥よ。
左注:右件歌者高橋連蟲麻呂歌集中出
注訓:右の件(くだん)の歌は、高橋連蟲麻呂の歌集の中に出づ。
◎霍公鳥(ほととぎす)は、卵の世話を鴬(うぐひす)などの他の鳥に托する習性、托卵(たくらん)習性を持つ鳥として知られています。
巻10-1950:霍公鳥花橘の枝に居て鳴き響もせば花は散りつつ
巻10-1954:霍公鳥来居も鳴かぬか我がやどの花橘の地に落ちむ見む
巻10-1958:橘の林を植ゑむ霍公鳥常に冬まで棲みわたるがね
ウェブニュースより
「悔しい」遺族涙 真相解明できず幕―森友訴訟 ―― 「こんなやり方で終わってしまい悔しくて仕方がない」。森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん問題の国家賠償請求訴訟は15日、国側が突然請求を認め終結した。記者会見した原告の赤木雅子さん(50)は、強く求めていた真相解明が果たせなくなった怒りを声を震わせ訴えた。
赤木さんらによると、大阪地裁で午後2時から非公開の進行協議が始まって3分後、国側の代理人が立ち上がり「認諾します」と宣言。原告側は「信義則に反する」と反発し、地裁側も「想定外」として、民事訴訟法の手続き確認などのため協議を一時中断した。
事実上の打ち切りに関し、地裁から最終的に「真実発見は民訴法の中でしか実現できない」と説明があった。雅子さんは国側代理人に抗議したが、一度も目を合わせようとしなかったという。
雅子さんは「ふざけんなと思った」と憤りをあらわにし、「(自殺した)夫に何を言ったらいいのか。これから先どう訴えていけばいいのか方法が見当たらない」と涙ながらに語った。代理人の生越照幸弁護士は「不意打ちで不誠実、極めて卑劣だ」と国の対応を非難した。
訴訟では、亡くなる前に夫の俊夫さんが時系列で改ざんの経緯などを記した「赤木ファイル」を国が開示。事実関係の一端が明らかになり、さらに文書開示を求めている最中だった。松丸正弁護士も「これ以上解明されると不都合な事実があったと考えなければあり得ない」と語気を強めた。 (JIJI.COM 2021年12月15日19時35分)
浅草名物・伝法院通りの32店舗を提訴へ 台東区が土地明け渡し要求 ―― 東京・浅草の「伝法院通り」で長年営業してきた32店舗が公道の不法占拠をしているとし、地元の台東区が立ち退きを求めている問題で、区は、店舗所有者らに土地の明け渡しなどを求めて提訴する方針を固めた。開会中の区議会定例会に関連議案を提出し、20日の閉会日に議決されれば手続きに入る。
伝法院通りは、浅草寺の仲見世通りと交差して東西に約300メートル延び、土産物店や食品販売店が並ぶ観光スポットとして知られる。
区は通り沿いの店舗のうち、1970年代後半に建てられた西側の32店舗について、「区道の上に許可なく建てられ、道路法違反に当たる」と主張。2014年以降に不法占拠の指摘と立ち退きを求めてきたとしている。
◆建設の経緯、双方に資料なく
32店舗で構成する「浅草伝法院通り商栄会」は、当時の区長の判断で建てられたと説明。「浅草の街づくりと発展に寄与してきた」とし、営業継続を求めて今年5月から署名活動を続けてきた。
双方とも建設の経緯などを記録する資料はなく、主張は平行線をたどり、区は訴訟に踏み切ることを決めたという。個々の店舗所有者らを相手取り、土地の明け渡しのほか、過去にさかのぼって占用料相当額の支払いも求める考え。
15日の区議会企画総務委員会では、提訴に関する議案内容を審議。一部委員から「外形的に見れば区は40年近く営業を認めてきた」などと指摘があった一方、「訴訟は解決を進める手段の一つ」との声もあり、賛成多数で承認された。
◆「歴史を踏まえて話し合いを」
商栄会の西林宏章会長(60)は「区の通告はいつも一方的。裁判で争うのではなく、歴史や経緯を踏まえ、建設的な話し合いで解決するべきだ」と話す。区との協議の機会を求める陳情書を議会に提出している。 (東京新聞 2021年12月15日 23時01分)
橘(たちばな)を詠める歌5
巻8-1502:五月の花橘を君がため玉にこそ貫け散らまく惜しみ
巻8-1504:暇なみ五月をすらに我妹子が花橘を見ずか過ぎなむ
※大原高安(おおはらの-たかやす、?~743年)
奈良時代の官吏です。天武天皇の曾孫(そうそん)で、川内王の子です。はじめ高安王と称しました。和銅6年従五位下にすすみ、養老3年伊予守(いよのかみ)のとき按察使(あぜち)を兼任します。のち衛門督(かみ)になります。天平11年弟の桜井王らとともに大原真人(まひと)の氏姓をあたえられました。「万葉集」に歌3首がおさめられています。天平14年12月19日死去しています。
巻8-1507:いかといかとある我が宿に百枝さし.......(長歌)
標題:大伴家持擧橘花贈坂上大嬢謌一首并短謌
標訓:大伴家持の橘の花を擧(こぞ)りて坂上大嬢に贈りたる謌一首并せて短謌
原文:伊加登伊可等 有吾屋前尓 百枝刺 於布流橘 玉尓貫 五月乎近美 安要奴我尓 花咲尓家里 朝尓食尓 出見毎 氣緒尓 吾念妹尓 銅鏡 清月夜尓 直一眼 令覩麻而尓波 落許須奈 由来登云管 幾許 吾守物乎 宇礼多伎也 志許霍公鳥 暁之 裏悲尓 雖追雖追 尚来鳴而 徒 地尓令散者 為便乎奈美 擧而手折都 見末世吾妹兒
万葉集 巻8-1507
作者:大伴家持
よみ:いかといかと ある吾が屋前(やと)に 百枝(ももえ)さし 生ふる橘 玉に貫(ぬ)く 五月(さつき)を近み あえぬがに 花咲きにけり 朝(あさ)に日(け)に 出(い)で見るごとに 気(いき)し緒に 吾が念(おも)ふ妹に 真澄鏡(まそかがみ) 清(きよ)き月夜(つくよ)に ただ一目 見するまでには 落(ち)りこすな 雪(ゆき)と云ひつつ 幾許(ここだく)も 吾が守(も)るものを うれたきや 醜(しこ)霍公鳥 暁(あかとき)し うら悲しきに 追へど追へど なほし来鳴きて いたづらに 地(つち)に散らせば すべをなみ 擧(あげ)て手(た)折(を)りつ 見ませ吾妹児(わぎもこ)
意訳:どのようになるのかと思っている、私の家に沢山の枝を伸ばし育つ橘の樹。薬狩りでの薬玉を紐に通し祝う五月も近づき、あふれるばかりに橘の花は咲きました。朝も昼も庭に出て見る度に、心底から私が慕う愛しい貴女が、見たいものを見せると云う真澄鏡のように曇りない清らかな月夜に、一目だけでもこの花橘を見るまでは、花よ、散らないで。雪が降る様だと云いながら、これほどに私が見守っているのだが、残念なことに、憎らしいホトトギスが、暁のなんとなくもの悲しいころあいに、追っても追っても、それでも飛び来て啼いて、無用に地に花を散らすと、どうしようもないので、花枝を掲げ挙って手折りました。御覧下さい、私の愛しい恋人の貴女。
◎原文の「由来登云管」の「来」は、一般に「米」の誤記として「由米登云管」と表記し「夢と云いつつ」と訓みます。また、原文の「擧而手折都」の「擧」は、一般に「攀」の誤記として「攀而手折都」と表記し「攀じて手折りつ」と訓みます。ここでは原文のままに訓んでいます。標の「擧」も同じです。
大伴家持が後に妻となった坂上大嬢(さかのうえのおおいらつめ)に贈った長歌は、そのまま見事なラブ・レターです。
巻8-1508:望ぐたち清き月夜に我妹子に見せむと思ひしやどの橘
巻8-1509:妹が見て後も鳴かなむ霍公鳥花橘を地に散らしつ
ウェブニュースより
10万円給付、原則なし崩し 自治体反発で政府迷走 ―― 政府は、18歳以下への10万円相当の給付に関する指針を策定し、全額を現金とすることを容認した。閣議決定を行った制度が事実上覆る異例の事態。地方自治体の猛反発を受け、クーポンと併用する原則はなし崩しになり、政府の迷走ぶりを印象付けた。
「(判断の)時期が遅い、自治体が苦労しているという指摘は、謙虚に受け止めたい」。岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会でこう釈明した。
10万円給付は、公明党が衆院選の公約で掲げた「未来応援給付」が原型。自民、公明両党の協議を経て、5万円は年内をめどに現金、残り5万円は来春に向けクーポンでの支給を基本とすることが決まった。
半分をクーポンとしたのは、現金では貯蓄に回って消費を喚起できず、地域に経済効果が及びにくいとの懸念が、自民党に強かったためだ。一部を来春の支給とした判断には、同夏の参院選対策も念頭にあったとみられる。
ところが、現金とクーポンの併用により、約967億円の事務経費が余計に掛かることが判明。全国の自治体から「市民のニーズに合わない」(松井一郎大阪市長)などと異論が相次いだ。
このため、政府は自治体側に示す指針で、現金給付について「一律の条件を設け、審査を行うことは考えていない」と明記。これまでは「来年6月末までにクーポン給付を開始できない場合に限る」とし、理由書の提出を求めていたが、大幅な方針転換を余儀なくされた。
さらに、年収960万円以上の世帯は給付対象外とする「所得制限」についても、独自の判断で見送る自治体が相次ぐ。山際大志郎経済財政担当相は14日の記者会見で「独自に財源を確保して給付することを止めるものでもない」と容認する姿勢を示すなど、ここでも原則が揺らいでいる。
「クーポンでも現金でもいい。批判を受けて変えていくことは問題ない」。首相周辺は相次ぐ軌道修正をこう正当化する。だが、政府内からも「既にクーポンの用意を始めている自治体もある」と混乱拡大を懸念する声が出ている。 (JIJI.COM 2021年12月15日07時09分)
WHO、オミクロン型拡大「例のない速さ」 医療逼迫も ―― 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は14日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」が「ほかの変異型には見られなかった速さで広がっている」と述べた。入院患者が急増し「準備ができていない医療機関が対応できなくなる恐れがある」などとして、警戒を呼びかけた。
テドロス氏は記者会見で「オミクロン型は77カ国で見つかったが、実際はほとんどの国に広がっているだろう」との見方を示した。WHOは世界で広がる別の変異型「デルタ型」とオミクロン型が置き換わるとみる。
オミクロン型の毒性にも触れ「重症になることもありうる。症状が軽いと決めつける人がいることを懸念している」と危機感をあらわにした。毒性が弱まっているとの初期の報告で気を緩めないよう呼びかけた。
ワクチンの効果が下がっているとの分析が一部であるが、詳細は明らかになっていない。WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は「全体的にみて、ワクチンは役に立っている。オミクロン型にも一定の防御の役割を果たしているようだ」と語った。 【日本經濟新聞 2021年12月15日 5:15 (2021年12月15日 8:31更新)】
橘(たちばな)を詠める歌4
巻8-1478:我が宿の花橘のいつしかも玉に貫くべくその実なりなむ
巻8-1481:我が宿の花橘に霍公鳥今こそ鳴かめ友に逢へる時
※奄君諸立(いおりのもろたち、生没年不詳)
奈良時代の歌人です。天平(てんぴょう)-宝亀(ほうき)(729-780)のころの人。大伴家持とまじわり、「万葉集」に1首があります。
巻8-1483:我が背子が宿の橘花をよみ鳴く霍公鳥見にぞ我が来し
巻8-1486:我が宿の花橘を霍公鳥来鳴かず地に散らしてむとか
巻8-1489:我が宿の花橘は散り過ぎて玉に貫くべく実になりにけり
巻8-1492:君が家の花橘はなりにけり花のある時に逢はましものを
巻8-1493:我が宿の花橘を霍公鳥来鳴き響めて本に散らしつ
※大伴村上(おおともの-むらかみ、生没年不詳)
奈良時代の官吏です。天平勝宝(てんぴょうしょうほう)6年(754年)民部少丞のとき、大伴家持(やかもち)邸での年賀の宴で歌をよみました。宝亀(ほうき)2年従五位下にすすみ、翌年阿波守(あわのかみ)となりました。「万葉集」に短歌4首があります。
ウェブニュースより
G7がロシアに警告、ウクライナに軍事侵攻なら「厳しい代償」 中国にもけん制 ―― 英中部リバプールでの先進7カ国(G7)外相会合は12日、2日間の討議を終えて閉幕した。ウクライナへの軍事侵攻が懸念されるロシアに警告する内容の共同声明を採択。議長声明では覇権主義的な動きを強める中国をけん制し、途上国への「威圧的な経済政策」に懸念を表明した他、海洋安全保障で東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力を強める姿勢を示した。
ロシアは隣国ウクライナとの国境周辺に計10万認規模の軍部隊を集めているとされる。共同声明では、ロシア側に緊張緩和と外交的対話を要求。軍事侵攻した場合は「甚大な結果と厳しい代償を伴う」と経済制裁を発動する方針を示し、ウクライナの主権と領土一体性を明確に支持した。
◆中国に対抗、ASEANを初めて招待
会合には中国への対抗のため、ASEANを初めて招待。中国が取り込みを図るASEANを巡り、G7も関係強化を目指した形で、12日にはASEANの各外相がオンライン参加して拡大会合を行った。
トラス英外相は閉幕後、ASEANとの協力に関する議長声明を発表した。南シナ海情勢を巡り、軍事拠点化を図る中国を念頭に「埋め立てなどの活動は、地域の平和や安定性を損なう恐れがある」と指摘。G7とASEANは海洋に関する協力を歓迎すると明記し「海洋安全保障や航行・上空飛行の自由などを促進するための協力強化を奨励する」と強調した。
G7単体の別の議長声明では香港や新疆ウイグル自治区、台湾海峡の平和などに関する問題を今会合で議論したと表明。融資先の国を借金漬けにし、政治的要求に従わせる中国の「債務のわな」に懸念を示し、インド太平洋地域のインフラ整備などにG7が関与、協力することを再確認した。
この議長声明では北朝鮮に対し、大量破壊兵器や弾道ミサイル計画の「完全かつ検証可能で不可逆的な放棄」と拉致問題の即時解決を求め、ミャンマー情勢に関してはアウンサンスーチー氏らの解放を要求した。 (東京新聞 2021年12月13日 19時31分)
首相「10万円給付、年内現金一括も選択肢」 衆院予算委 ―― 岸田文雄首相は13日午前の衆院予算委員会で、18歳以下への10万円相当の給付について地方自治体が年内に現金一括で支給できるようにすると表明した。「自治体の判断により地域の実情に応じて年内からでも10万円の現金を一括で給付する形も選択肢の一つとして加えたい」と述べた。
「そういった方向で具体的な制度設計を考えていきたい」と話した。政府は2021年度補正予算案の成立後に現金一括での給付を容認する基準を示す見通しだ。
政府が11月に決めた経済対策に盛り込んだ10万円相当の給付は自治体がまず年内に現金5万円の支給を始める。政府は22年春に配る残りの5万円相当は子育てや教育目的に使われやすくするためクーポンが原則だと説明していた。
自治体からは年内に一括現金での給付を認めるべきだとの意見が相次いだ。クーポンと合わせると事務的な経費が増え、事業者の選定に手間もかかる。首相は「自治体と調整しながら柔軟な制度設計を進めていかなければならない」と語った。
米国や英国などが表明した22年の北京冬季五輪へ政府関係者を派遣しない「外交ボイコット」に関しても答弁した。「各国の様々な動きや国益などを総合的に勘案し自ら判断する」と説いた。「適切なタイミングを選んで明らかにしたい」と言明した。
補正予算案の編成に伴う22兆円ほどの国債の増発について「決して小さなものではないと思う」と指摘した。「新型コロナウイルス対応、経済の再起動へ必要なものをしっかり積み上げた結果だ」と説明した。
「いまは緊急時だ。国民の生活や事業を守るために必要な予算を確保するのが政治の責任だ」と主張した。米国での竜巻の被害に関して「お見舞いを申し上げる」と語った。自民党の高市早苗政調会長への答弁。
首相は邦人保護を巡る自衛隊機派遣について法改正を含む運用改善の検討を指示したと明らかにした。「邦人の生命、安全を守るために自衛隊が現地に赴く際の安全に対する考え方は決して民間における安全と同じではない。問題意識を持ち、よく整理する必要がある」と唱えた。
衆院予算委は13日、経済対策を盛り込んだ21年度補正予算案の実質審議を始めた。首相が就任後初めて一問一答形式で論戦に臨んだ。13日午後には立憲民主党の小川淳也政調会長や長妻昭元厚生労働相が質問に立つ。
14日も21年度補正予算案を巡る審議を続ける。与党は15日に衆院本会議を開いて採決し、参院での質疑を経て早期に成立させる日程を描く。 【日本經濟新聞 2021年12月13日 5:30 (2021年12月13日 11:15更新)】
橘(たちばな)を詠める歌3
巻6-1009:橘は実さへ花さへその葉さへ枝に霜降れどいや常葉の木
◎葛城王は敏達天皇の子孫で本来は皇族でしたが、母親の姓である「橘」を受け継ぐことを願い出て許され、以後は臣下に下って橘諸兄(たちばなのもろえ)と称しました。この時、佐為王(さゐのおほきみ)や、葛城王の子である奈良麿たちもみな橘姓になったようです。この歌はそんな橘諸兄たちに天皇が贈った祝いの御製歌です。
「橘は実までも花までもその葉までも、枝に霜が降りてもますます常緑の樹だ」とは、まさに「橘」という新しい姓を賜った者たちを祝う目出度い一首です。「橘(たちばな)」は現在でいう蜜柑類の総称のことで、この時代には常世の樹として珍重されていたようです。
この後、橘諸兄は左大臣に累進し、藤原四兄弟が天然痘で相次いで亡くなった後の朝廷の政治を主導していくことになります。そんな一族の繁栄を予見するような力強さを感じさせてくれる歌のようにも感じます。
巻6-1027:橘の本に道踏む八衢に物をぞ思ふ人に知らえず
◎八衢(やちまた)
道が八つに分岐している所。また、道がいくつにも分かれている辻を言います。分かれ道が多くて迷いやすいことや、あれこれと考えて心が乱れることなどのたとえにもいいます。
※豊島采女(としまのうねめ、生没年不詳)
奈良時代の女官です。豊島郡出身の采女。天平(てんぴょう)10年(738)橘諸兄(たちばなの-もろえ)が自宅の宴席で故人豊島采女作として披露した歌1首、ほかに高橋安麻呂がつたえた1首が「万葉集」にあります。豊島郡は摂津豊島(てしま)郡(大阪府)、武蔵(むさし)豊島(としま)郡(東京都)のふたつがありますが、武蔵の出身でしょうか。
巻7-1315:橘の島にし居れば川遠みさらさず縫ひし我が下衣
◎神代人達は、その昇って来る美味しそうな朝日(蜜柑)を食べたいと思った、でも、やがてそれは叶わない事だと知る、それでも食べたいと思った。蜜柑の昇って来る島ゆえ、「蜜柑郷」と呼んだのでしょう。
そうすると、蜜柑と橘は同種ですから、万葉歌の「橘の嶋」を周防大島として考える事が可能になります。
巻7-1404:鏡なす我が見し君を阿婆の野の花橘の玉に拾ひつ
◎「阿婆(あば)の野」は奈良県奈良市春日野付近、奈良県高市郡明日香村付近、奈良県桜井市初瀬付近等諸説があります。
巻8-1473:橘の花散る里の霍公鳥片恋しつつ鳴く日しぞ多き
◎旅人の妻の大伴郎女(おほとものいらつめ)が病に伏して亡くなったのを弔うために大宰府に派遣された石上堅魚が「霍公鳥来(ほととぎすき)鳴き響(とよ)もす卯(う)の花の共にや来(こ)しと問はましものを」(霍公鳥がやって来ては鳴き声を響かせているよ。卯の花の咲くのとともにやって来たのかと問いたいものだなあ。)と詠ったのに対して、こちらでは「橘の花の散る里で霍公鳥は花に片思いをして鳴く日が多いことだ。」と答えています。
石上堅魚の歌では暗に、亡くなった大伴郎女のことを霍公鳥に譬えて詠っているようにも読めましたが、こちらの旅人の歌もまた散ってゆく橘の花を大伴郎女に、霍公鳥を旅人自身に譬えて亡くなった大伴郎女を思って旅人が片思いに泣く日が多いのだとも読めます。
旅人は霍公鳥の鳴き声に自身の泣く姿を重ねて見たのではないでしょうか。
石上堅魚の歌とは花と霍公鳥の関係が逆になっていますが、どちらの歌も表向きはあくまで花と霍公鳥を詠んだ歌なので、花と霍公鳥のどちらに大伴郎女を譬えるかは大した問題ではないのでしょう。
おそらくは日々の実景であっただろう散って行く橘の花と霍公鳥の鳴き声が織りなす景色の中で、妻を失った旅人の悲しみの心を感じ取ることが出来ればこの歌に込められた旅人の思いに近づけたと言えるのではないでしょうか。
ウェブニュースより
米の竜巻被害、死者100人超のおそれ 物流混乱に拍車 ―― 米国で10日夜から11日にかけて発生した竜巻の被害で、南部ケンタッキー州や中西部イリノイ州など複数の州で犠牲者が出た。ケンタッキー州の死者数は70人を超える可能性があるほか、アマゾン・ドット・コムの倉庫でも少なくとも6人が死亡しており、米メディアは全体の死者数が100人を超える恐れがあると報じている。フェデックスの物流拠点も被害を受けるなど、年末の物流の混乱に拍車がかかる懸念がある。
ケンタッキー州では州西部メイフィールドのろうそく工場を竜巻が直撃し、少なくとも18人の死亡が確認された。工場では約110人が働いていたといい、ビシア知事によると、死者数は70人から100人にのぼる可能性があるという。
ビシア氏は11日の記者会見で「州の歴史上、最も深刻な竜巻被害だ」と語り、緊急事態を宣言するとともに連邦政府に支援を要請した。バイデン大統領も11日、記者会見を開き「史上最大級の竜巻(被害)となりそうだ」との認識を示した。
バイデン氏は米連邦緊急事態管理局(FEMA)が被災地に緊急要員や救助隊、物資を供給していると説明し「各州と協力して被害状況を把握し、必要なところに集中して最も迅速に支援する」と強調。「必要なものは何でも提供するつもりだ」と述べた。
米メディアによると、10日夜から11日朝にかけてケンタッキーやイリノイ、テネシー、アーカンソー、ミズーリなど6つの州で30以上の竜巻が発生した。アーカンソーの高齢者施設の入居者1人が死亡し、複数のけが人が出たほか、テネシー、ミズーリ、イリノイの各州でも死者が確認された。
中西部イリノイ州ではアマゾンの物流倉庫が竜巻の直撃を受けて建屋の3分の1程度が崩壊。従業員少なくとも6人が死亡し、一時100人ほどが閉じ込められた。同倉庫ではクリスマス商品の配送対応などで多くの従業員が夜勤で働いていた。
アマゾンは11日夜、「竜巻の犠牲になった従業員に心から哀悼の意を表し、被災者への支援を続けていく」と声明を出した。イリノイ州の財団に100万㌦(約1億1300万円)を提供し、復興を後押しする。
物流大手のフェデックスは南部テネシー州の物流センターが被害に遭った。同センターは米中西部と南部を結ぶ同社の主要拠点で、国内と国際の双方の貨物輸送に遅れが出るという。被害状況の詳細は不明だが、遅延の日数や対象となる荷物の規模が明らかになり次第報告するとしている。
米国では新型コロナウイルス危機後の物流の混雑が深刻化しており、各社は従業員の採用拡大や配送施設の増設などでモノの動きが増える年末の混乱解消に取り組んでいた。米国のほぼ中央部で発生した広範な竜巻被害により、サプライチェーン(供給網)の正常化が遅れるおそれがある。
一方、自動車メーカーなど製造業への影響は現時点で限定的とみられる。ケンタッキー州にはトヨタ自動車の北米最大の完成車工場があるが、竜巻被害が大きかった地域から離れている。トヨタは11日夜、「現時点で部品メーカーを含めてサプライチェーンへの竜巻の被害は出ていない」とコメントを発表した。ケンタッキー州の販売店1店舗で建物の一部が損傷したが、従業員に被害はなかったという。ケンタッキー州やテネシー州にある米ゼネラル・モーターズ(GM)や日産自動車の工場でも目立った被害は確認されていない。 【日本經濟新聞 2021年12月12日 5:20 (2021年12月13日 6:54更新)】
橘(たちばな)を詠める歌2
巻3-0410:橘を宿に植ゑ生ほし立ちて居て後に悔ゆとも験あらめやも
◎歌の意味ははっきりとは分からないのですが、どうやら「橘」を自身の娘に譬えて詠っている一首のようです。
坂上郎女には大嬢(おほをとめ)と二嬢(おとをとめ)という二人の娘がいますが、そんな「橘の樹のように大切に育てて来た娘を簡単に結婚させて、もし台無しになったらあとで後悔しても仕方がないでしょう」との、娘の結婚を心配している意味の歌でしょうか。
この頃、坂上郎女の二人の娘のうち、大嬢には大伴家持が、二嬢には大伴駿河麿がそれぞれ思いを寄せていました。この歌がどちらのことを詠ったものなのかはっきりとしませんが、娘の将来を心配する親心というのは何時の世も変わらないものなのでしょうね。
巻3-0411:我妹子がやどの橘いと近く植ゑてし故にならずはやまじ
※大伴駿河麻呂(おおとものするがまろ、?~776年)
奈良時代の公卿(くぎょう)です。天平18年越前守(えちぜんのかみ)。天平勝宝(てんぴょうしょうほう)9年橘奈良麻呂(たちばなの-ならまろ)の謀反にくみしたとして弾劾されますが、のち出雲守(いずものかみ)に任じられ、宝亀(ほうき)3年陸奥按察使(むつあぜち)となります。陸奥守・鎮守将軍として蝦夷(えみし)を攻略、6年参議にすすみます。「万葉集」に短歌11首があります。宝亀 7年7月7日死去しています。
巻3-0423:つのさはふ磐余の道を朝さらず.......(長歌)
標題:同石田王卒之時山前王哀傷作歌一首
標訓:同じ石田王(いはたのおほきみ)の卒(みまか)りし時に、山前王(やまくまのおほきみ)の哀傷(かなし)びて作れる歌一首
原文:角障經 石村之道乎 朝不離 将歸人乃 念乍 通計萬口波 霍公鳥 鳴五月者 菖蒲 花橘乎 玉尓貫 蘰尓将為登 九月能 四具礼能時者 黄葉乎 折挿頭跡 延葛乃 弥遠永 萬世尓 不絶等念而 将通 君乎婆明日従 外尓可聞見牟
万葉集 巻3-0423
作者:山前王(やまさきのおほきみ)
よみ:つのさはふ、磐余(いはれ)の道を、朝さらず、行(ゆ)きけむ人の、思ひつつ、通(かよ)ひけまくは、霍公鳥(ほととぎす)、鳴く五月(さつき)には、あやめぐさ、花橘(はなたちばな)を、玉に貫(ぬ)き、かづらにせむと、九月(ながつき)の、しぐれの時は、黄葉(もみちば)を、折りかざさむと、延(は)ふ葛(くず)の、いや遠(とほ)長く、万代(よろずよ)に、絶(た)えじと思ひて、通(かよ)ひけむ、君をば明日(あす)ゆ、外(よそ)にかも見む
意訳:磐余(いはれ)の道を朝毎に、(女性の元に)通いながら思われたことは。。。霍公鳥(ほととぎす)が鳴く五月には、あやめぐさ、花橘(はなたちばな)を、鬘(かづら)にしようと。そして九月のしぐれの時には、黄葉(もみちば)を折って髪飾りに、葛(くず)のようにいつまでも絶えることなく通おうと。。。。でも、あなた様を明日からは、あの世の人としてみることでしょう。
左注:右一首或云柿本朝臣人麻呂作
注訓:右の歌は、或は云はく、柿本朝臣人麿の作といへり。
◎左注によると一説には柿本朝臣人麿の作ともあるので山前王自身が詠んだ歌ではなく、人麿の代作であったのかも知れません。あるいは、山前王の長歌を後に人麿が修正した異伝であるのかも知れませんが…
「磐余(いはれ)の道」は奈良県桜井市や飛鳥を通る古代の主要道路で、石田王の邸宅は磐余にあったことからこの道を通て毎朝、朝廷に出仕していたのでしょう。
長歌の内容は、そんな磐余道を毎朝通って石田王が想像していたことは、「ほととぎすの鳴く五月には菖蒲草や橘の花を玉に連ねてかずらにしよう。九月の時雨の時期には、黄葉を折って頭にかざそうとのことだっただろう。」と、生前の石田王の心を想像して詠っています。そして、「延びる葛のようにとても遠く長く、万の世まで絶えることなくと思って通っただろう君を、明日から他界の人として見るのかなあ。」と、その死を悲しんでいます。
石田王については詳しいことはわかっていないのですが、一説によると山前王の弟であったともいい、「明日から他界の人として見るのかなあ。」とはそんな石田王を亡くした悲しみをよく表している表現ですよね。
※山前王(やまくまのおほきみ、?~724年)
飛鳥(あすか)~奈良時代、忍壁(おさかべ)親王の王子です。葦原(あしはら)王の父ともいわれます。石田王(いわたのおおきみ)の死をいたむ長歌1首のほか短歌2首が「万葉集」巻3に載っています。また「懐風藻」に詩1編が載っています。養老7年12月20日死去。名は「やまさきのおおきみ」とも読みます。
ウェブニュースより
監視技術の悪用阻止へ、米主導で枠組み 日本参加も期待 ―― バイデン米政権は10日閉幕した「民主主義サミット」に合わせて、監視技術の輸出を管理する多国間の枠組みを立ち上げると表明した。中国の人権侵害に対抗する狙いだが、発足時点で正式参加したのは米国含め4カ国だった。日本などハイテク企業を抱える国を巻き込めるかが成否を左右する。
米国はオーストラリアとデンマーク、ノルウェーとの共同声明で「輸出管理・人権イニシアチブ」を発足すると記した。カナダとフランス、オランダ、英国も支持を表明して、近い将来の参加を示唆した。
新たな枠組みは、強権国家の人権侵害に顔認証や監視カメラなどの監視技術が悪用されないよう輸出規制で足並みをそろえる。どこの国・地域に対してどのような品目の輸出を止めるのか検討し、各国が同じ措置を講じる。
米国が協力相手として期待する日本は発足メンバーに加わらなかった。日本には顔認証など高度な技術を持つ企業が多い。一方、人権侵害を理由にした明確な輸出管理法を持っておらず、企業の自主規制にとどまる。国内の法整備が欠かせない。
人権侵害を理由にした輸出規制では米国の動きが突出する。トランプ前政権の時代から、ウイグル族の弾圧に加担したとして監視カメラや遺伝子分析、顔認証などを手掛ける中国企業に米国製品の禁輸措置を相次いで課してきた。
監視カメラ市場は上位5社で世界シェアのほぼ半分におよび、そのうち4社は中国企業だ。米政府は2019年8月に世界最大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などからの政府調達を禁止、20年8月には同社製品を使う企業を政府調達から排除した。しかし経営への打撃は限定的で、部品調達もサプライチェーン(供給網)の多様化で乗り切った。
米国が一方的に輸出規制を繰り出しても、ほかの国が同水準のハイテク製品を出荷し続ければ、中国やロシアなど強権国家への打撃は小さくなる。なるべく多くの国が同調しなければ、監視技術の供給や利用を断つのは難しい。
バイデン政権は「同盟国と協力を深めて中国に対抗する」と繰り返すが、経済分野で具体的な成果は乏しい。日本や欧州連合(EU)などハイテク企業を抱える民主主義国家を巻き込んで、枠組みを機能させられるかが試金石となる 【日本經濟新聞 2021年12月11日 21:00】
悪石島で地震続く 4日から265回観測 看護師ら現地に派遣 ―― 9日に震度5強を観測した十島村悪石島で10日午後8時14分ごろ、震度3の地震があった。気象庁によると、震源地はトカラ列島近海で、震源の深さは約30キロ。地震の規模はマグニチュード2.9と推定される。4日から続くトカラ近海の地震は10日までに計265回となった。
村の派遣要請を受けた日本赤十字社鹿児島支部の看護師らは同日、同島行きの村営フェリーに乗り込んだ。11日午前に到着し、島民の体調をチェックしたり健康相談に応じたりする。
島内の住民63人と工事関係者12人の計75人のうち、住民12世帯30人が島外に避難する予定。11〜12日、村営フェリーで奄美市と鹿児島市に向かう。
家族6人で一時避難する畜産業坂元裕幸さん(47)は「子どもが不安がっているので、徳之島の親戚の家に身を寄せたい。私は牛の世話のため、早めに島に戻ってくる」と話した。
村によると、地震による崖崩れとみられた箇所は落石だったと判明。人や建物、インフラの被害は確認されていない。第10管区海上保安本部によると、島の北東部に地震によるものとみられる崖崩れがあった。
鹿児島地方気象台は13日以降、職員2人を派遣し現地調査をする。 (南日本新聞 2021/12/11 07:08)
橘(たちばな)を詠める歌1
ミカン科の常緑小高木です。橘(たちばな)は、ニッポンタチバナまたはミカンのこと、もしくはミカン類の総称と考えられています。
ニッポンタチバナは、日本産で、現在では愛知県以西でごくまれに見られるそうです。6月頃に小さくて白い花を咲かせ、冬に実をつけます。実はとてもすっぱいそうです。
古事記では、橘(たちばな)は非時香果(ときじくのみ)とされています。非時香果(ときじくのみ)とは、いつでも香りたかい果実、という意味です。この実には尊い生命力が宿ると信じられていたようです。
橘(たちばな)を詠んだ歌は、万葉集には72首もあります。霍公鳥とセットの歌がたくさんあります。
巻2‐0125:橘の蔭踏む道の八衢に物をぞ思ふ妹に逢はずして
※三方沙弥(みかたのさみ、生没年未詳)
出自・伝未詳。万葉集に持統朝から文武朝頃の歌を残しています。山田史三方と同一人かと言います。(万葉集代匠記)。山田史三方は沙門として新羅で学問を修め、のち還俗します。持統朝から聖武朝に至るまで学者官人として活躍し、東宮侍講等を勤めました。
巻2‐0179:橘の嶋の宮には飽かぬかも佐田の岡辺に侍宿しに行く
◎草壁皇子の宮殿である島の宮は現在の石舞台周辺にあったとされますが、もうひとつの候補地として橘寺の側から出土した遺跡がその宮であったとする説もあります。あるいは、島の宮の宮殿は現在の石舞台周辺から橘寺のあたりまで庭園の広がる大きな宮殿であったのかも知れませんね。
そんな「橘の島の宮にお仕えするだけでは飽き足らず、佐田の岡にまで出仕するのです」との意味の歌ですが、もちろんこれはそのままの意味ではなく草壁皇子を喪って皇子の御陵である佐田の岡に出仕することになった自身の立場を誤魔化して詠っているわけです。
それほどまでに、舎人たちにとって草壁皇子の死は受け入れがたく喪失感の大きなものだったことがこの歌からも窺い知ることが出来ます。
ウェブニュースより
雇調金ゲットの石原伸晃氏「国を愛しているなら我欲を捨てろ」の主張はどこへ? ――「最後は金目でしょ」は自分自身のことだったのかもしれない。
自身が代表を務める選挙区支部が、新型コロナウイルスの影響を受けた事業主の雇用対策として支給される国の「雇用調整助成金」を約60万円得ていたことが分かり、批判が殺到している自民党の石原伸晃・内閣官房参与(64)。
石原氏側はメディアの取材に対して「必要な書類を添付し、適正に申請し審査いただいた」とコメントしているが、ネット上では、<これがOKだったら、全国数千、数万の政治団体も申請するよ><そんなにカネがほしいのか、みっともない>などと非難ごうごうだ。
そもそも、石原氏といえば、社会保障費の在り方など血税の使い方をめぐっては党内で誰よりも厳しかったはずだ。
2012年9月の党総裁選に出馬した際も、安倍晋三元首相(67)や石破茂元幹事長(64)ら5人の候補の中で唯一、「生活保護費の8000億円削減」を公約に盛り込み、出演した民放番組では、「国を愛しているんだったら我欲を捨てて、若い人も働き盛りの人も高齢者も我慢していただく」と主張。
別の番組では、生活保護の受給者に触れつつ、「(受給希望者が)『ゲットしちゃった』『簡単よ』『どこどこへ行けば簡単にもらえるわよ』こういうことをですね、是正することを私はできると思う」などと発言していたのだ。
「国を愛しているなら我欲を捨てて」「簡単にもらえることを是正」。この発言時から9年経ち、今では「やっぱり国より我欲だよね」「簡単にゲットしちゃおう」と気が変わったのかもしれないが、そういう考えで内閣官房参与という要職に就き続けるのは勘弁してほしいものだ。 (日刊ゲンダイ 公開日:2021/12/10 06:00 更新日:2021/12/10 06:00)
「前理事長と永久に決別」 事業部清算も視野―日大、捜索後初の記者会見 ――日本大学は10日、前理事長の田中英寿容疑者(75)が脱税事件で逮捕されたことなどを受け、東京都千代田区の日大本部で記者会見した。新理事長となった加藤直人学長は一連の事件について「心よりおわび申し上げる」と述べた上で、「前理事長とは永久に決別し、影響力を排除する」と強調した。
会見は9月に日大本部などが家宅捜索を受けて以降、初めて。加藤新理事長は会見が遅れた理由を、捜査などの対応を求められ、忙殺されていたためと説明し、陳謝した。元理事らによる背任事件の舞台となった子会社「日本大学事業部」の清算も視野に入れる考えを示した。
13年間続いた「田中体制」については「(前理事長が)理事の選任に権限を持っていた。理事会そのものが形骸化し、報告会のようなものになっていた」と指摘。前理事長への役員報酬や退職金は支払わず、今後、外部有識者を中心とした「日本大学再生会議」を組織し、理事の選出方法の見直しなどに着手すると明らかにした。 (JIJI.COM 2021年12月10日20時52分)
竹/篠(しの)を詠める歌9
巻19-4286:御園生の竹の林に鴬はしば鳴きにしを雪は降りつつ
巻19-4291:我が宿のい笹群竹吹く風の音のかそけきこの夕かも
ウェブニュースより
長嶋一茂が晒した「長嶋家タブー」の衝撃!ミスターとの“今生の別れ”、妹・三奈との根深い確執も赤裸々 ―― 発売中の「週刊文春」が「長嶋一茂が明かしたミスターと絶縁13年」として、タレントの長嶋一茂(55)が、父である長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督(85)との関係と、妹の三奈(53)との確執を報じている。
■「父とは13年会っていない」
一茂は、11月25日発売の雑誌「ゲーテ」(幻冬舎)にエッセーを掲載。そこには、<父とは、もう13年会っていない><生きているうちに父と会うことは、もう二度とないだろう。父だけでなく、妹達や弟とも10年以上顔を合わせていないし、連絡もとっていない><どうしても言っておきたいことがある……それは日本中の長嶋茂雄ファンの中で、僕こそが一番の長嶋茂雄ファンだということを……>などと、父だけでなく、妹弟との偽らざる関係もつづっている。
内情告白の意義は大きい
記事ではさらに、<長嶋茂雄>の商標登録を巡る一茂の「ナガシマ企画」と三奈の「オフィスエヌ」の一連の確執の経緯を詳解。しかし結局、10年3月には、「ナガシマ企画」は商標登録を正式に破棄し、一茂は<長嶋茂雄>と距離を置いて、ワイドショーやバラエティー番組で活躍するようになったと報じている。さるワイドショー関係者はこう話す。
「一茂と三奈の確執が根深いことは昔から有名でしたが、長嶋家に関してはワイドショーで扱うのはタブーとされることが多い中、本人がここまでハッキリと内情をつづったことの意義は大きいと思います」
一茂は文春がエッセーについて問いかけるも「あなたたちに協力する気はないんで」とニベもない。
「しかし、ある年齢に達した大人が、親兄弟と確執があるのはよくある話とも言えるでしょう。それより現実的には、今後ミスターに万が一のことがあった場合、公正証書遺言がなければ、遺産相続の問題が起こることが予想されます」
兄と妹弟の深い断絶が雪解けとなる日は訪れるのだろうか──。 (日刊ゲンダイ 公開日:2021/12/09 14:15 更新日:2021/12/09 20:07)
日大前理事長 脱税容疑認める意向「妻が代わりに受け取った」 ―― 所得税法違反(過少申告)容疑で東京地検特捜部に逮捕された日本大学前理事長の田中英寿容疑者(75)が、脱税容疑を認める意向を示していることが、関係者への取材で判明した。田中前理事長はこれまで現金の受領そのものを否定してきたが、一転して妻が代わりに受け取ったという趣旨の説明をしているという。「妻が共謀に問われて起訴されることは耐えられない」とも話しているという。
田中前理事長は2018年と20年分の確定申告書に日大の取引業者からのリベート収入など計約1億2000万円を記載せず、所得税計約5300万円を免れたとして逮捕された。関係者によると、特捜部は妻も共謀したとみている。田中前理事長は自身の税務申告を税理士と直接やり取りしたことはなく、妻が代行していたとされる。
妻は田中前理事長が11月29日に逮捕される前から、持病が重症化して入院している。特捜部は今月2日、妻が経営するちゃんこ料理店が併設された田中前理事長の自宅の他に、妻が入院する病室も捜索した。妻の体調面を考慮して、事情聴取の可否を慎重に検討している模様だ。
夫妻が隠したとされる計約1億2000万円の内訳も判明した。背任罪で起訴された大阪市の医療法人「錦秀会」前理事長、籔本雅巳被告(61)から18年と20年に4回に分けて計7500万円▽日大工学部の災害復旧工事を受注した金沢市の建築会社から20年9月ごろに3000万円▽日大付属板橋病院の建て替え計画に関与した大阪府内の設計会社から20年2月に1000万円▽背任罪で起訴された日大元理事の井ノ口忠男被告(64)が複数の業者から集金した計300万円――とされる。
特捜部は、この資金の大半が、田中前理事長の妻に現金で手渡されたとみている。井ノ口元理事と籔本前理事長は夫妻に現金を渡したことを認めているという。現金の趣旨は、日大の仕事を受注したことへの謝礼や、田中前理事長が20年9月に理事長に再任されたことへの祝儀などとされ、田中前理事長に提供する趣旨があったとみられる。 【毎日新聞 2021/12/9 21:00(最終更新 12/9 23:20)】
玉川徹氏、前澤氏の宇宙旅行に興味なし「閉所恐怖症なんで…」 ―― テレビ朝日の玉川徹氏(58)が9日、コメンテーターを務める同局系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜前8:00)に出演。ファッション通販サイトZOZO創業者で実業家の前澤友作氏(46)が日本初の民間人として国際宇宙ステーション(ISS)滞在に挑戦していることに言及した。この日の番組冒頭では、前澤氏らが乗るロシアのソユーズ宇宙船がロケット打ち上げに成功し、ISSに到着したことを紹介。前澤氏が宇宙で「100の実験」を行うことや滞在費用は数十億円ともいわれていると伝えた。
他の出演者が興奮した様子でコメントする一方で、玉川氏は「水を差して申し訳ないんですけど、私閉所恐怖症なんで全く興味ないです」とバッサリ。「自分が興味ないってこともあって申し訳ないんだけど、金持ちの道楽見せられてもな、って感じですけどね」と突き放し、1983年二公開された米映画「ライトスタッフ」を持ち出した。
同作は米国初の有人宇宙飛行計画「マーキュリー計画」に選ばれた7人の宇宙飛行士と人類初の有人超音速飛行を成し遂げた戦闘機テストパイロットの物語。タイトルの「ライトスタッフ」とは「自分だけの正しい資質」という意味を示しており、玉川氏は「そういう資質を持ってる人でしか成しえなかった偉業っていう映画なので、そういうのを見てると、まぁ時代変わったなって」と民間人でも宇宙へ行けるようになったことへの印象を語っていた。 (サンスポ 2021/12/09 17:07)
竹/篠(しの)を詠める歌8
巻15-3758:さす竹の大宮人は今もかも人なぶりのみ好みたるらむ
※中臣宅守(なかとみのやかもり、生没年不詳)
奈良時代の歌人です。『万葉集』巻15の目録に、,蔵部の女孺(後宮蔵司の女官か)狭野茅上娘子を娶ったときに流罪に断ぜられたとあり、越前国に配流されます。原因は、時の政情に絡むかと推測されますが、禁を犯して娘子と結ばれたためともいいます。天平12(740)年6月の大赦では「赦の限りに在らず」とされており、罪せられたのは同11年2月の大赦以後でしょうか。同13年9月の大赦で帰京した蓋然性が高い。天平宝字8(764)年藤原仲麻呂の乱に連座して除名(重罪の官人から位勲のすべてを剥奪する付加刑)されます。『万葉集』の40首は、配所での、都の娘子との贈答が主ですが、娘子の23首をも含め、編者(大伴家持か)の手で再構成されたといわれ、全体が悲劇的な愛の物語の趣を呈します。
巻16-3791:みどり子の若子髪にはたらちし母に抱かえ.......(長歌)
標題:竹取翁、偶逢九箇神女、贖近狎之罪作歌一首并短歌
標訓:竹取の翁の、偶(たまたま)九箇(ここのたり)の神女(めかみ)に逢ひしに、近く狎(な)れし罪を贖(あが)ひて作れる歌一首并せて短歌
序:昔有老翁、号曰竹取翁也。此翁、季春之月登丘遠望、忽値煮羮之九箇女子也。百嬌無儔、花容無止。于時娘子等呼老翁嗤曰、叔父来乎。吹此燭火也。於是翁曰唯々、漸赴徐行著接座上。良久娘子等皆共含咲相推譲之曰、阿誰呼此翁哉。尓乃竹取翁謝之曰、非慮之外偶逢神仙、迷惑之心無敢所禁。近狎之罪、希贖以謌。即作謌一首并短謌
序訓:昔、老翁ありき、号(なづけ)て竹取翁と曰ふ。この翁、季春(きしゅん)の月に丘に登り遠く望むに、忽(たちま)ちに、羮(あつもの)を煮る九箇の女子に値(あ)ひき。百嬌儔(たぐ)ひ無く、花容に匹するは無し。時に娘子等は老翁を呼び嗤(わら)ひて曰はく「叔父来れ。この燭の火を吹け」という。ここに翁は「唯々」と曰ひて、漸(やくやく)に赴き徐(おもふる)に行きて座(むしろ)の上に著接(まじは)る。良久(ややひさか)にして娘子等皆共に咲(えみ)を含み相推譲(おしゆづ)りて曰はく「阿誰(あた)がこの翁を呼べる」といふ。すなわち竹取の翁謝(ことは)りて曰はく「慮(おも)ざる外に、偶(たまさか)に神仙に逢へり、迷惑(まど)へる心敢(あへ)へて禁(さ)ふる所なし。近く狎(な)れし罪は、希(ねが)はくは贖(あがな)ふに歌をもちてせむ」といへり。すなはち作れる歌一首并せて短歌
序訳:昔、八十歳を越える老人がいた。呼び名を竹取の翁といった。この老人が春三月頃に丘に登って遠くを眺めると、たまたま、羮を煮る九人の女性に出逢った。その妖艶さは比べるものが無く、花のように美しい顔立ちに匹敵する人がいない。その時、娘女達は老人を呼び笑いながらいった。「おやじ、ここに来い。この焚き火の火を吹け。」と。老人は「はいはい」といってゆっくりと娘女達の間に近づき、膝を交えて座った。ところが、しばらくして、娘女達は一様に笑いを含めながらお互いをつつきあい、「一体、誰が、このおやじを呼んだの」といった。そこで、竹取の翁が詫びていうには、「思ってもいなくて、たまたま神仙に回り逢い、戸惑う気持ちをどうしても抑えることが出来ませんでした。近づき馴れ馴れしくした罪は、どうか、この償いの歌で許して欲しい」といった。そこで作った歌一首。并せて短歌。
原文:緑子之 若子蚊見庭 垂乳為母所懐 褨襁 平生蚊見庭 結經方衣 水津裏丹縫服 頚著之 童子蚊見庭 結幡之 袂著衣 服我矣 丹因 子等何四千庭 三名之綿 蚊黒為髪尾 信櫛持 於是蚊寸垂 取束 擧而裳纒見 解乱 童兒丹成見 羅丹津蚊經 色丹名著来 紫之 大綾之衣 墨江之 遠里小野之 真榛持 丹穂之為衣丹 狛錦 紐丹縫著 刺部重部 波累服 打十八為 麻續兒等 蟻衣之 寶之子等蚊 打栲者 經而織布 日曝之 朝手作尾 信巾裳成 者之寸丹取 為支屋所經 稲寸丁女蚊 妻問迹 我丹所来為 彼方之 二綾裏沓 飛鳥 飛鳥壮蚊 霖禁 縫為黒沓 刺佩而 庭立住 退莫立 禁尾迹女蚊 髣髴聞而 我丹所来為 水縹 絹帶尾 引帶成 韓帶丹取為 海神之 殿盖丹 飛翔 為軽如来 腰細丹 取餝氷 真十鏡 取雙懸而 己蚊杲 還氷見乍 春避而 野邊尾廻者 面白見 我矣思經蚊 狭野津鳥 来鳴翔經 秋僻而 山邊尾徃者 名津蚊為迹 我矣思經蚊 天雲裳 行田菜引 還立 路尾所来者 打氷刺 宮尾見名 刺竹之 舎人壮裳 忍經等氷 還等氷見乍 誰子其迹哉 所思而在 如是 所為故為 古部 狭々寸為我哉 端寸八為 今日八方子等丹 五十狭邇迹哉 所思而在 如是 所為故為 古部之 賢人藻 後之世之 堅監将為迹 老人矣 送為車 持還来 持還来
万葉集 巻16-3791
作者:竹取翁
よみ:緑子の 若子の時(かみ)には たらちしも懐(なつか)し 褨(すき)を襁(か)け 平生(ひらお)の時(かみ)には 木綿(ゆふ)の肩衣(かたきぬ) ひつらに縫ひ着 頚(うな)つきの 童(わらは)の時(かみ)には 結幡(けつはん)の 袖つけ衣(ころも) 着し我れを 丹(に)よれる 子らが同年輩(よち)には 蜷(みな)の腸(わた) か黒し髪を ま櫛持ち ここにかき垂れ 取り束(たか)ね 上げても巻きみ 解き乱り 童に為(な)しみ 薄絹(うすもの)似つかふ 色に相応(なつか)しき 紫の 大綾(おほあや)の衣(きぬ) 住吉の 遠里小野の ま榛(はり)持ち にほほし衣(きぬ)に 高麗錦 紐に縫ひつけ 刺(さ)さへ重(かさ)なへ 浪累(し)き 賭博為し 麻続(をみ)の子ら あり衣の 宝(たから)の子らか 未必(うつたへ)は 延(は)へて織る布(ぬの) 日晒(ひさら)しの 麻手(あさて)作りを 食薦(しきむも)なす 脛裳(はばき)に取らし 醜屋(しきや)に経(ふ)る 否(いな)き娘子(をとめ)か 妻問ふに 我れに来なせと 彼方(をちかた)の 挿鞋(ふたあやうらくつ) 飛ぶ鳥の 明日香壮士(をとこ)か 眺め禁(い)み 烏皮履(くりかわのくつ) 差(さ)し佩(は)きし 庭たつすみ 甚(いた)な立ち 禁(いさ)め娘子(をとめ)か 髣髴(ほの)聞きて 我れに来なせと 水縹(みなはだ)の 絹の帯を 引き帯(び)なし 韓(から)を帶に取らし 海若(わたつみ)の 殿(あらか)の盖(うへ)に 飛び翔ける すがるのごとき 腰細(こしほそ)に 取り装ほひ 真十鏡(まそかがみ) 取り並(な)め懸けて 己(おの)か欲(ほ)し 返へらひ見つつ 春さりて 野辺を廻(めぐ)れば おもしろみ 我れを思へか 背の千鳥(つとり) 来鳴き翔らふ 秋さりて 山辺を行けば 懐かしと 我れを思へか 天雲も 行き棚引く 還へり立ち 道を来れば 打日刺す 宮女(みやをみな) さす竹の 舎人(とねり)壮士(をとこ)も 忍ぶらひ 返らひ見つつ 誰が子ぞとや 思はえてある かくのごと 為(せ)し故(ゆへ)し 古(いにしへ)の 狭幸(ささき)し我れや 愛(は)しきやし 今日(けふ)やも子らに 不知(いさ)にとや 思はえてある かくのごと 為(せ)し故(ゆへ)し 古(いにしへ)の 賢(さか)しき人も 後の世の 語らむせむと 老人(おひひと)を 送りし車 持ち帰りけり 持ち帰りけり
意訳:私が乳幼児の若子の頃は上等の布で母にくるまれ、稚児になると木綿製の裏付きの着物を着せられ、首まで切りそろえた幼児になると絞り染めの袖のついた着物を着ていた。ほおの赤い、あなたがたと同じような年頃になると、黒髪を櫛でかいて前に垂らし、取り束ねて巻き上げてみたり、あるいは解き乱したりして童子らしくしたものさ。ほの赤い色に似つかわしい紫染めの、綾織りの文様の大きな着物に、住吉(すみのえ)の遠里小野(とほさとをの)の、あの高級な榛(はん)の木で染めた着物を着、高麗錦を紐状に縫ひつけたものさ。その上、高麗錦の紐を挿したり合わせたりして重ね着飾ったものさ。麻をつむ子や織物に従事する子がこさえた白布を伸ばして織った着物に、日にさらした真っ白な麻製の、美しく屋根状に盛り上がった、ひれをなしたスカート状の上着を羽織る。下級役人の稲置娘子が求婚する私に、遠方から送ってよこした二色交ぜ織りの下足袋を履き、明日香の男が長雨時のように家にこもって縫ってくれた黒靴を履いたもんさ。その靴を履いて庭に立っていると、それを漏れ聞いた稲置娘子が、そんな風にお立ちでないと、私に送ってよこした韓帯(外国製の帯)を紐のように使って引き締めなさいといった。海神の御殿の屋根の上部に飛び回るジガバチのように、スマートな腰細の格好で装ほい、その自分を鏡に映してほれぼれしたもんさ。春がやってきて野辺をめぐると、格好いいと思ったのか野の鳥が鳴きながら飛んできた。秋になって山辺を歩くと、天雲までも私になついてたなびいている始末。、帰り道をたどって都大路にさしかかると、女官たちも高級な舎人(とねり)たちも、密かに振り返って見ては、どこの家の若様かと思われたものさ。こんなふうなありさまだから、この私も昔は時めいていたと思ったのさ。まあ今となれば、あなたがたのような若い方であれば変なじいさんと思われても仕方がない。だけど昔の賢人たちもこれを後の世の鑑(かがみ)とするように、人の老いは繰り返されるのだよ。
◎「春になって野辺をめぐれば、私を面白く思ってか野の鳥が近くへやって来ては鳴きて飛び交う。秋になって山辺を行けば懐かしいと私を思うからか天雲も行きたなびいたことだ。帰ろうと道を歩いて来れば日の輝く宮殿の女たちも、竹の根が伸びる舎人の男たちも、さりげなく振り返り見て、どこの子だろう?と思われたものだ。」と、自分のモテ期を自慢げに詠っています。
そして、「このようにされて来たから昔は華やかだった私は、いとしくも今日のあなたたちに、どこの誰だろう?と思われているのだろう。このようにされて来たから昔の偉い人も後の世の鏡になるようにと、老人を運んだ車を持ち帰って来たことだ。持ち帰って来たことだ。」と、歌を締めくくっています。
むかしは華やかさで「どこの子だろう?」と思われていたのが、いまでは邪魔な老人として「どこの誰だろう?」と仙女たちに思われている皮肉を詠った訳です。
最後の「老人を運んだ車を持ち帰って来たことだ。」とは、孝子伝にある原穀が、祖父を乗せて捨てに行った手車を「父を捨てるときにも使うから」と言って持ち帰って、祖父を捨てることを命じた父を諫めた逸話のことですね。
つまりは、「いまは華やかなあなたたちも、いつかは私のように年老いてしまうのですよ」と諭している訳です。
まあ、取りようによっては、償いの歌と言いながら説教を始める困ったお爺さんと言った感じにも読めますが、この歌の場合は素直に「まだ若い仙女たちのために素晴らしい教えを与えてあげるための歌」と解釈するのが正解だと思います。
「年寄りを邪魔者にすると、いつかあなたたちも同じように扱われますよ」と教えてあげている訳ですね。
◎この万葉集巻十六(三七九一)の歌に出て来る竹取の翁は、後の平安時代に作られた竹取物語の登場人物の竹取の翁のもとになったとも云われています。
竹取物語において、竹取の翁はその名を「讃岐造(さぬきのみやつこ)」とされ、その出身部族である讃岐氏は、持統-文武期に朝廷に竹細工を献上するために讃岐国(さぬきのくに)の氏族斎部(いちべ)氏が大和国広瀬郡散吉(さぬき)郷に移り住んだものだそうです。
おなじく、竹取物語のかぐや姫の五人の求婚者である貴公子たちが、万葉集の一時代である持統期末期から文武期初期にかけての朝廷の中心に居た実在の人物に比定されることも、この巻十六(三七九一)の歌から始まる一連の連作との関係を感じさせてくれて興味深いものがあります。
竹/篠(しの)を詠める歌7
巻12-3093:小竹の上に来居て鳴く鳥目を安み人妻ゆゑに我れ恋ひにけり
巻13⁻3327:百小竹の三野の王西の馬屋に.......(長歌)
標題:挽歌
標訓:挽(かなしみ)の歌
原文:百小竹之 三野王 金厩 立而飼駒 角厩 立而飼駒 草社者 取而飼<曰戸> 水社者 は而飼<曰戸> 何然 大分青馬之 鳴立鶴
万葉集 巻13⁻3327
作者:不明
よみ:百小竹の 三野の王 西の馬屋に 立てて飼ふ駒 東の馬屋に 立てて飼ふ駒 草こそば 取りて飼ふと言へ 水こそば 汲みて飼ふと言へ 何しかも 葦毛の馬の いなき立てつる
意訳:あれほどご清栄であられた三野王がお亡くなりになりました。生前、王が西の厩、東の厩で飼っていた馬たちには、草もどっさり与え、水もたっぷり飲ませているのに、何でまぁ。このように鳴きたてるのか。
◎三野王(みののおう、?~708年)
飛鳥(あすか)時代の官吏です。栗隈(くりくま)王の王子。壬申(じんしん)の乱のとき、筑紫大宰(つくしのおおみこともち)の父とともに任地におり、弟の武家(たけいえ)王とともに大友皇子の使者をおいかえします。筑紫大宰率(だざいのそち)、摂津大夫(だいぶ)、治部卿などを歴任、従四位下にいたります。県犬養橘三千代(あがたのいぬかいのたちばなの-みちよ)とのあいだに橘諸兄(たちばなの-もろえ)らをもうけます。和銅元年5月30日死去。美努王、弥努王、美弩王ともかきます。
巻14-3474:植ゑ竹の本さへ響み出でて去なばいづし向きてか妹が嘆かむ
ウェブニュースより
北京五輪の外交ボイコット、選手はどうする ―― 米国が2022年2月の北京冬季五輪に政府要人を派遣しない外交ボイコットを発表した。予想された展開である。同盟国に同調は求めないとしているが、日本はどうするのか。英国やカナダなどは米国に続く可能性が高い。
外交ボイコットが広がっても、五輪の開催自体に支障はない。中国政府は他国が追随しないようにさまざまな圧力をかける一方で、大会自体は何事もなかったように開催し、自国の「正義」と「成功」を主張するはずだ。
新型コロナウイルス禍で中国国外からの観客も不在となる。会場の様子は国際映像で世界に提供される。民主主義の価値観を持つ人々にとっては異常な光景が広がるのでは。選手たちはそこで競技しなければならない。
外交ボイコットの背景にあるのは民主主義と権威主義、専制主義との対立。新疆ウイグル自治区での人権侵害や香港の民主化運動への弾圧は、成熟した民主主義国家の価値観では看過できない問題である。中国の元副首相からの性的被害を告発した後に自由に連絡が取れなくなったとされるテニス選手、彭帥さんの置かれた状況も懸念されている。
次は五輪参加を目指す選手たちや各国のスポーツ界がどんな反応を示すかに注目している。彭帥さんの問題では、女子テニス協会(WTA)が、中国で開催予定のツアーをすべて停止することを表明した。
「スポーツと政治は別」とするのは古典的な考え方。現代の選手たちは多様な意見を持ち、それを発信する手段も持つ。以前よりはるかに政治や人権に対する関心は高い。
五輪を唯一無二の舞台と考えない選手も増えているし、政治的プロパガンダに利用されるのを嫌う選手もいる。人権重視の姿勢をアピールする方が五輪のメダルより大事だと考えることだってあるだろう。
自ら「出場しない」と宣言する。または、大会を使って人権問題への抗議を示そうとする選手が登場してもおかしくない。
1968年メキシコ五輪の表彰式でも、米国の黒人選手による「ブラックパワー・サリュート」と呼ばれる人種差別への抗議行動があった。彼らは大会から追放されたが、現在のルールでは表彰式や開閉会式は別として、選手紹介や記者会見、SNS(交流サイト)などでの個人の主張や信条の発信は容認される。
北京五輪の記者会見で選手たちが次々とウイグルや香港の人権問題に言及する――。そんな事態になったら中国政府はどう対応するだろうか。 【日本經濟新聞 2021年12月8日 5:00】
sechin@nethome.ne.jp です。
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