とりあえずDeukaliōn(デウカリオン)は船から降りZeus(ゼウス)とThemis(テミス、法と掟の女神)に感謝の祈りをささげました。 テミスはこのParnassus(パルナッソス)の南にあるDelphoi(デルポイ)に古くから信託の場所を持つ神であります。 そして彼らは人類が滅亡したことを悲しんで、テミスに救いの道を求めたのです。すると女神は彼らにこう告げます。
「頭を布で包み隠し、衣を解いておまえ達の大いなる母の骨を歩きながら後ろに投げるがいい。」
母の骨を投げるという恐ろしき事態に当惑しながら、2人は信託の意味を必死に考えました。そしてデウカリオンはある結論に達したのです。
「我々の大いなる母というのは大地だ。母の骨というのは、岩のことに間違いない。だから石を拾って後ろに投げろと言われるのだろう。」
まあ、間違えていても石を投げることくらいたいしたことではないので、とりあえずやってみようと2人は転がっている石を拾って肩越しに後ろに投げてみることにしました。 するとその石はみるみるうちに大きくなり、血が通う人間になったのでした。デウカリオンの投げた石からは男、 ピュラの投げた石は女になりました。こうして再び人類は増え広がっていったのです。―― つまり私らは石から出来た人間ってわけでして…… ちなみにApollodoros(アポロドロス)は人々のことをLaosと言うのは、石「Laas」からきているのだと言っています。
※Apollodoros(アポロドロス):古代ローマ時代のギリシャの著作家です。『Biblioteke(ビブリオテーケー)』(『ギリシア神話』)の編纂者として知られています。1世紀から2世紀頃の人物と推定されています。この書籍の内容は、古代のギリシア神話の包括的な系統誌で、英雄神話の中の諸王朝の物語や、ヘーラクレース、イアーソーン、ペルセウス、そしてトロイア戦争の概説とそこに登場するアキレウス、ヘクトール、ヘレネーといった英雄や女性にまつわるエピソードが語られています。紀元前5世紀以前の文献を基に神話をまとめているため、ローマ神話の影響が排除された内容となっているといいます。ギリシア神話の主要な文献として、参考書として、更に、Ovidius(オウィディウス、BC43~AD17年)などのラテン語作家がある意味で歪曲したとも言える、本来の古代ギリシア神話の姿を伝えるものとして重要な意味を持ちます。
その後、デウカリオンとPyrrha(ピュラ)の間に数人の子供が出来ました。 長男のHéllēn(ヘレン)はギリシア人の祖先と言われています。ギリシア人のことをHellenes(ヘレネス)と言われる所以ですが、実は祖先として作られた人物であるらしいのです。 だからヘレンはゼウスの子供でデウカリオンの養子だなんていう説もあるのです。またAthēnai(アテナイ)の初代王Amphiktyōn(アンピクテュオン)が産まれたとありますが、大地の子との説もあるのです。
娘は「第一に生まれた女」Protogeneia(プロトゲネイア)が挙げられ、彼女とゼウスの間にAethlios(アエトリオス)が生まれたといいます。Endymiōn(エンデュミオン)やAiolos(アイトロス)などの西部ギリシア王族の祖先にあたるということです。
ヘレンはニンフのOrseis(オルセイス)との間にDoros(ドロス)、Xuthōs(クストス)、Aeolus(アイオロス)の3人を儲け、それぞれドリス族・イオニア族・アイオリス族の祖といわれています。
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