瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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萩を詠める歌11
巻9-1772:後れ居て我れはや恋ひむ印南野の秋萩見つつ去なむ子故に

◎印南野(いなみの)は現在の兵庫県南部の明石川と加古川に囲まれた地域にあたります。

※大神大夫(おおみわのまえつきみ、657706)
 大神高市麻呂(おおみわの-たけちまろ)のことです。飛鳥(あすか)時代の公卿(くぎょう)です。斉明(さいめい)天皇3年生まれです。大神利金の子で、壬申(じんしん)の乱で戦功をたてました。持統天皇6年中納言のとき,農事の妨げになるとして伊勢(いせ)行幸の中止を進言しました。のち長門守(ながとのかみ)、左京大夫となります。「懐風藻(かいふうそう)」「万葉集」に詩歌があります。慶雲(きょううん)3年2月6日死去。50歳。従三位を追贈されました。姓は大三輪とも書きます。
※阿倍大夫(あへのまえつきみ、659〈斉明天皇五年〉~732〈天平四年〉)
 阿倍広庭か。慶雲元年(704)ごろ従五位上。伊予の守、宮内卿、左大弁、参議、兼知河内和泉事などを歴任します。中納言に至る。大神大夫が筑紫国に任ぜられた時、印南野の和歌を詠みました。
巻9-1790:秋萩を妻どふ鹿こそ独り子に子持てりと.......(長歌)
標題:天平五年癸酉、遣唐使舶發難波入海之時、親母贈子謌一首并短謌
標訓:天平五年癸酉、遣唐使の舶の難波を發()ちて海に入らむ時に、親母(しんぼ)の子に贈れる謌一首并せて短謌
原文:秋芽子乎 妻問鹿許曽 一子二 子持有跡五十戸 鹿兒自物 吾獨子之 草枕 客二師徃者 竹珠乎 密貫垂 齊戸尓 木綿取四手而 忌日管 吾思吾子 真好去有欲得
           万葉集 巻9-1790
         作者:遣唐使母
よみ:秋萩を 妻どふ鹿こそ 独り子に 子持てりといへ 鹿児(かこ)じもの 吾()が独り子し 草枕 旅にし行けば 竹玉(たかたま)を 繁(しじ)に貫()き垂れ 斎瓮(いはひべ)に 木綿(ゆふ)取り垂()てし 斎(いは)ひつつ 吾が思()ふ吾子(あがこ) 真幸(まさき)くありこそ
意訳:秋萩の季節に妻を呼ぶ鹿こそ、独り児の子を持っていると云う。鹿の児ではないが私の独り子が草を枕にするような苦しい旅に出立して行くと、竹の玉をたくさんに紐に貫き垂らし、神を祭る甕に幣を取り付けて垂らし、神に祈る。私が念じる吾が子よ、無事であってほしいと。
◎管玉(くだだま)は装身具の一種です。細い竹を輪切りにしたような筒形をした玉類のことです。大小ありますが、3~5cmぐらいのものが多い。縦に孔をあけ、糸を通してつなぎ、首飾りや腕飾りにしたと思われます。碧玉製が多いが、ガラス、水晶、瑪瑙などもあります。孔は両方からあけているもの、片側からのものがあります。古墳出土のものが多いが,正倉院宝物にもみられます。

 斎瓮は神を斎(いつ)く瓶、神に上げる水や酒を入れる瓶のことです。
【須恵器・陶器】スヱキ -広辞苑より-
古墳時代後期から奈良・平安時代に行われた、大陸系技術による素焼の土器。良質粘土で、成形にはろくろを使用、あな窯を使い高温の還元炎で焼くため暗青色を呈するのが一般。食器や貯蔵用の壺・甕が多く、祭器もある。祝部(いわいべ)土器。斎瓮(いんべ・いわいべ)

 四手・垂(しで)は注連縄(しめなわ)、または玉串(たまぐし)などにつけて垂らす紙です。古くは木綿(ゆう)を用いました。


ウェブニュースより
 政権人事「論功行賞」色濃く 安倍・麻生氏に配慮―岸田氏 ―― 自民党の岸田文雄総裁が政権人事の骨格を固めた。政権基盤の安定を最優先に、総裁選で支援を受けた派閥を中心にポストを割り振った結果、論功行賞の色彩が濃厚だ。安倍晋三前首相や麻生太郎副総理兼財務相ら重鎮への配慮もにじむ。

 内閣の要となる官房長官には、細田派の松野博一元文部科学相を起用する。岸田氏の政調会長時代に政調会長代理を務めるなど、気心の知れた間柄だ。
 執行部で焦点となる幹事長には、麻生派の甘利明党税調会長を指名。総裁選では岸田氏を選対顧問として支えた。安倍、麻生両氏との盟友関係は、党内で「3A」と称される。
 これにより、政府・党の中枢を最大派閥と第2派閥が占めることになる。
 選対委員長に就任する谷垣グループの遠藤利明元五輪相は、菅義偉首相に大敗した昨年の総裁選に続き、岸田陣営の選対本部長を務めた功労者。2度目の政調会長となる高市早苗前総務相は、安倍氏が要職起用を強く要求した結果だ。国対委員長に充てる高木毅衆院議院運営委員長も、安倍氏の出身派閥・細田派に所属している。
 総裁選で、安倍氏は高市氏を全面支援。決選投票ではその票をまとめて岸田氏の勝利につなげた。麻生氏は派内から河野太郎規制改革担当相が出馬しながら、麻生派として岸田氏と河野氏の双方を支持すると決定。重鎮2人が新政権の「キングメーカー」として影響力を誇る構図が鮮明になりつつある。
 実際、岸田氏は30日、東京都内のホテルで麻生氏と会談。事前に人事構想を伝えたとみられる。安倍氏の元にも、岸田派事務総長で安倍氏と親密な根本匠元厚生労働相を派遣した。
 総裁レースを争った河野氏は、広報本部長に就く。目前に迫った衆院選の発信力強化を担うが、幹事長など党4役と比べて「格落ち」感は否めない。河野氏を支えた小泉進次郎環境相や石破茂元幹事長が、安倍氏らを念頭に派閥批判を展開したことも影響したもようだ。
 わずかに独自色を見せたのが、総務会長に起用する当選3回の福田達夫衆院議員だ。党改革を求める派閥横断の「党風一新の会」代表世話人を抜てきし、総裁選で掲げた「中堅・若手の登用」の象徴とする思惑が透ける。ただ、党の意思決定機関である総務会は「うるさ型」のベテランが多く、調整能力が問われる。
 党内からは早くも「刷新感が出ない」(関係者)などと不満が漏れる。党幹部は「派閥の長から意見を聞きすぎるのは良くない。選挙は負けるかもしれない」と懸念。身内のはずの岸田派中堅すら「ひどい人事だ。安倍政権そのものだ」と断じた。    (JIJI COM 202110010706分)


 

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