櫟（なら）を詠める歌、自民総裁選

檪（なら）を詠める歌
　ブナ科コナラ属の落葉広葉樹の楢(なら)の木とされています。写真はミズナラです。
　万葉集には１首だけ、櫟柴(ならしば)と詠まれています。櫟柴(ならしば)は、楢(なら)の雑木をいいます。

巻12-3048: み狩りする雁羽の小野の櫟柴のなれはまさらず恋こそまされ


ウェブニュースより
　総裁選 構図が一変　立候補の動き活発に　岸田・河野氏出馬、石破氏も検討　17日告示、29日投開票 ―― 自民党総裁選は菅義偉首相の不出馬によって構図が変わった。立候補を表明済みの岸田文雄前政調会長に加えて河野太郎規制改革相が出馬の意向を固めた。石破茂元幹事長は対応を周辺と協議中で、高市早苗前総務相も意欲を示す。17日の告示まで2週間のタイミングで混戦模様となった。

　総裁選は首相と岸田氏の争いが軸になるとみられていた。最大派閥である細田派出身の安倍晋三前首相や第2派閥の麻生派を率いる麻生太郎副総理・財務相は首相を支える方向で動いてきた。
　二階俊博幹事長も首相支持を打ち出したものの、内閣支持率の低下で首相の求心力は落ちた。次期衆院選が近づくにつれ派閥全体で後押しする機運はしぼんでいった。
　各派は新たな構図で「勝ち馬」を探る。岸田派を除く派閥は支援先を決めておらず情勢は混沌とする。党内7派閥のうち5派閥が首相を推して早々と流れが決まった前回の2020年総裁選とは状況が異なる。
　岸田氏は８月26日に出馬表明の記者会見を開いた。９月３日に都内で記者団に「思いは変わっていない」と総裁を目指す意思を改めて述べた。
　総裁以外の党役員の任期を最長３年に制限する党改革案を掲げ、党内の中堅・若手議員からの支援を期待する。初当選が同期の安倍氏が影響力を持つ細田派や、岸田派と源流を同じくする麻生派に秋波を送る。
　河野氏は菅内閣でコロナワクチン担当の閣僚を務める。これまでは「閣僚としての仕事をしっかりやる」と繰り返し、総裁選への対応を明らかにしていなかった。
　首相の不出馬により現職閣僚でも立候補しやすい環境になった。３日に所属派閥の会長である麻生氏と会談した。
　日本経済新聞社が８月27～29日に実施した世論調査で「次の自民党総裁にふさわしい人」のトップは回答者の16%が挙げた河野氏だった。世代別にみると30歳代以下の層では他の候補に10ポイント以上の差がついた。麻生派の当選回数が少ない議員らが出馬を推す。
　世論調査で僅差の２位だった石破氏の事務所には３日、石破派所属の議員が次々と訪れた。石破氏は派内で総裁選出馬について話し合う考えを記者団に明かした。
　世論調査を分析すると石破氏は菅内閣を支持しない層からの人気が高い。出馬すれば政権批判票の受け皿となり得る。石破派の議員は17人で、立候補に必要な推薦人20人に足りない。他派閥や無派閥からの賛同が要る。

　石破氏はこれまで総裁選に４回出た。安倍氏と争った12年は党員・党友票で過半数をとって１回目の投票で１位になったが、決選投票で敗れた。国会議員の支持を広げられるかが勝敗を左右する。
　高市氏は20人の推薦人の確保を目指す。３日に出馬の意欲を重ねて示した。派閥に属していないため過去に所属した細田派や無派閥の議員に協力を呼びかける。
　世論調査では次の総裁に期待する政策として「憲法改正」を選択する層からの支持が多い。野田聖子幹事長代行も同日、自らに近い議員に立候補を目指す考えを伝えた。
　竹下派の会長代行を務める茂木敏充外相は出馬を促す声があった前回の総裁選に触れて「期待の声にこたえていきたい気持ちが変わっているわけではない」と語った。
　そのうえで「まずはグループをまとめるのが自分の責任だ。どういう方法がいいかよく考えていく」と強調した。外務省で出馬の意向を問われて記者団に話した。
　立候補をめざしながら断念した下村博文政調会長も首相の退陣意向を受けて出馬への意欲を再びにじませた。
　党本部で記者団に「状況が変わった。改めて同志、仲間と相談していきたい」と説明した。細田派の一部に出馬を求める意見がある。
　衆院議員の任期満了は10月21日に迫る。衆院選は遅くても11月28日までにある。総裁選は「選挙の顔」を選ぶ舞台でもある。自民党の国会議員は新総裁のもとで34%まで落ち込んだ内閣支持率の浮揚を狙っており、世論調査の人気を意識する。
　今回の総裁選は1人1票の国会議員票383票と、全国に100万人以上いる党員らの投票で配分が決まる党員票383票の計766票で争う見通しだ。国会議員票よりも国民感情が反映されやすい党員票の動きも勝敗に影響する。
　選挙地盤が弱い議員の投票心理にも波及しやすい。過去には党員票の優勢が伝えられた候補に国会議員票が一気に流れたことがある。　　　　（日本経済新聞　2021年9月4日 2:00）