栗を詠める歌
ブナ科クリ属の落葉植物です。説明の必要の無いほど、秋の味覚として馴染み深いものですね。栗の花は6月頃に、枝の腋から細長い紐のような花穂を伸ばして、小さい花を集めたようにして咲きます。先の方には雄花、元の方には雌花が咲きます。
万葉集には3首に登場します。いずれも、花ではなくて実に関する歌です。
巻5-0802:瓜食めば子ども思ほゆ栗食めばまして偲はゆ.......(長歌)
標題:思子等歌一首并序/釋迦如来金口正説 等思衆生如羅睺羅 又説 愛無過子 至極大聖尚有愛子之心 況乎世間蒼生誰不愛子乎
標訓:子らを思へる歌一首并せて序/釈迦如来(しゃかにょらい)の、金口(こんく)に正に説(と)きたまはく「等しく衆生(しゆうじよう)を思ふことは、羅睺羅(らごら)の如し」と。又説きたまはく「愛(うつくし)びは子に過ぎたるは無し」と。至極(しごく)の大聖(たいしやう)すら、尚(な)ほ子を愛(うつくし)ぶる心ます。況(いは)むや世間(よのなか)の蒼生(あをひとくさ)の、誰かは子を愛(うつくし)びざらめや。
原文:宇利波米婆 胡藤母意母保由 久利波米婆 麻斯提斯農波由 伊豆久欲利 枳多利斯物能曽 麻奈迦比尓 母等奈可可利提 夜周伊斯奈佐農
万葉集 巻5-802
作者:山上憶良(やまのうえのおくら)
よみ:瓜食めば子ども思ほゆ、栗食めばまして偲はゆ、いづくより来りしものぞ、眼交(まなかひ)にもとなかかりて、安寐(やすい)し寝(な)さぬ
意訳:瓜を食べれば子どものことを思い出す。栗を食べれば子どもがいとおしい。子どもはどこからやってきたのだろう。子どものことが目の前に浮かんで、なかなか寝付けないなぁ。
左注:神龜五年七月廿一日於嘉摩郡撰定 筑前國守山上憶良
注訓:神亀五年七月二十一日、嘉摩郡(かまのこほり)にて撰定す。筑前国守山上憶良
◎人生派歌人、人情派歌人などといわれる憶良らしい、子供への愛情を詠った作で、非常に有名な歌ですのでみなさんの中にもご存知の方も多いかと思います。
「瓜を食べていても今わが子供はどうしているだろうかと思い出させる。栗を食べればあの子にもこの栗をを食べさせてあげたいなあとまして思い出される。どんなに遠くにいても目に浮かんできて思い出され、安眠さえできない。」との子供への深い愛情は、今の世の人々にもすんなりと受け入れられる解説の必要すらないものですね。
万葉時代の人々も子供を思う気持ちはわれわれと何ら変わらないものだったのでしょう。
憶良の歌はこの「子らを思へる歌」や「貧窮問答の歌」など、どれも万葉集の中で異彩を放っていますが、しかしその「調べ(リズム)」は万葉調の重奏な美しさを保っていることも注目すべき点かと思います。
さほど長く無い長歌ですし、この歌もぜひみなさんも声に出して詠いあげてみてください。
千数百年も前の山上憶良という人物のこころが今の時代にそのまま蘇ってくるような不思議な力をそこに感じるはずです。
巻9-1745:三栗の那賀に向へる曝井の絶えず通はむそこに妻もが
巻9-1783:松返りしひてあれやは三栗の中上り来ぬ麻呂といふ奴
ウェブニュースより
タリバン「女性の権利尊重」 全土制圧後初の記者会見 ―― アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンの報道担当者は17日、首都カブールで全土制圧後に初めて記者会見し、「歴史的な舞台だ。アフガンの自由と独立のために働く」と誇った。国際社会が懸念する女性の人権を巡っては「イスラム法の下で女性の権利は尊重される」と主張した。政権の移譲については「交渉が進んでいる」とした。
報道担当者は「内にも外にも敵を欲しない」とも述べ、政府関係者などへの報復を否定した。「指導者の指示ですべてのひとに恩赦を与えた」と融和姿勢を強調した。早期の首都制圧に踏み切った理由については「前政権が機能しなかった。我々が安全確保に責任を負う必要があった」と主張した。
タリバンは1996年から2001年に政権を握っていた際、極端なイスラム教の解釈によって女子教育を禁じるなど女性を抑圧した。17日の記者会見で、タリバンの報道担当者は新体制ではイスラム法の枠内で女性が医療分野などで働くことが可能になり、学ぶ権利も保障するとした。
国際社会の懸念を意識し、イスラム法に基づく穏健な統治に臨む考えを繰り返したが、具体策への言及は乏しかった。アフガン経済の立て直しに取り組む方針も表明した。アフガンの天然資源を活用し、国内に新しいインフラを整えることを検討するという。 【日本經濟新聞 2021年8月18日 1:02 (2021年8月18日 5:01更新)】
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