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(つみ)を詠んだ歌
 柘(つみ)は、野桑(のぐわ)/山桑(やまぐわ)のこととされています。野生の桑で、クワ科クワ属の落葉高木です。桑は4月頃から花をつけ、6月頃から赤い実をつけます。実は、夏になると黒く熟して食べられるようになります。
 万葉集には、長歌を含んで三首に詠まれています。

巻3-0386:この夕柘のさ枝の流れ来ば梁は打たずて取らずかもあらむ
 
巻3-0387:いにしへに梁打つ人のなかりせばここにもあらまし柘の枝はも

若宮年魚麻呂(わかみやのあゆまろ、生没年不明)
 奈良時代の歌人。経歴などは不明。「万葉集」巻3に歌1首をのこすほか,長歌2,短歌2首の伝誦(でんしょう)者としてその名がしるされています。

101937:大夫の出で立ち向ふ故郷の神なび山に.......(長歌)
題詞:夏雜歌 / 詠鳥
題訓:夏雑歌(なつのざふか)/鳥を詠める
原文:大夫之 出立向 故郷之 神名備山尓 明来者 柘之左枝尓 暮去者 小松之若末尓 里人之 聞戀麻田 山彦乃 答響萬田 霍公鳥 都麻戀為良思 左夜中尓鳴
         万葉集 巻101937
       作者:古歌集より
よみ:大夫(ますらを)の 出()で立ち向ふ 故郷(ふるさと)の 神(かむ)なび山に 明けくれば 柘(つみ)のさ枝に 夕(ゆふ)されば 小松(こまつ)が末(うれ)に 里人(さとびと)の 聞き恋()ふるまで 山彦(やまびこ)の 相(あひ)(とよ)むまで 霍公鳥(ほととぎす) 妻恋(つまご)ひすらし さ夜中(よなか)に鳴く
 
意訳:男子が外に出て見る故郷(ふるさと)の神奈備山(かんなびやま)に朝がくると、柘(つみ)の枝に、夕方になると松(まつ)の梢(こずえ)に、里の人が聞いて素敵だと思うほどに、山彦(やまびこ)が響くほど、霍公鳥(ほととぎす)が妻を呼んでいるようです。夜中に鳴いています。
◎「故郷(ふるさと)の神奈備山(かんなびやま)」がどこなのかはっきりしていませんが、飛鳥(あすか)の雷丘(いかづちのおか)、甘樫丘(あまかしのおか)、もしくはほかの山と考えられています。

ウェブニュースより
 宣言延長、首相が世論にらみ急旋回 五輪・衆院選控え ―― 菅義偉首相は3日、1都3県への緊急事態宣言を延長する方針を表明した。当初は7日までの宣言期限までで解除する考えだったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止を求める世論をみて急旋回した。東京五輪・パラリンピックや衆院選を控え、政権運営上の安全策を選んだ。
 
 3日夕、首相は東京都など1都3県の感染状況について報告を受けてつぶやいた。「下がり方が鈍い」
 東京、神奈川、埼玉、千葉の6指標はいずれも最も悪い「ステージ4」から脱却していた。だが千葉の病床使用率はステージ4の基準である50%に近い。各地の新規感染者数の減少ペースも鈍っていた。
 緊急事態宣言は3月7日まででも2カ月近くになる。首相のもとには対象地域から疲弊の声が届いていた。経済再生を重視する首相にとっては、早期の経済再開が最優先の選択肢だった。
 2月26日、大阪府や愛知県など6府県の宣言を解除すると決めた際も、首相は1都3県を条件付きで3月7日に解除すると表明する案を検討していた。専門家の反対で断念したが経済再開にこだわった。
 今回の判断でも最後まで迷った。延長を表明した後、周囲には「事業者のことを思うと2週間が限界だ」と話している。首相官邸内でも感染再拡大を懸念して「延長時期は3月末までとすべきだ」との意見があったが、首相は「短期延長」の道を選んだ。
 東京都の小池百合子知事らが延長を求める事情もあった。小池氏は2日夜、3県知事と連絡をとり、2週間程度の延長を政府に要請するよう働きかけた。首相が3日夜、先に延長を表明しなければ、国VS知事の構図が表面化する可能性もあった。
 1月に始まった今回の宣言は、小池氏ら1都3県の知事が要請した後に発令した。内々に宣言する意向を固めていた首相の機先を制する形で小池氏が動き、首相は「後手に回った」と言われた。
 今回も解除か延長かの瀬戸際で登場した小池氏が「延長を主導した」と批判される可能性はあった。
 首相を後押ししたのは世論の情勢だ。日本経済新聞社が2月2628日に実施した世論調査は宣言の「再延長」を求める回答が8割を超えた。まず感染の収束を求める声の大きさが浮き彫りになっていた。
 首相の判断は今年の政治日程を見据えた結果ともいえる。専門家からは十分に収束しないままに解除すれば、5~6月以降に感染が再拡大する「第4波」がある、と警戒の声もあがっていた。
 新型コロナ対策の「切り札」と位置づけるワクチンの接種日程は当初より遅れている。65歳以上の高齢者が本格化するのは4月下旬以降、一般の人は夏以降とみられている。7月に開会式を控える東京五輪、10月までにある衆院選を前に感染が再拡大すれば政権は危機を迎える。
 与党内には「小池リスク」を指摘する声もあがっていた。小池氏が2日「(感染状況の改善が)間に合わないという分析がある」と延長論を展開すると、与党幹部は「小池氏はまた政局だ」と話した。
 小池氏は地域政党「都民ファーストの会」の特別顧問を務める。7月に都議選、秋までに衆院選がある「選挙イヤー」で対立軸をつくろうとしているとの観測も浮上していた。首相の延長判断は政局面でも安全策を採った形となった。
 小池氏は3日夜、都庁で記者団に「延長という考えは基本的に都の考えと一致するもの」と話した。一部では「同夜に延長を直談判するため官邸を訪ねる」との話も流れたが、首相との会談はなかった。   【日本經濟新聞 202134 1:00 (202134 5:26更新)


 

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