瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
荀子 修身篇 第二 より(是是非非)
以善先人者謂之教、以善和人者謂之順;以不善先人者謂之諂、以不善和人者謂之諛。是是非非謂之知、非是是非謂之愚。傷良曰讒、害良曰賊。是謂是、非謂非曰直。竊貨曰盜、匿行曰詐、易言曰誕。趣舍無定謂之無常。保利棄義謂之至賊。多聞曰博、少聞曰淺。多見曰閑、少見曰陋。難進曰偍、易忘曰漏。少而理曰治、多而亂曰秏。
〔訳〕
善を以って人を先導するのを教といい、善を以って人を和合するのを順という。不善を以って人を先導するのを諂(おとしいれ)といい、不善を以って人を和合するのを諛(へつらい)という。是(ぜ)を是とし非を非とするのを知といい、是を非とし非を是とするのを愚という。良い人をそしり傷つけるのを讒(ざん)といい、良い人を痛めそこなうのを賊(ぞく)という。是を是といい非を非というのが直であり、貨財をぬすむのが盗であり、行為をかくすののが詐(いつわり)であり、言葉をひるがえるのが誕(あざむき)である。進退に定見のないのを無常(つねなし)といい、利益をむさぼり道義をすてるのを至賊という。聞くところの多いのを博といい、聞くところの少ないのを浅という。見るところの多いのを閑(ならう)といい、見ることの少ないのを陋(かたくな)という。進歩のおそいのを偍(ゆるい)といい、忘れやすいのを漏(もる)という。為すこと少なくして条理のあるのを治(おさまる)といい、為すこと多くして乱雑なのを耗(みだる)という。
荀子 修身篇 第二 より(跛鼈千里)
夫驥一日而千里、駑馬十駕、則亦及之矣。將以窮無窮、逐無極與?其折骨絕筋、終身不可以相及也。將有所止之、則千里雖遠、亦或遲、或速、或先、或後、胡為乎其不可以相及也!不識步道者、將以窮無窮、逐無極與?意亦有所止之與?夫“堅白”、“同異”、“有厚無厚”之察、非不察也、然而君子不辯、止之也。倚魁之行、非不難也、然而君子不行、止之也。故學曰遲。彼止而待我、我行而就之、則亦或遲、或速、或先、或後、胡為乎其不可以同至也! 故蹞步而不休、跛鱉千里;累土而不輟、丘山崇成。厭其源、開其瀆、江河可竭。一進一退、一左一右、六驥不致。彼人之才性之相縣也、豈若跛鱉之與六驥足哉!然而跛鱉致之、六驥不致、是無它故焉、或為之、或不為爾! 道雖邇、不行不至;事雖小、不為不成。其為人也多暇日者、其出入不遠矣。
〔訳〕
かの駿馬は一日で千里を走るというが、駄馬だとて十日もかければ、これに追いつくことが出来る。もし無窮・無極の果まで行こうとすれば、筋骨をたちきるほど努力しても、生涯行き着くことはできない。これに反し、もし目標を立てて進むならば、千里の道は遠くとも遅速先後の違いはあるにせよ、どうして到達できないことがあろうか。いったい、道を行く人は無窮・無極の果をきわめようとするのか。それとも止まるべき目的地をきめているのか〔もちろん後者であろう〕。
かの堅白、同異、有厚・無厚の弁は、明晰には違いないが、君子がそのようなことを議論しないのは、止まるべき目標を持っているからである。人の意表をつく奇怪な行いは、至難のことに違いないが、君子がそのようなことをしないのは、止まるべき目的をきめているからである。
だから学問には待つということがある。すなわち、彼は泊まるべきところにおってわれが来るのを待ち、我は進んでそこに行き着くならば、たとい遅速先後の違いはあっても、どうしてともに目標に到達できないということがあろうか。だから半歩ずつでも休まずに歩けば、びっこの鼈(すっぽん)さえ千里の道を行くことが出来、少量の土でも止めずに積み重ねれば、高い丘や山も出来上がり、水源をふさいで出口を開くなら、揚子江や黄河の水でさえ涸らすことが出来る。しかし、進んだり退いたり、左に曲がったり右に折れたりしていては、たとい六頭立ての駿馬でも目的地に到達できない。いったい、人間の素質の隔たりは、どうしてびっこの鼈と駿馬の足ほどはなはだしいものだろうか。それなのに、びっこの鼈が道のりをゆきつくし、六頭立ての駿馬が行きつくせないのは、けっして他に理由がないわけではない。一方は努力し、一方は努力しなかったまでである。
いかに近い道でも歩まなくては到達せず、いかに小さなことでもしなければ成就しない。人となりの怠惰は者は〔いかに素質がすぐれていようとも〕はなはだしく人よりずば抜けることはない。
以善先人者謂之教、以善和人者謂之順;以不善先人者謂之諂、以不善和人者謂之諛。是是非非謂之知、非是是非謂之愚。傷良曰讒、害良曰賊。是謂是、非謂非曰直。竊貨曰盜、匿行曰詐、易言曰誕。趣舍無定謂之無常。保利棄義謂之至賊。多聞曰博、少聞曰淺。多見曰閑、少見曰陋。難進曰偍、易忘曰漏。少而理曰治、多而亂曰秏。
〔訳〕
善を以って人を先導するのを教といい、善を以って人を和合するのを順という。不善を以って人を先導するのを諂(おとしいれ)といい、不善を以って人を和合するのを諛(へつらい)という。是(ぜ)を是とし非を非とするのを知といい、是を非とし非を是とするのを愚という。良い人をそしり傷つけるのを讒(ざん)といい、良い人を痛めそこなうのを賊(ぞく)という。是を是といい非を非というのが直であり、貨財をぬすむのが盗であり、行為をかくすののが詐(いつわり)であり、言葉をひるがえるのが誕(あざむき)である。進退に定見のないのを無常(つねなし)といい、利益をむさぼり道義をすてるのを至賊という。聞くところの多いのを博といい、聞くところの少ないのを浅という。見るところの多いのを閑(ならう)といい、見ることの少ないのを陋(かたくな)という。進歩のおそいのを偍(ゆるい)といい、忘れやすいのを漏(もる)という。為すこと少なくして条理のあるのを治(おさまる)といい、為すこと多くして乱雑なのを耗(みだる)という。
荀子 修身篇 第二 より(跛鼈千里)
夫驥一日而千里、駑馬十駕、則亦及之矣。將以窮無窮、逐無極與?其折骨絕筋、終身不可以相及也。將有所止之、則千里雖遠、亦或遲、或速、或先、或後、胡為乎其不可以相及也!不識步道者、將以窮無窮、逐無極與?意亦有所止之與?夫“堅白”、“同異”、“有厚無厚”之察、非不察也、然而君子不辯、止之也。倚魁之行、非不難也、然而君子不行、止之也。故學曰遲。彼止而待我、我行而就之、則亦或遲、或速、或先、或後、胡為乎其不可以同至也! 故蹞步而不休、跛鱉千里;累土而不輟、丘山崇成。厭其源、開其瀆、江河可竭。一進一退、一左一右、六驥不致。彼人之才性之相縣也、豈若跛鱉之與六驥足哉!然而跛鱉致之、六驥不致、是無它故焉、或為之、或不為爾! 道雖邇、不行不至;事雖小、不為不成。其為人也多暇日者、其出入不遠矣。
〔訳〕
かの駿馬は一日で千里を走るというが、駄馬だとて十日もかければ、これに追いつくことが出来る。もし無窮・無極の果まで行こうとすれば、筋骨をたちきるほど努力しても、生涯行き着くことはできない。これに反し、もし目標を立てて進むならば、千里の道は遠くとも遅速先後の違いはあるにせよ、どうして到達できないことがあろうか。いったい、道を行く人は無窮・無極の果をきわめようとするのか。それとも止まるべき目的地をきめているのか〔もちろん後者であろう〕。
かの堅白、同異、有厚・無厚の弁は、明晰には違いないが、君子がそのようなことを議論しないのは、止まるべき目標を持っているからである。人の意表をつく奇怪な行いは、至難のことに違いないが、君子がそのようなことをしないのは、止まるべき目的をきめているからである。
だから学問には待つということがある。すなわち、彼は泊まるべきところにおってわれが来るのを待ち、我は進んでそこに行き着くならば、たとい遅速先後の違いはあっても、どうしてともに目標に到達できないということがあろうか。だから半歩ずつでも休まずに歩けば、びっこの鼈(すっぽん)さえ千里の道を行くことが出来、少量の土でも止めずに積み重ねれば、高い丘や山も出来上がり、水源をふさいで出口を開くなら、揚子江や黄河の水でさえ涸らすことが出来る。しかし、進んだり退いたり、左に曲がったり右に折れたりしていては、たとい六頭立ての駿馬でも目的地に到達できない。いったい、人間の素質の隔たりは、どうしてびっこの鼈と駿馬の足ほどはなはだしいものだろうか。それなのに、びっこの鼈が道のりをゆきつくし、六頭立ての駿馬が行きつくせないのは、けっして他に理由がないわけではない。一方は努力し、一方は努力しなかったまでである。
いかに近い道でも歩まなくては到達せず、いかに小さなことでもしなければ成就しない。人となりの怠惰は者は〔いかに素質がすぐれていようとも〕はなはだしく人よりずば抜けることはない。
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目高 拙痴无
年齢:
92
誕生日:
1932/02/04
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sechin@nethome.ne.jp です。
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