山吹を詠んだ歌5
巻19-4184: 山吹の花取り持ちてつれもなく離れにし妹を偲ひつるかも
※留女女郎(るめのいらつめ、生没年不詳)
大伴旅人の娘です。母は丹比郎女で、大伴家持の同母妹です。「りゅうじょのいらつめ」、「とどまれるむすめのいらつめ」と読む説もあります。天平勝宝2年(750年)以前に、藤原南家の二郎(藤原継縄)に嫁いだといわれます。継縄の子藤原真葛の母と考えられています。万葉集に1首があります。
巻19-4185: うつせみは恋を繁みと春まけて思ひ繁けば............(長歌)
標題:詠山振花謌一首并短謌
標訓:山振(やまぶき)の花を詠(よ)める謌一首并せて短謌
原文:集歌4185 宇都世美波 戀乎繁美登 春麻氣氏 念繁波 引攀而 折毛不折毛 毎見 情奈疑牟等 繁山之 谿敝尓生流 山振乎 屋戸尓引殖而 朝露尓 仁保敝流花乎 毎見 念者不止 戀志繁母
万葉集 巻19-4185
作者:大伴家持
よみ:うつせみは 恋を繁(しげ)みと 春まけて 思ひ繁けば 引き攀(よ)ぢて 折りも折らずも 見るごとに 心(こころ)なぎむと 茂山(しげやま)の 谷辺(たにへ)に生ふる 山吹を やどに引き植ゑて 朝露に にほへる花を 見るごとに 思(おも)ひはやまず 恋し繁しも
意味:生きてこの世にある人はとかく人恋しさに悩みがちなもので、春ともなるととりわけ物思いがつのるものだから、手許に引き寄せて手折ろうと手折るまいと、見るたびに心がなごむだろうと、木々茂る山の谷辺に生えている山吹を、家の庭に移し植え、朝露に照り映えている花、その花を見るたびに、春の物思いは止むことなく、人恋しさが激しくなるばかりです。
巻19-4186: 山吹を宿に植ゑては見るごとに思ひはやまず恋こそまされ
巻19-4197: 妹に似る草と見しより我が標し野辺の山吹誰れか手折りし
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