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ヘーラクレースの12の功業中にElis(エーリス、ペロポネソス半島にあり、北をアカイア、東をアルカディア、南をメッセニア、西をイオニア海とそれぞれ接しています)王Augeiās(アウゲイアース、「12の難行」の第5番目『アウゲイアースの家畜小屋掃除』参照-2015年11月7日のブログ)に報酬を踏み倒されたことの復讐として、後にヘーラクレースはエーリスに攻め入りました。エーリス軍にはMolione(モリオネ)という双子(一説には結合双生児〈1つの体に頭が2つある〉)の英雄がおり、彼らはPoseidōn(ポセイドーン)の息子でCalydon(カリュドーン)の猪狩りに参加するほど武勇に優れ、怪力も有していました。双子であるが故に二対一の戦いとなり、剛勇無双のヘーラクレースといえども苦戦を強いられました。攻防戦の最中にヘーラクレースは病にかかり、休戦協定を結んだのですが、モリオネはそれを破って攻撃を止めず、ヘーラクレースは撤退せざるを得なくなりました。その後、ヘーラクレースはモリオネがIsthmia(イストミア)大祭に参加するという報せを聞き、その道中に待ち伏せしてモリオネを毒矢で射殺したのです。ヘーラクレースは強力な英雄を失ったエーリスを攻略し、この勝利を記念してOlympia(オリュンピア、ペロポネソス半島西部に位置する古代ギリシアの都市。古代Olympic〈オリンピック〉が行われた場所)にゼウス神殿を建て、その地で競技会を行いました。以後、この競技会は4年に1度開催されるようになり、やがて古代オリンピックになったといいます。

 ギリシア神話に残るOlympia(オリュンピア)祭(古代ギリシャ文明の国際的運動会、4年に一度開催される。現在のオリンピック行事の原型となった祭りです)の起源には諸説あるようです。


Homerus(ホメーロス)によれば、Troia(トロイア)戦争で死んだPatroklo(パトロクロス、英雄Achilleus〈アキレウス〉に仕えた武将で、主人のアキレウスとは竹馬の友でもありました)の死を悼むため、アキレウスが競技会を行いました。これがオリュンピア祭の由来であるとします。
 さらに別の説によれば、エーリス王・Oinomaos(オイノマオス)との戦車競走で細工をして王の馬車を転倒させて王を殺し、その娘・Hippodameia(ヒッポダメイア)と結婚したPelops(ペロプス)が、企てに協力した御者のMyrtilos(ミュルティロス)が邪魔になったので殺し、その後、願いがかなったことを感謝するためにゼウス神殿を建てて競技会を開いたのだといいます。ペロプスの没後も競技会は続き、これが始まりだ、というものもあります。

 後世の古代オリンピックではヘーラクレースの末裔と信じられたTheogenes(テオゲネス)が華々しい結果を残しています。テオゲネスは記録に残っているだけでもボクシングなどの種目で1300戦全勝し、古代オリンピックだけではなくあらゆる競技会で優勝を繰り返し、生涯無敗でした。ちなみに、この人物は神話上の存在ではなく実在した人物です。


 

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