瘋癲爺 拙痴无の戯言・放言・歯軋り
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卯の花を詠んだ歌5
17-4008: あをによし奈良を来離れ天離る鄙にはあれど我が背子を…(長歌)
 
万葉集を代表的する歌人大伴家持が、天平18年(746)から約5年間を越中の国守として、国庁が置かれたわが町伏木に在任しました。家持やその官人たちは、越中を舞台に多くの歌を今に残しています。なかでも万葉集に収められている大伴家持の作品の約半数(223首)がこの5年間で詠ったものです。これらの詩情あふれる歌の数々は「越中万葉」として、多くのことを語りかけてくれています。万葉集に詠まれている地名、草花、鳥や風物は、現在も色濃く形をとどめています。それらは当時のままではないにしても、それから受ける季節ごとの想いは、1250年以上の時空を超えても共感できることでしょう。
 
2019年は万葉集から典拠した新元号「令和」となり、家持生誕1300年にあたる節目の年です。
 
 
忽見入京述懐之作。生別悲号、断腸万廻。怨緒難禁。聊奉所心一首并二絶
標訓 忽(たちま)ちに京(みやこ)に入らむとして懐(おもひ)を述べたる作を見る。生別は悲号にして、断腸は万廻(よろづたび)なり。怨(うら)むる緒(こころ)(とど)め難し。聊(いささ)かに所心(おもひ)を奉れる一首并せて二絶
集歌4008 安遠邇与之 奈良乎伎波奈礼 阿麻射可流 比奈尓波安礼登 和賀勢故乎 見都追志乎礼婆 於毛比夜流 許等母安利之乎 於保伎美乃 美許等可之古美 乎須久尓能 許等登理毛知弖 和可久佐能 安由比多豆久利 無良等理能 安佐太知伊奈婆 於久礼多流 阿礼也可奈之伎 多妣尓由久 伎美可母孤悲無 於毛布蘇良 夜須久安良祢婆 奈氣可久乎 等騰米毛可祢氏 見和多勢婆 宇能婆奈夜麻乃 保等登藝須 弥能未之奈可由 安佐疑理能 美太流々許己呂 許登尓伊泥弖 伊婆〃由遊思美 刀奈美夜麻 多牟氣能可味尓 奴佐麻都里 安我許比能麻久 波之家夜之 吉美賀多太可乎 麻佐吉久毛 安里多母等保利 都奇多々婆 等伎毛可波佐受 奈泥之故我 波奈乃佐可里尓 阿比見之米等曽
訓読 あおによし 奈良を来()(はな)れ 天離る 鄙にはあれど 我が背子を 見つつし居()れば 思ひ遣()る こともありしを 大君(おほきみ)の 命(みこと)(かしこ)み 食()す国の 事取り持ちて 若草の 足結(あゆ)ひ手作(たつく)り 群鳥(むらとり)の 朝立ち去()なば 後(おく)れたる 我れや悲しき 旅に行く 君かも恋ひむ 思ふそら 安くあらねば 嘆かくを 留(とど)めもかねて 見わたせば 卯の花山の ほととぎす 音()のみし泣かゆ 朝霧の 乱るる心 言(こと)に出でて 言はばゆゆしみ 砺波山(となみやま) 手向(たむけ)の神に 幣(ぬさ)(まつ)り 我が乞()ひ祈()まく はしけやし 君が直香(ただか)を ま幸(さき)くも ありた廻(もとほ)り 月立たば 時もかはさず なでしこが 花の盛りに 相見しめとぞ
意味 あをによし奈良の都をあとにして来て、遠く遥かなる鄙の地にある身であるけれど、あなたの顔さえ見ていると、故郷恋しさの晴れることもあったのに。なのに、大君の仰せを謹んでお受けし、御国の仕事を負い持って、足ごしらえをし手甲をつけて旅装いに身を固め、群鳥の飛びたつようにあなたが朝早く出かけてしまったならば、あとに残された私はどんなにか悲しいことでしょう。旅路を行くあなたもどんなにか私を恋しがって下さることでしょう。思うだけでも不安でたまらいので、溜息が洩れるのも抑えきれず、あたりを見わたすと、彼方卯の花におう山の方で鳴く時鳥、その時鳥のように声張りあげて泣けてくるばかりです。たゆとう朝霧のようにかき乱される心、この心を口に出して言うのは縁起がよくないので、国境の砺波の山の峠の神に弊帛を捧げて、私はこうお祈りします。「いとしいあなたも紛れもないお姿、そのお姿に、何事もなく時がめぐりめぐって、月が変わったなら時も移さず、なでしこの花の盛りには逢わせて下さい。」と。
 
4009 【承前,反歌。】
 多麻保許乃 美知能可未多知 麻比波勢牟 安賀於毛布伎美乎 奈都可之美勢余
訓読 玉桙(たまほこ)の 道神達(みちのかみたち) 賄(まひ)はせむ 我(あ)が思ふ君を 懷(なつか)しみせよ
意味 玉鉾のようなけやしい道、その道におられる神々よ、捧げ物をしますから、どうぞ私の募っているこの君を お守りください。

4010 【承前,反歌。】
 宇良故非之 和賀勢能伎美波 奈泥之故我 波奈爾毛我母奈 安佐奈佐奈見牟
訓読 衷戀うらごひ)し 我(わ)が背君(せのきみ)は 撫子(なでしこ)が 花にもがもな 朝な朝さな見む
意味 心から慕わしいあなた様がなでしこの花でしたらいいのに。(そしたら)毎朝見ましょう。
 
 右,大伴宿禰池主報贈和歌。【五月二日。】

ウェブニュースより
 
明るい浅草再び 雷門大提灯 新調 ―― 東京・浅草寺の雷門に十七日午前、新しい大提灯(ちょうちん)がつるされた。専門の職人が早朝から作業を始め、約一カ月ぶりに真っ赤な「浅草の顔」が街に戻った。
 
寺の御用出入(ごようでいり)で建設会社「新門」(台東区)の職人五人が同日午前六時半ごろから、高さ三・九メートル、幅三・三メートル、重さ約七百キロの大提灯の取り付けを開始。雷門にはしごを掛けるなどして設置し、午前八時半には真新しい大提灯がつるされた。寺による法要もあった。韓国から仕事で訪れた金準(キムジュン)さん(62)は「大提灯は新しくて立派。こんな状況だが、大好きな浅草と日本の方に頑張ってほしい」と話した。
 
 
浅草寺によると、大提灯の掛け替えは今回で六回目で、約七年ぶりに新調された。制作は京都市の老舗「高橋提燈(ちょうちん)」が担った。取り外し作業は三月十日に実施し、約一カ月間、雷門に大提灯がなかった。
 
雷門は一八六五年の火災で焼失し、一九六〇年に松下電器産業(現パナソニック)創業者の故松下幸之助さんの寄進で再建された。   (東京新聞夕刊 2020417日 夕刊)


 

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目高 拙痴无
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1932/02/04
自己紹介:
くたばりかけの糞爺々です。よろしく。メールも頼むね。
 sechin@nethome.ne.jp です。


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