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馬酔木(あしび/あせび)を詠んだ歌 1
 
馬酔木はツツジ科アセビ属の常緑低木です。有毒植物で、昔は殺虫剤に使われたとのことです。3月から4月にかけて、枝の先に壷の形をした白い花をつけます。馬がこれを食べて苦しんだという故事から馬酔木という名前がついたということですが、本当に馬が食べる訳ではありません。
 
巻2-0166: 磯の上に 生ふる馬酔木を 手折らめど 
          
見すべき君が 在りと言はなくに
 
7-1128: 馬酔木なす 栄えし君が 掘りし井の
           
石井の水は 飲めど飽かぬかも
 
8-1428: おし照る難波を過ぎてうちなびく草香の山を.......(長歌)
 
10-1868: かはづ鳴く 吉野の川の 滝の上の
            馬酔木の花ぞ はしに置くなゆめ

10-1903: 我が背子に 我が恋ふらくは 奥山の
            馬酔木の花の 今盛りなり


馬酔木を詠んだ歌 2
 
アセビは同じツツジ科のレンゲツツジなどと同様、葉や枝に「グラヤノトキシン」という毒を含み、口にすると腹痛や下痢、神経麻痺などの症状を引き起こします。そのことを草食の哺乳類もよく知っていて、このアセビだけは避けるといいます。アセビをその名もずばり「シシクワズ(シシ=鹿)」と呼ぶ地方もあるそうです。
 
アセビに「馬酔木」の字を当てているのは、一説に中国からの渡来人に伴われて来た馬が食べて酔っ払ったようになったためといわれます。アセビの語源ははっきりしないが「足しびれ」から来たともいわれます。万葉集にも多く詠まれた万葉植物です。
 
「馬酔木(あしび)」は俳人、水原秋桜子の主宰誌でも有名です。秋桜子もアセビの歌を多く残しています。「馬酔木咲く金堂の扉にわが触れぬ」「来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり」。花の色は白が一般的ですが、写真のように「アケボノアセビ」と呼ばれる紅色やピンク色のものもあります。
 
101926: 春山の 馬酔木の花の 悪しからぬ 
          君にはしゑや 寄そるともよし
 
133222: 三諸は 人の守る山 本辺は馬酔木咲く
        末辺は椿花咲く うらぐはし山ぞ 泣く子守る山
 
20-4511: をしの住む 君がこの山斎 今日見れば
           馬酔木の花も 咲きにけるかも
 
20-4512: 池水に 影さへ見えて 咲きにほふ
         馬酔木の花を 袖に扱入れな
 
20-4513: 礒影の 見ゆる池水 照るまでに
          咲ける馬酔木の 散らまく惜しも


 

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目高 拙痴无
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1932/02/04
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